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火災事例から見る加熱式タバコと電子タバコの火事の関連性

防災・火災予防知識

加熱式(電子)タバコについてこの記事を読んだらわかること

加熱式たばこって、最近吸っている人増えたよねー、あれって火事になるの?

普通のたばこが火災の原因になることは、みなさん周知の事実です。

では、IQOS(アイコス)に代表される加熱式たばこは、火災になるのでしょうか?

結論から言うと、火災にはなりません。

後述する、総務省消防庁がまとめた「加熱式たばこ等の安全対策検討会報告書」の中でつぎのとおり結論づけています。

第4章 まとめ

加熱式たばこ等の火災発生危険について

加熱式たばこ3製品(IQOS 2.4PLUS、Ploom TECH、glo)の火災発生危険及び安全装置等につ
いて、事業者提出資料等に基づき確認したところ、たばこ葉を燃焼させておらず、機器の外周部
の温度は数十度であり、様々な安全措置が施されていることがわかった。一方で、加熱式たばこ
には製品の規格や統一的な基準がなく、3製品のカートリッジを使用できる互換品や今後発売
される新製品等については、同等の安全対策が施されているかについて確認できていない。
また、本検討会において、たばこ火災の実態分析結果に基づき、たばこ火災が発生しやすい条
件を再現し、紙巻たばこと加熱式たばこ3製品の火災発生危険を比較する実験を行ったところ、
加熱式たばこ3製品はいずれもたばこ火災を発生させないことがわかった。

加熱式たばこ等の安全対策検討会報告書 38ページ 【平成31年3月加熱式たばこ等の安全対策検討会】

今回の記事では、加熱式たばこ(IQOS 2.4PLUS、PloomTECH、glo)(アイコス、プルームテック、グロー)の火災危険についてレポートします。

「加熱式たばこ等の安全対策検討会報告書」の概要

火を使用しない、新たな種類のたばこ”加熱式たばこ”の市場が、急速に拡大しています。

加熱式たばこというのは、このようなものです。

✔IQOS(アイコス)

✔Ploom TECH(プルームテック)

✔glo(グロー)

この加熱式たばこ、実際のところ、火災発生危険ってどれぐらいあるのでしょうか。

実は、総務省消防庁が平成の終わりに、「加熱式たばこ等の安全対策検討会」を開催しました。

この検討会は、加熱式たばこの火災発生危険を検証・整理して、

  • 消防法令の適用
  • 安全対策

を整理することを目的としています。

今回の記事では、平成31年3月にとりまとめられた「加熱式たばこ等の安全対策検討会報告書」の概要をレポートしたいと思います。

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「加熱式たばこ等の安全対策検討会報告書」の目的

たばこを原因とした火災というのは、住宅火災での、死者発生原因の上位を占めています。

このような状況の中で、火を使用しない新たなたばこ”加熱式たばこ”の市場が急速に拡大しています。

そのため、加熱式たばこの火災発生危険を検証・整理するなどして、

  • 消防法令等をどこまで適用して加熱式たばこを規制するのか?
  • 安全対策はどこまで必要なのか?

ということを整理する必要があります。

これらのことを目的として、加熱式たばこ等の安全対策検討会が開催されました。

検討会での調査事項1:加熱式たばこの火災発生危険及び安全装置について

加熱式たばこ3製品

  • IQOS 2.4PLUS
  • PloomTECH
  • glo

の火災発生危険と安全装置について、事業者からの提出資料に基づいて確認を行いました。

資料の解析により、

  • たばこの葉は燃焼させていない
  • 器の外周部の温度は、数十度までしか温度上昇がない
  • 様々な安全措置が施されている

ことが理解されました。

調査事項2:たばこを原因とする火災の実態について

住宅で、たばこを原因として発生するたばこ火災では、布団毛布に着火したと思われる火災が多く発生しています。

たばこの火が原因で布団が燃えるということは、火のついている“たばこ”のそばには、普通は人間がいますよね。

布団は何のために使う道具かというと、寝るために使う道具です。

つまり、何が言いたいかというと、火のついた“たばこ”が原因で、布団類に着火するということは、死者が発生する火災になりやすいということです。

俗に言う、“寝たばこ“などはわかりやすい事例ですね。

また、

  • 消えていないタバコ
  • 消し方が不十分なタバコ

をごみ箱等に直接捨てることも、火災を招く原因の一つです。

たばこを長年吸っていたり、もしくはアルコールを摂取していたりすると、喫煙後の消火が不十分になりやすく、火災が発生する可能性も高くなります。

調査事項3:紙巻たばこと加熱式たばこの火災発生危険の比較検証について

総務省消防庁は、過去に起きた“たばこ火災”の発生メカニズムを分析しました。

その分析結果に基づき、たばこ火災が発生しやすい条件を再現し、

  • 紙巻たばこ
  • 加熱式たばこ(IQOS 2.4PLUS、 PloomTECH、 glo)

の火災発生危険を比較する実験を行いました。

実験を行ったところ、加熱式たばこ3製品は、いずれもたばこ火災を発生させないことが判明しました。

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加熱式(電子)たばこ【IQOS 2.4PLUS(アイコス)、PloomTECH(プルームテック)、glo(グロー)】について

安全性

加熱式たばこ3製品の

  • 火災発生危険
  • 安全装置

について確認したところ、火災発生危険は、紙巻たばこより安全であることがわかった。

加熱式たばこの普及がもたらす効果

紙巻きたばこより安全である、加熱式たばこが普及すれば、たばこ火災の低減に一定の効果がある。

加熱式たばこを、法で規制する必要性は?

