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【消防学校の初任科】勉強以外で学ぶべき3つのこと

消防学校

こんにちは、TEAM WEBRIDです。
今回のテーマは消防学校の初任科について。
消防士といえば、採用されたらすぐに消防学校へ6か月間派遣されることで有名ですよね。
この最初の6か月間の教育課程を“初任科”といいます。

この初任科では、消防士としての基礎を身につけるため、座学と訓練を徹底的に行います。
つまり、消防士としての知識と体力筋力を身につけるわけですが、勉強以外にも学ぶことがたくさんあります。

今回は、その中から3つの項目をピックアップし、説明します。
今回の記事も、現役消防士や、消防職員OBへの取材をもとにレポートします。
この記事を読むことで、これから消防士になる人は、他の同期達よりも、消防士として役立つことを効率よく初任科で学ぶことができます。

消防学校の初任科で勉強以外に学ぶべきこと①自分の限界を知る

消防学校では、一般的に考えると、

「それは無理だろ・・・」

とも思えるような想定外に過酷な訓練を行います。
例えば、次のような訓練。

  • 防火服を着た状態で、いつ終わるかもわからないサーキットトレーニングを延々と続ける
  • 防火服を着た状態で、いつ終わるかわからない声出しランニングを延々と続ける

何がきついのかというと、終わりが見えないこと。
1周おわり、2周おわり、キリ良く5周ぐらいで終わるのかなと思いきや終わらない。
次は10周で終わるかなと思いきや終わらない。
体力も限界に近づき、気力も失ってきます。
中には脱落者も出てきます。

極端な例でいうと、走っている途中に手をつくこともできない状態で前のめりに倒れこむことがあります。
手をつくこともできずに倒れこむということは、走りながら失神するようなもの。
顔を強打するリスクもあるため、周囲の仲間が抱きかかえることもあります。
そんな中でも、体力と気力を振り絞り、訓練を最後まで乗り切っていく人ももちろんいます。

どうしてここまで、過酷な訓練をするのでしょうか。
それは、自分の限界を知るためです。
ではなぜ、自分の限界を知っておく必要があるのか。
結果的には自分の命を守ることにつながります。

というのも、災害現場は、終わりが見えません。
終わりが決まっていませんから。
さらには想定外のことが多く起きます。
つまり、限界まで疲れることがあるということです。
限界まで疲れると自分にはどういった変化が起きるのか、このことを知っているか知らないかでは、自分の安全管理能力に確実に差が出ます。

例えば、訓練で熱中症を経験していれば、

「あれ、手足がしびれてきたぞ、これは熱中症の初期症状だ、他の隊員に迷惑をかけないように隊長に申し出よう」

という発想が生まれます。
しかし、熱中症を経験していないと、手足がしびれてきても、自分に何が起こっているのか理解できません。
結果的には、現場で動けなくなったりして、隊長や他の隊員に迷惑をかけてしまうということになります。

それならまだしも、高所作業中にめまいが生じたら、高所から落下して大けがをするかもしれません。
怪我ですめばラッキー、運悪く命を落とすことにもなりかねません。
それほど自分の限界を知っておくことは大事なことです。
これが、自分の限界を訓練で知るということです。

では、そのためにはどうすれば良いと思いますか?

答えは一つ。
訓練に本気で挑むということです。
力を抜かない。
手加減しない。
訓練ではできるだけ自分を追い込み、限界の向こう側を経験してください。
きっと40年ほどある消防人生の宝になるはずです。

消防学校の初任科で勉強以外に学ぶべきこと②24時間の他人との共同生活に慣れる

消防学校で学ぶことは、消防士としての仕事だけではありません。
というのも、消防士というのは「24時間勤務」という一般社会とは異なった仕事の時間を過ごすわけです。
この仕事時間に慣れるということも、消防学校が寮への泊まり込みによる共同生活になっていることの理由のひとつです。

この寮生活、ただ何となく過ごすのではなく、人間付き合いをしっかり学んでください。
24時間、他人と行動を共にするということは、家族と時間を共有するようなものです。

普通では、共有することのない時間、共有することの少ない時間を、他人とともに過ごします。
他人の嫌な面も見えてくるでしょう。
どのような振る舞いが嫌われるのか、よく観察してください。

消防署の生活で一番大事といっても過言ではないもののひとつに「人づきあい」という項目があります。
極端に言うと、仕事がちゃんとできなくても、「人づきあい」が上手ければ楽しく過ごせるのが消防署です。
逆に、いくら仕事ができようが、「人づきあい」が下手であれば、消防署での生活は楽しくないでしょう。

この、消防署での生活の楽しさ、生活のしやすさを左右する「人づきあい」を学べるのが、消防学校での共同生活です。
同期の中でも、年齢差が10学年以上離れることが一般的なため、同期であってもある程度の上下関係も学べます。

  • 自分のどういう行動が、周囲にどういった影響を与えたのか
  • あの人のあの行動で、他のみんなはあの人のことをこう思うようになった

などを気にするようにしてください。
そうすることで、共同生活の中での良い行い悪い行いがわかってくるはずです。
もちろん6か月の消防学校生活だけで、消防署での24時間の共同生活を100点にできるわけじゃありません。

ただ、20点から40点の共同生活知識を、50点から70点にしておくだけでも、今後の消防署生活にプラスになると思いませんか?

