消防士の世界では、定期的な飲み会(歓迎会・暑気払い・忘年会・送迎会)や、行事ごとの打ち上げなど、一般の会社と同様に飲み会が催されます。交代勤務をしているため、1つの所属で全員参加ということはありえません。全員が飲み会に来ると、消防車が出動できなくなりますからね。
2交代であれば、半分の職員が参加しますし、3交代であれば、1/3の職員が参加します。チームワークやコミュニケーションが重要な職場のため、飲み会には基本的に仕事ではない係は全員参加。よっぽどの理由がない限り、欠席はありえません。お酒が嫌いな人でも、協調性を考慮して、参加することが当然な文化です。
新人にとっては、飲み会とだとしても、業務みたいなものです。まだ、どんな人間なのか知られていないため、周囲も気にしています。ここで“気遣いのできるやつだ”と思われるか“生意気なやつだ”と思われるかで、今後の消防署での生活しやすさに影響します。
今回の記事も、現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに解説します。
この記事を読むことで、新人消防士が、消防署の飲み会で、どのようなことに注意してふるまえばよいかがわかります。
宴会が始まる前から仕事は始まっている
新卒の人は知らないかもしれませんが、飲み会の席の配置には、上座(かみざ)、下座(しもざ)という表現が存在します。簡単に言うと、上座は偉い人が座る席、下座は逆になります。飲み会の会場の配置にもよりますが、基本的には入り口から遠い方が上座です。
飲み会によって、参加者の席が決まっていたり、一定以上の階級の人だけ席が決まっていて、他の人はくじ引きであったり、いろいろなケースがあります。この場合、新人がわけもわからず勝手に席に座っていると、
「あいつは誰だ、なにやってるんだ、生意気だな。」
と、目をつけられてしまいます。飲み会の場所では、新人は基本的に受付係になります。また、場所がわからない人がいないように、店先に立って、案内係に徹することにもなります。宴会場に入るタイミングは、最後のほうになるよう心掛けてください。
座る席の位置について
受付や、誘導係になったとしても、
といった場面もあります。このような場合は、宴会場の中で、一番出入り口に近い席に荷物を置いてください。下座の中でも、出入り口の付近です。というのも、飲み会では下っ端の人が、
といったことを行うことになります。その際に、出入り口に近くないと、これらのことに対応できません。狭い座敷の場合など、何か動く必要があるたびに先輩の前や後ろを通らせてもらうわけにもいきません。先輩の前や後ろを通りにくいからとずっと席に座っていたりすると、自分よりも出入り口に近い先輩を動かせてしまうことになり、後から指導を受けることになってしまいます。
タバコを吸う先輩について
消防署に勤めだすと、どの先輩が喫煙者なのか把握する必要があります。喫煙者を把握しておけば、飲み会の場で“気遣いアピール”が可能になるからです。宴会場などでは、最初から各テーブルに灰皿が置いてあることは珍しいことです。
同じテーブルに喫煙者の先輩がいた場合はチャンスです。さっと灰皿を取りに行き、喫煙者の先輩の席の前にスッと置きましょう。普段は厳しい先輩であったとしても、顔に表情は出さなかったとしても、
「こいつ、できるじゃん」
と思わせることに成功します。いかつい先輩ほどタバコ率は高いものです、いかつい先輩と同じテーブルになったとピンチと思わず、気に入られるチャンスと頑張ってください。いかつい先輩ほど、親分肌が強く、気に入ってもらっていれば、困った時にも助けてくれるものですよ。
飲み会前には体の準備を
お酒の場での失敗というのは、どこの会社でも起こりやすいものです。消防士の世界でのお酒による失敗は、ニュースになる可能性もあり、最悪の場合、懲戒免職なんてことも。せっかく受かった消防士の世界から追放されたくないものです。
ニュース沙汰にならなかったとしても、失敗をして、怖い先輩に目をつけられたくありません。そこで、体、特にアルコールを飲む前は肝臓の準備が重要です。ここで役立つのはこちら、通販限定です。
液体のように、瓶ではないため、重くなく、割れることなく、長期間腐らない。さらには、かさばらないため、複数持つことができます。これは、2年目、3年目の先輩への気配りです。一緒に受付をするタイミングなどで、サッと差し出し、
「先輩もどうですか?」
これで、採用年数の近い先輩からも、気遣いのできるやつと思われます。
飲み始めたら目線はどこへ?
