こんにちは、TEAM WEBRIDです。この記事では、消防本部の呼び方の違いについて説明します。テレビや新聞などでは、
などと耳にすると思いますが、同じ消防組織のはずなのに、本部名の語尾が、「局」だったり、「組合」だったり、「本部」だったり、複数存在しています。不思議ですよね。
この記事を読むことで、組織名の語尾の違いによる組織の違いがよくわかります。なお、消防本部の名前については、消防組織法において、次のとおり記載があります。
(消防本部及び消防署)
第十条
消防本部及び消防署の設置、位置及び名称並びに消防署の管轄区域は、条例で定める。
2 消防本部の組織は市町村の規則で定め、消防署の組織は市町村長の承認を得て消防長が定める。
消防組織法
「消防〇〇」語尾の違い:消防庁とは?
消防庁という一言だけでも2種類の意味が存在します。それは、
です。2つの組織の違いについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
「消防〇〇」語尾の違い:総称としての消防本部
消防本部とは、総称としての消防本部と、個別の本部名としての消防本部と2通りの使い方をしています。
全国に、いくつの消防があるの?
という話であれば、全国にいくつの消防本部があるのかという使い方が適切です。全国に消防音楽隊はどれぐらいあるのかという話でも、全国で130ぐらいの消防本部に消防音楽隊が存在しているという使い方が適切です。
ここまでは、総称としての消防本部という語尾でした。次は、もう1つの使い方を説明します。
「消防〇〇」語尾の違い:消防本部とは?
個別の消防本部の名前として使われています。具体例を挙げると、鎌倉市消防本部、四日市市消防本部、今治市消防本部など、単独で存在する消防本部の固有名詞の一部として使われています。どうして「鎌倉市消防局」とは呼ばずに、「鎌倉市消防本部」なのでしょうか。
それは、鎌倉市消防本部の運営元である鎌倉市が「部制」をひいているためです。そもそも消防本部は、各市町村などの自治体により運営されています。したがって、消防士になるということは、その消防本部を運営している自治体の職員になるということになります。
上の具体例でいうと、鎌倉市消防本部の消防士になるということは、鎌倉市の職員になるということになります。四日市市消防の消防士になるということは、四日市市の職員になるということになります。
では、鎌倉市のホームページを見てみてください。総務部、こどもみらい部、まちづくり計画部、都市景観部、環境部、市民生活部、など、どこの所属も、「部」です。総務局や、こどもみらい局、まちづくり計画局、都市景観局ではありません。
したがって、消防だけが「局」を名乗ることはなく、「本部」を名乗ることになります。これらのことから、消防本部を名乗っている消防本部は、消防局や消防組合を語尾に使う消防本部に比べて、規模の小さい消防本部、例えば、中核市に満たないような消防本部に多い傾向があります。
「消防〇〇」語尾の違い:消防局とは?
その消防本部を運営している自治体が「局制」をひいている場合、語尾に「局」を用いる消防本部名になります。
具体例としては、千葉市消防局、神戸市消防局、福岡市消防局などの政令市や、船橋市消防局、姫路市消防局、松山市消防局、鹿児島市消防局などの中核市が、本部名の語尾に「消防局」を用いています。
自治体の規模からもわかるように、消防本部より消防局のほうが、消防職員の数が多くなっています。
「消防〇〇」語尾の違い:消防組合とは?
消防組合というのは、読んで字のごとく、元々は別々の消防本部だったもの同士が、協力して1つの消防本部になった(組合を作った)消防本部のことをさしています。
どうして組合になる必要があるの?自治体が単独で運営するのが普通でしょ?