もちろん、消防士になるまでの間、例えば、野球部の寮生活を経験してきた人などはすでに最初から80点の共同生活知識を備えているかもしれません。

逆に、ずっと実家生活で、下宿生活をしてきたことがない人にとっては学ぶべきことは多いはず。
それまでの部活動の経験も大きく影響するでしょう。
こういった人づきあいに関する部分も、部活動をがんばってきた人にとっては消防士をやっていく上でアドバンテージになりますね。

将来、消防士を目指している人は、体力筋力づくりだけでなく、人づきあいも部活動からしっかり学んでください。

消防学校の初任科で勉強以外に学ぶべきこと③他本部の同期と仲良くなる

消防学校にも種類があり、1つの消防本部のみで運営される消防学校と、都道府県が運営していて複数の消防本部から新採用職員が集まる消防学校の2種類があります。
ここでは、後者の消防学校の話です。

\消防学校について詳しくはこちらの記事/

消防学校に集まる他本部の新採用職員は、敵ではありません。
仲間です。

成績順位についてはライバルかもしれませんが、一緒にしんどい消防学校を乗り切る仲間です。
しっかり、友情を育んでください。

消防学校は班編成があります。
この班は、同じ消防本部の職員はなるべく一緒にならないように編成されます。
もちろん、採用人数が多い消防本部などは、1つの班に仕方なく2人ということもありますが。
つまり、他本部の消防士と仲良くなれるチャンスなわけです。

この班のメンバーというのは、消防人生において濃いい関係になります。
具体的に言うと、よっぽど仲が悪くない限り、まず結婚式に呼ばれます。
と、ここまでの話は、ただ仲の良い仲間ができたという印象しかありませんが、本質はこの先。
他本部に仲が良い仲間がいるということは、次のようなメリットがあります。

他本部に仲の良い仲間がいるメリット①ストレスの低減

ストレスを貯めないための発散方法として、最も簡単な方法の1つは「言葉にして出す」ことです。
つまり、文句を言う。
ストレスが発生するときは、一般的な場合、原因になる人間がいます。

新人消防士の場合は、先輩や上司がまさにソレです。
どこの会社でもそうですが、変な人は一定数います。
しっかり文句を言って、陰口をたたいて、ストレスを貯めないようにしましょう。

ただ、その時に注意することは、愚痴をこぼす相手。
この相手選びで失敗すると、後からとんでもないことになりかねません。
まず気をつけることは、どんなに仲が良い人でも、同じ消防本部の中で文句を言うことは極力避けてください。
壁に耳あり障子に目ありです。
いつか、ストレスの原因である相手に伝わるかもしれません。
さらには、うわさに尾ひれがついて、さらにひどい文句として、ストレス相手に伝わるかもかもしれません。
そうです、ここで役立つのが、他本部の仲の良い同期です。

「いやいや、消防じゃなくてもプライベートの友達で良いじゃないの?」

との考えも浮かびます。
しかし、消防のことを知らない人に、消防に関する愚痴を吐いて理解してくれると思いますか?
慰めはしてくれても、共感は生まれません。

愚痴に対して必要なものは共感です。
つまり、消防の愚痴をこぼすには消防です。
お互いの愚痴をこぼしあい、ストレスを発散しあえる仲間を作りましょう。
いずれ自分の助けになるときがあります。

他本部に仲の良い仲間がいるメリット②情報交換

消防士の仕事をしていると、規模の小さい消防本部ほど、ガラパゴス化しがちです。
発言権の強い消防職員の固定概念に支配されがちになります。
これは良くない。

他の消防本部だと当たり前のことが、当たり前にできなかったりする。
このような違和感に気づくことができるチャンスを与えてくれるのが他本部の同期です。
職場内で、改善意見を提案する場合にも、次の2つの言い方では意見の浸透具合が変化します。

  • 「僕の考えなのですが・・・」
  • 「〇〇市消防局の同期から聞いたのですが、〇〇市消防では・・・」

この違いは大きいです。
その消防本部では常識とされているようなことを覆すのなら、なおさら大きい。
前者の言い方であれば、

「お前、何言ってるんだ、バカか!?」

と言われるところが、後者の言い方であれば

「え?そうなの!?うちの同期にも聞いてみるわ!」

となります。
この効果は組織の中で生きていくには大きなメリットです。

ここで疑問が出ます。
他本部の情報なら、SNSでも手に入りますよね。
SNS上には現役消防士を名乗るアカウントが多く存在します。
SNS上で、

  • 自分の消防本部の古い風習
  • 自分の消防本部の効率の悪い風習

などの改善点を見つければ、他本部の同期との情報交換は不要とも考えられます。
しかし、それでは説得力に欠けるんですよね。

「SNSで見かけたのですが、とある消防本部では・・・」

と話し始めたとしても、

「どこの消防本部だよ」
「嘘か本当かわからない話を出すんじゃないよ」

確かにその通りですよね。
SNS上の消防士アカウントは、身バレを防ぐために、仕事の話は出すものの所属消防本部名は隠していることが当たり前となっています。
SNS上は平気で嘘がつける世界です。

となると、やはり頼りになるのは実在する消防本部の同期からの情報ということになります。
同期との情報交換は、他本部情報の入手元となり、役立つこと間違いありません。

【消防学校の初任科】勉強以外で学ぶべき3つのことのまとめ

消防学校の初任教育である初任科において、勉強以外に学ぶべきことについて、レポートしました。
まとめると、次のとおり。

  • 自分の限界を知ることが大事、そのためには訓練に全力で取り組むこと
  • 24時間の他人との共同生活に慣れることが大事、どのような振舞い方が共同生活の中で良いのことなのか悪いことなのかを学ぶことで、消防署勤務の生活しやすさが変わってくる
  • 他消防本部に仲の良い同期を作ることで、消防署での24時間勤務が始まった後のストレス軽減や、有益な情報の入手元となる

これから消防学校へ入る人は、この3つを意識するだけで、今後の消防人生が大きく変わることでしょう。

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