乾杯が終わり、飲み始めると、常に気にするべきは、周囲の先輩のコップの量です。決して、空にしてはいけません。宴会の場が、瓶ビールスタイルか、グラス交換によるおかわりスタイルかによって対応が違ってきます。それぞれ説明します。
✔ 瓶ビールスタイル
自分のそばには、ビール瓶を常に確保しておきましょう。中身のあるビール瓶がなくなった場合は、注文するか、ビール瓶置き場に取りに行ってください。周囲の先輩のコップが空くか、残りが少なくなったらすかさず注ぎましょう。逆に、しばらくコップのビールが減らない先輩がいたら次の行動です。
ドリンクメニューの表をゲットしてください。ビールが減らなくなった先輩にスッとメニュー表を差し出しひとこと。
「他の物、飲まれますか?」
気遣いのポイントアップ間違いなしです。
✔ グラス交換スタイル
基本的には、瓶ビールスタイルと同様です。先輩たちのコップを空にしないことを優先します。ビールがコップになくなりそうであれば、
「ビールでよろしいですか?」
と、声をかけます。すぐにビールを注文してください。瓶ビールスタイルと違うのは、早めにメニュー表を確保することです。飲み切らないと他の飲み物が注文できないため、他の飲み物に変えたくなっても、とりあえず飲み切ります。つまり、突然ビールから他の飲み物に変わります。
「ビールでよろしいですか?」
「いや、他の物飲もうかな。」
チャンスです。確保しておいたメニュー表を、スッと差し出しましょう。
「何を飲まれますか?」
の声とともに。これで気遣いのポイントアップ間違いなし。
大皿料理が運ばれてきたら?
気遣いは、飲み物に限ったことではありません。食べ物も同様です。宴会の場では、大皿料理が一般的です。小皿に取り分けるスタイルですね。はじめのうちは、サラダなどが定番です。料理が届いたら、すぐに取り分けるトングと、同じテーブルの最上位の人の取り皿を手にし、取り分けます。他の先輩が先にトングを持ってしまうと、取り上げるわけにいきませんから、先輩に取り分けさすことになってしまいます。
「ダメな食材とかありますか?」
ぐらいの一言を添えることができれば100点ですね。なかには、鶏肉がダメだとか、甲殻類アレルギーだとかいうこともありえますからね。まだ、みんなが酔っぱらう前なので、しっかり料理を取り分けて、気配りできるアピールを頑張ってください。
集金の場合はもちろん〇〇係
会費制の場合、誰かが集金を行う必要があります。雑務です。雑務といえば、新人の仕事ですね。集金については、受付時に集めたり、事前に集めていたりと、いろいろなパターンがあります。悩む場合は、2年目3年目の先輩の動向を気にしていてください。動き出すタイミングの参考になります。出遅れた場合などは、先輩の横に立ち、
「変わります!」
の一言でオーケーです。
宴会場中に意識することは?
