こんにちは、TEAM WEBRIDです。今回のテーマは、24時間勤務を行う消防士の1日について。勤務中はいつでも出動するかもしれない消防士たちは、24時間の交代勤務時間をどのような時間配分で生活しているのでしょうか。
今回も現役消防士や、消防職員OBへの取材をもとに説明します。この記事を読むことで、消防士の1日が理解できます。それではレポートします。
消防士の勤務時間を把握しよう
消防士の勤務体制は、2交代制と3交代制が存在しますが、24時間の中身は同じです。2交代制と3交代制の違いについては、消防士ドットコム内のこちらの記事で説明しています。
朝の8時半から、翌日朝の8時半まで24時間働くことが基本的な流れです。消防本部によっては、8時半から翌朝の9時までだったり、8時20分から翌朝の8時40分までだったりと、いろいろな種類があるものの、ここでは一般的な内容で説明します。
24時間勤務の消防士の1日 08時30分~
8時30分になると、消防署の前に並び、勤務交代が行われます。みなさんも見かけたことがあるかもしれません。朝の8時半頃に、消防車両の前に多くの消防士がならんでいる姿を。
「気をつけ」をしたり、「敬礼」をしたり、儀式的な動きをしています。これが勤務交代。これから仕事に就きますよという儀式?行事?みたいなものです。この後は、消防本部によってさまざま。一般的には車両点検です。車両に不備がないか確認したり、装備品に不備がないか確認したりします。
そりゃ当然ですよね、勤務が始まってしまえば、指令が入り次第、いつでも出動するわけです。いつ出動しても困らないように、必要なものが揃っているか、おかしいところはないかを、勤務が始まると同時に確認するわけです。
ましてや、交代前のグループが火災出動なんかをしていると、いつも以上に神経質にチェックをするわけです。消耗品の補充は完了しているか、使ったものは元々あった場所に戻されているか、壊れているものはないか。
24時間勤務の消防士の1日 09時00分~
車両点検などが終われば、次は事務所に集まってミーティングです。車両や装備品などの確認が終わると、次は事務作業の引継ぎ確認です。パソコン内の情報を確認し、各担当で事務作業の進捗状況を確認します。
このあたりは、一般的なサラリーマンと大きく違うところです。自分がいない間にも、仕事が勝手に進んでいる。まるで別の誰かが自分となって1日過ごしたかのような感覚。昨日、何があったかを確認していくわけです。
まさしく、新海誠監督の名作「君の名は」状態です。まだ見ていない方はぜひご覧ください。所詮アニメとバカにしてはいけません、アニメへの価値観を覆す名作です。各担当の引継ぎを確認しつつ、勤務者間での情報共有も行います。今日の予定だったり、今後の訓練計画だったり、企画の進捗状況だったりとさまざまです。
24時間勤務の消防士の1日 09時30分~
朝のミーティングが一段落つくと、ここからは色々なパターンに分かれます。
日によってバラバラです。朝のミーティングでの打ち合わせどおり、各自が必要な任務に就くわけです。
24時間勤務の消防士の1日 12時00分~
消防士だってお腹が空きます。強靭な精神力と肉体を持っていようが人間です、お腹は空きます。
消防本部の規模により、お昼ご飯を自炊するかどうかは変わってきます。都会の大きな消防本部ほど、自炊はしていません。逆に、田舎の小規模な消防本部ほど、自炊をしている傾向があります。
その理由は、暇か、暇じゃないかです。都会の消防は忙しく、自炊する暇がありません。逆に、田舎の消防は暇で自炊も仕事の1つです。若手職員は、11時頃から昼食の準備に取り掛かります。お昼休憩は1時間。昼食後は自由です。
休憩時間なので、大概のことはOKです。もちろん、飲酒や外出はできません。大概のことはOKと言っても、出動に差し支えないものならOKという意味なので勘違いしないように。
都会の救急隊は、ササっと昼食を済ませ、夜中の出動のために仮眠をとることが一般的です。ずっと起きっぱなしより、少しでもいいから仮眠をとって頭を休ませると、夜更かしするのがずいぶん楽になるのは皆さんも経験則からご存じのはず。
若手職員は、机を拭いたり、食卓の調味料を片づけたりと下働きがあるので、なかなか休憩はできません。これはどこの職場でも同じですね。新人さんのつらいところ。その分、後輩ができれば楽になるのではじめの頃は我慢です。
24時間勤務の消防士の1日 13時00分~
お昼休憩が終わり、午後の勤務の開始です。午前中の業務の続きをしたり、時間を決めてみんなで集まって訓練をしたり、この時間帯も日によってさまざまです。中には寝ている人もいます。
「え?休憩時間終わっているのに?」
こんな声が聞こえますが、そこには理由が。24時間、いつでも出動し現場対応する必要がある消防士には、休憩時間だから出動できないなんて言い訳はできません。そのため、お昼休憩の時間であっても、出動がかかれば出動します。
「休憩時間を削られて損するだけ?過労死しちゃうんじゃ。。。」
そこは心配無用、休憩時間の振り替えを行うだけです。12時から13時までの1時間が休憩時間だとします。11時30分から救急出動していて、帰ってきたのが13時30分なのであれば、13時30分から14時30分までの1時間を休憩すればいいだけの話。休憩時間の1時間をずらせばいいだけの話しです。