現在は、消防法でも、火災予防条例でも規制の対象とはなっていません。

現時点で販売されている加熱式たばこの安全性能が高いことは、今回の検討結果としてよくわかりました。

しかし、今後、加熱式たばこが普及すればするほど、加熱式たばこの製品に、新たな製品や互換品の製品の出現が予測されます。

他の製品でみられるように、中華性の粗悪品が出回る可能性も低くありません。

粗悪品、言い換えれば、安全性能が弱く、火災発生危険が高い加熱式たばこが出回る可能性を考慮すると、現時点で、消防法や火災予防条例で定める喫煙規制の対象外であると判断することは、適切ではないようです。

危険物施設における火気規制については、もともと“たばこ”はもちろん禁止されています。

今回の調査結果を踏まえて、紙巻きたばこよりも、加熱式たばこは安全であると確認されたのなら、危険物施設内における火気規制(危険物施設の中ではタバコを吸ってはいけないという規制)の対象から、加熱式たばこは外しても大丈夫じゃないかという考えも生まれそうです。

しかし、今後、火災発生危険の高い加熱式たばこ製品が販売されるかもしれない可能性はゼロではありません。

また、加熱式たばこが使用されている場合に、従来の紙巻たばこと見分けることができず、安全管理上紛らわしいことも考えられます。

この大きな2つの問題点を考慮すると、危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所においては、加熱式たばこを使用しない運用とすることが、安全管理上適当であると判断できます。

今後は、今回の検討会の検討内容を踏まえ、加熱式たばこの安全性を確認するための

  • 製品を販売する上での製品上の規格
  • どのような加熱式たばこ、どのように規制するといった基準

などが決められ、客観的な評価が行われることとなるかもしれません。

もしも、規格・基準が定まり、客観的評価が可能となれば、どのような場所では、どのような加熱式たばこは規制を適用するか、についての判断が可能になると考えられます。

規格・基準がないまま、

この加熱式たばこは安全だから、危険物施設で使ってもいいよ!

この加熱式たばこは危険だから、危険物施設では使用禁止!

なんて決めることができないですからね。

消防士に学びたい

【徹底比較】加熱式(電子)タバコは着火して火事になる?安全性は?のまとめ

総務省消防庁では、「加熱式たばこ等の安全対策検討会報告書」の中で、

加熱式たばこに関する規格や基準などを検討する際には、適切な安全対策を講ずることが重要であることから、消防庁及び消防本部の意見を聞いた上で策定されることが望ましい

と提言しています。

現在、日本たばこ協会を中心として”加熱式たばこのJIS規格化”を検討しています。総務省消防庁もJIS原案作成委員会に参加するなど、加熱式たばこの安全性の担保に向けて協力しています。今後、新たな動きがあり次第、情報を更新する予定です。

令和2年9月23日に加熱式たばこの電気安全性規格(JIS C 9335-2-120)が制定されました。

一般社団法人日本たばこ協会がが国内標準化に向けた取り組みを進めておりました「JIS C
9335-2-120:加熱式たばこデバイスの個別要求事項」が、9月23日(水)に日本産業規格(JIS:
Japanese Industrial Standards)として制定、公示されましたのでお知らせします。

加熱式たばこデバイスの日本産業規格(JIS)の制定・公示について【一般社団法人日本たばこ協会 2020 年 9 月 23 日】

今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。

この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。

また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。

コメント

  1. より:

    加熱タバコ自体安全かもしれませんが、本体の充電式電池は安全なのですか?電池自体が発火する事例はいくつもあります。アイコスや他の電子タバコ自体は絶対安全なのですか??検証して下さい。

    • TEAM WEBRID TEAM WEBRID より:

      空さん、コメントありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。コメント通知を何かのはずみに削除してしまっていたようです。充電式電池の安全となると、他の記事でも触れていますように、電池特有の危険性が多く存在します。したがいまして、この記事におきましては加熱タバコ部分のみに着目しての記事となっています。充電式電池の火災危険につきましては、他の記事を参考にしていただけたらと思います。今回の記事では、①IQOS 2.4PLUS②PloomTECH③gloについての検証結果となっております。情報源は総務省消防庁のものなので、信頼性が高いものです、これらの商品であれば、安心してご使用ください。(^^)

  2. アイ より:

    教えて頂きたいです
    昨日から紙タバコからアイコスイルマワンに変えました。
    火事等の不安がもの凄くあって変えたのですが、アイコスイルマワンは火を使わないと聞いてましたので火事等の心配はないでしょうか。
    詳しく教えて頂きたいです。
    宜しくお願い致します。

  3. TEAM WEBRID TEAM WEBRID より:

    アイ様

    コメントありがとうございます。
    アイコスは仕組み上、火災危険はありません。

    わかりやすい資料はこちら。

    >https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/h300725_shiryo4-1.pdf

    総務省消防庁もアイコスの仕組みは、平成31年3月加熱式たばこ等の安全対策検討会の結果方向において「火災危険なし」と結論づけています。

    安心してご使用ください。

  4. ニイ より:

    アイコスイルマですが吸い終わった後はそのままゴミ箱に捨てても火事になることはないですか?
    友達や会社の人はそのまま捨ててまして自分のそのまましようと思いますが抵抗や不安があります。。
    本当に大丈夫という根拠を教えていただきたいです。
    宜しくお願い致します。

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