飲み会が始まっても、新人はのんきに飲んで食べているひまはありません。新人のうちは、飲み会では食べ物はほとんど口にできないことが当たり前だと思っていたほうがむしろ気が楽です。飲み会中にご飯を食べる暇がない理由は、上司や先輩へのあいさつ回りが必要だからです。中には厳しい人もおり、後日、
「あいつ、そういや飲み会の時に挨拶に来なかったな」
と思う人もいます。嫌われることを防ぎましょう。瓶ビールスタイルの場合は、瓶ビールと、自分が飲む用(注がれる用)のコップも忘れずに。上司や先輩にあいさつしながらビールを注ぎ、自分も注いでもらうという一連の流れが、一般的な流れです。このあたりの一連の流れは、土地柄の文化が非常に出やすいものです、それぞれの地域の流儀に合わせた流れを心掛けてください。
上司や先輩にお酒を注いでもらうときは、自分のコップにあるビールを飲み干すことがベストです。しかし、お酒が強い人ばかりではないのも事実です、お酒に強くない人は、一口だけ飲んで、一口分だけ注いでもらいましょう。さらには、お酒が全く飲めない人もいることでしょう。
まともな消防本部では、今やお酒の強要はれっきとしたハラスメントだという認識がスタンダードです。アルコールが飲めないことをはっきり言うべきです。お酒が飲めないからといって、お酒を注ぎに行ってはいけないルールなんてありません。気にせずにあいさつまわりをしてください。ここでポイント。
あいさつに回り始めるタイミングは、いつ始めたらよいでしょうか?
答えは、“自分より上席の人が回り始めたら“です。誰もまだ席を離れていないのに、新人がいきなり席をあけると、
「あいつは何をやってるんだ」
と目をつけられます。とりあえず目立つことをするのは避けましょう。
会計時は割り勘おごり関係なく同じ行動
通常の宴会などは、入り口で受付時に集金スタイルが一般的なので、おごってもらえる機会はほとんどありません。しかし、二次会、三次会となると話は別です。最上位の人が一人で支払ったり、管理職だけで割り勘したりと、とりあえず新人がお金を支払うことはありません。
しかし、これを当然のことと思ってはいけません。回数を重ねてくると、おごってもらえることが当たり前になってきます。しかし、会計時は、常に割り勘分は支払うつもりで、財布を即座に開いてください。
「あいつ、おごってもらうことが当たり前になりやがって」
と思われることを防ぎましょう。もちろん、会計後の、
「ごちそうさまです。」
を忘れずに。ここでさらにアドバイス。飲み会の次の勤務では、さらにポイントアップを狙えます。
できるだけ、多くの人がいる場で、あくまでもさりげなく、
「先日は、ごちそうさまでした。」
と挨拶することです。周囲の人に対して、アピールすることになり、おごってくれた先輩も鼻高々で気分上々。あなたのことを気に入ってくれること間違いなし。
おしぼりが手渡しのお店の場合について
二次会・三次会などで、お姉さんのいるお店に行くこともあります。そのような場合、複数人いると、コの字型のボックス席と呼ばれる、複数人座れる席に案内されます。もちろん奥が上座になりますので、上司や先輩が奥に座り、新人はコの字型の席のはしに座ることになります。
このような場合、お店の女の子が最初におしぼりを配ります。しっかり教育を受けた女の子であれば、奥の上座からおしぼりを配ってくれます。もちろん、偉い人から順におしぼりを受け取ることが礼儀です。しかし、経験の浅い女の子なんかだと、手前の人からおしぼりを渡そうとしてしまいます。ここはチャンスです。
おしぼりを受け取らず、手のひらを上向きにして、ジェスチャーで一番上席の人がだれか教えてあげてください。
女の子はハッと気づき、奥から手前に向かって順番におしぼりを配ることでしょう。おしぼりを最後に受け取ってください。見る人は見てくれています。小さなことの積み重ねで、気遣いのできる男の称号を手に入れましょう。
消防士の飲み会は頻度が高い|新人が使える気遣い9選のまとめ
消防士の飲み会について、できるやつと思われる気遣いを9つ紹介しました。まとめると、次のとおりです。
飲みつぶれてしまうと、失敗をしてしまう可能性が高くなります。そのためにも、飲み会前の肝臓管理は重要です。急な飲み会にも対応できるよう、ヘパリーゼは常にかばんに入れておきたいですね。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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