ただこれはあくまでも、理想。帰ってきたものの、またすぐ指令が入って出動なんてこともあります。
このような場合は、出動メンバーを変えて出動したり、夜の休憩を長めにとったりなど、臨機応変に対応します。
24時間勤務の消防士の1日 17時15分~
夕食の時間です。
「いやいや、早くない?」
早くありません、消防士は食いしん坊だから、普通の人より早くお腹が空くのです。というのは嘘で、本当は違う目的のため、早い時間に夕食を食べるようになっています。その答えは、一般的な夕食準備時間には火事が起きやすいからというのが理由です。
一般的な夕食時間というのは6時頃から7時過ぎぐらいが多いはず。つまり、その準備のため火を使用する時間は5時半ぐらいから増えだすということです。火を使うということは、火事が起きる可能性が高くなります。その時間帯に備えて、早めに夕食を済ませておくのが消防士です。
夕食の後も自由時間です。昼食の後と同様に、出動に支障が出ないのであれば、各自が好きな時間を過ごせます。昼食後と違うのは、お風呂に入るという選択肢が増えることでしょうか。昼間の訓練で流した汗をキレイにながせてスッキリサッパリできるわけです。
ここで前半の勤務が終わりです。トータル7時間45分。毎日勤務(日勤勤務)の1日が終わったのと同じ時間が経過しました。
24時間勤務の消防士の1日 18時45分~
夕食後の休憩が終わると、夜のミーティングです。
など、やることはさまざま。18時45分から24時までの5時間15分は、夜の勤務というべきか、後半の部というべきか。わかりやすく、毎日勤務者(日勤者)の勤務時間で考えたら2日目のスタートです。
SNSなどで夜間訓練の様子を見かけると思います。夜間想定の訓練をするのもこの時間帯です。消防署の立地条件によっては、騒音の出る訓練は控えることになります、近所迷惑ですからね。
ただ毎勤務、夜間の訓練かというと、そうでもない。どちらかというと、事務型の業務の方に重点をおいた勤務となります。
みんなで集まって何かを行うというより、個人で必要な業務をこなす時間です。
24時間勤務の消防士の1日 24時00分~
24時を超えると、やっと仮眠の時間です。昼間のハードな訓練で疲れているでしょうが、安眠できるわけではありません。いつ指令が入っても出動できるように、緊張感を持ったままの仮眠です。
ただ、絶対寝ないといけないわけでもありません。人によっては、まだまだ雑務をこなします。とはいっても、よほどの理由がない限り、この時間帯で、時間外勤務手当の支給を受けることはありません。
もちろん、火災出動や救急出動については時間外勤務手当が支給されます。
ここからお風呂に入る職員もいます。自由です。
24時間勤務の消防士の1日 06時00分~
朝の6時になると起床時間です。
雑務をこなし、7時からは朝のミーティングです。
ミーティングが終わる頃には、次のグループがぽろぽろと出勤しだします。消防士は、他の業種に比べて出勤時間が異様に早いです。8時30分からの勤務ですが、1時間前の7時30分に出勤するなんてザラにあります。なぜなら、申し送りが長いから。同じ消防署なのに、勤務している人が全員いなくなり、まったく別の人達に変わります。そりゃ引継ぎに時間がかかるわけです。
しかも、この引継ぎは、8時30分ギリギリまでは行えません。なぜか。なぜなら、遅くとも8時20分頃には勤務交代のために庁舎の前に整列して待機する必要があるから。勤務交代があることも、一般的な会社のように勤務時間ギリギリに出社していてはダメな理由です。
8時30分が来ると、勤務交代を行い、24時間勤務の終了です。
昨夜の18時45分から24時の5時間15分。朝の6時から8時30分までの2時間30分。合計7時間45分。この7時間45分により、毎日勤務者(日勤勤務者)の1日分働いたことになります。
24時間勤務の中で、7時間45分の毎日勤務を2回こなしているのが隔日勤務(交代勤務)です。消防士の交代勤務についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
消防士の1日|24時間勤務のスケジュールを追う!のまとめ
24時間勤務の消防士の1日についてレポートしました。実際は、いつでもどんな時でも火災出動や救急出動が絡んできますので、説明した時間どおりの1日が過ぎることは多くありません。建物火災があった場合は、消防署に残る人はほとんどいなくなるので、ミーティングを省略したり、ミーティング時間をずらしたりすることは頻繁に起こります。
また、消防本部の方針によっては、119番通報を受ける職員以外、全員仮眠が可能であったり、119番通報を受ける職員以外でも、各消防署で受付勤務を24時間体制で行っていたりと違いがあります。
後者のパターンであれば、22時から06時の8時間の間で、交代で2時間受付業務、残りの6時間を仮眠とする場合もあります。一般市民から見れば同じ消防署なのに、消防本部の違いによって夜間体制の違いがあるのは意外なところです。
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