組合を作るのは、複数の理由が存在します。
など、他にも金銭面や、地域の事情など多くの理由が存在しています。具体例を挙げてみます。
鳥取県
県が主体となって、県内を3つの消防本部に整理しています。
人口過疎化日本一の鳥取県としては、財政難や市町村の存続自体が危ぶまれているため、非常に合理的な統合を実施しているようです。
奈良県
県内13本部を1本部にすべく動いていましたが、最終的には11本部が協力することになり、奈良県広域消防組合として運営されています。
埼玉県
5本部が協力して埼玉東部消防組合として運営されています。100十数名ぐらいから100名に満たない小規模な本部が集まることで、中核市規模の消防本部を形成しています。
広島県
福山市を中心として3つの消防本部が協力して、福山地区消防組合を形成しています。埼玉県の埼玉東部消防組合と似ていますが、こちらは少しイメージが違い、中核市規模である福山市の消防本部が近隣の小規模の消防本部エリアの世話をしているようなイメージです。
埼玉県の埼玉東部消防組合が協力合併というイメージだとしたら、広島県の福山地区消防組合は吸収合併といったイメージでしょうか。組合消防の運営費は、各市町村から捻出されるため、組合を組む消防本部の規模に大きな差がある場合は、突出して大きな本部の権限が大きくなるのは自然な流れのようです。
秋田県と愛知県
この2県は令和になってから、県内を1つの消防本部にすべく、検討段階に入りました。組合化(広域化)には、非常に多くの時間と労力がかかるようで、すぐには実現するわけではありませんし、他県の例のように離脱をする消防本部がいてもおかしくはありません。
特に、愛知県の豊田市消防本部などは、世界を代表する一流企業のトヨタ関連企業からの税金により非常に財政事情が潤っています。そのような本部にとっては、組合化(広域化)するメリットはなく、デメリットのほうが大きくなります。
しかし、近い将来に、もしも県内の消防本部が1つになるようなことが実現した場合は、今後他県においても、ますます増えていくことが予想されます。理由は、国(総務省消防庁)が、組合化(広域化)を強く推進していること。
県内一本化に必要な準備や検討事項、調整事項などがわかるようになれば、その情報を水平展開することで、他県も県内一本化へ動きやすくなります。
採用試験にも影響が出る
県内の消防本部が1つになる動きが予想されてくると、現在、消防士を目指している人たちにとっては、影響が大きなものとなります。今までは、希望する本部にこだわって採用試験を受験してきた受験生がいるはずです。
希望する消防本部の採用試験は落ちたものの、隣接する同じ県内の消防本部は受かった。どうしよう、希望する消防本部は諦めて、希望しない消防本部に就職しようか。それとも、希望しない受かった消防本部は辞退して、来年また希望する消防本部の採用試験に挑戦しようか。
今までなら、この考えだけで大丈夫でした。しかし、今後は、今後県内の消防本部が一本化する可能性がある場合は、その可能性にかけて希望しない消防本部に就職しておくという選択肢が生まれます。
また、県内の消防本部の一本化が確実に数年後に行われることが報道発表などによりわかっている場合は、次のような、消防士になりやすい応用技があります。
それは、意図的に、人気の低い消防本部、採用試験の受験倍率が低い消防本部などを受けてとりあえず消防士になり、その後の組合化(広域化)により、希望するエリアの消防署へ異動希望を出すというものです。まだまだ先のことになりますが、中学生や高校生の立場でこの記事を読んでいる学生にとっては、十分現実的な、消防士になりやすい応用技と言えるでしょう。
\消防士採用試験について詳しく知りたい方はこちらの記事/
「消防〇〇」語尾の違い:広域消防?
消防組合と似たようなイメージです。複数の自治体をまたいで、複数の消防本部が一つの消防本部を形成しています。組合を作るのと違い、自治体同士で協定などを結んでいます。協力して一つの消防本部で消防行政を担いましょうというものです。
「消防〇〇」語尾の違い:中には応用技もある
消防本部、消防局、消防組合、広域消防、それぞれを単独で説明してきましたが、組合や広域化の際の協定内容は千差万別。したがって、異なる語尾が組み合わされることもあります。
両消防本部とも、上記が正式名称ですが、「広域+消防局」であったり「組合+消防局」という名称になっています。土地柄によるパワーバランスも影響しているものと推測できます。
【徹底解説】消防〇〇?5つの語尾の違い理解していますか?まとめ
消防本部、消防局、消防組合の語尾の違いについて説明してきましたが、違いが明確になったでしょうか。途中から語尾の違いだけでなく、県内消防本部の一本化の動きについても説明しました。
今後の秋田県及び愛知県の動向は、これから消防士になろうとする人だけでなく、現役の消防職員も気になることでしょう。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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