今回の記事は、消防本部が運営するSNSの公式アカウントについて解説します。
SNSの普及に伴い、公式アカウントを作る消防本部は増えています。
消防本部の公式アカウントをフォローするメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
この記事を読むことで、消防本部の公式SNSアカウントをフォローするメリットや、得られる情報、大規模災害発生時の注意点などがわかります。
消防本部のSNS:珍しい写真が見えることも
消防本部のSNSでは、写真を多用している消防本部が多く見かけられます。
広報には、文字より写真のほうが伝わりやすいからと思われます。
そのような写真というのは、一般市民ではなかなか撮影できないような写真もあります。
それはそうですよね、消防士の人が撮影している写真なので。
消防に関する写真が好きな人、普段は見かけることがない消防の場面を見たい人はフォローすることをお勧めします。
ただ、どこの消防本部も、火災現場の写真や、事故現場の写真などは投稿することはありません。
被災された方の心情を考慮したものと考えられます。
消防本部のSNS:イベントの予定がわかる
消防本部が、公式SNSで広報する目的の一つとして、イベントの告知があります。
イベントをせっかく行うならば、より多くの市民に参加してもらいたいのが本音です。
そのため、事前のお知らせの方法の一つとして、SNSを利用しています。
- 消防車の写真が撮りたい人
- 消防関係のグッズがもらいたい人
- 消防士と話がしたい人
- 子供が消防車が好きな人
などは、消防本部の公式アカウントをフォローしておくことで、週末の消防イベントに行く予定が立てやすくなると思われます。
消防本部のSNS:季節柄の行事や注意喚起がわかる
消防本部は、年間を通して、定期的にSNSへ投稿する内容が決まっているものがあります。
- 春の全国火災予防運動
- 秋の全国火災予防運動
- 危険物安全週間
- 防災の日
- 救急の日
- 文化財防火デー
などがそれになります。
各行事に合わせてイベントを行ったり、その時期に合わせた注意喚起を行います。
たとえば、暖房器具を使い始める時期には、暖房器具による火災危険をお知らせしたり。
または、熱中症が盛んな時期には、水分を取ることや、熱中症と思われる症状が出始めたときの対処法を説明したり。
安全に生活するために必要な情報が定期的にタイムラインに流れてくれるというメリットがあります。
消防本部のSNS:大規模災害時は有意義な情報が多い
近年は、台風の時期はどこかしらで、洪水や河川の氾濫が起きています。
昔に比べて、大規模な災害は身近なものとなり、いつ自分が被災するかはわからない時代となりました。
他人事ではなくなりました。
- 自分の命を守る
- 家族の命を守る
- 自分の財産を最大限守る
ためには、自分で災害情報を取りに行くことが不可欠です。
どこの自治体でも、最低限の災害時の連絡は、防災無線を使っているところが多くなっています。
ただ、防災無線には、大雨のときなどは、雨音にかき消されて聞きにくいという弱点があります。
小さい市町村だと、全世帯に防災ラジオを配布しているところもあります。
そのようなエリアは、しっかりと災害情報は聞き取れるはずです。
しかし、中核市や、政令指定都市ぐらいになってくると、世帯数が多いために、採算が合わず、全世帯に防災ラジオを配布することは現実的ではありません。
やはり、防災無線に頼らざるえない状況です。
防災無線が聞こえるかどうか不明で不安な時は、インターネットを利用して、自治体や消防本部が投稿するSNS記事から災害情報を手に入れることは、有効な手段です。
防災無線のように、雨音にかき消されることもありません。
最低限、自分が住んでいる自治体と、自分が住んでいる地域を管轄している消防本部の公式SNSアカウントはフォローしておきましょう。
消防本部のSNS:SNSを利用した119番通報の落とし穴
大規模な災害が発生した場合、ニュース等で、SNSを利用した救助要請が取りだたされることがあります。
「〇〇の▲▲公民館で孤立しています。近所の人達と一緒に避難していて大人が5人います、食料もありません、橋が濁流で流されて、車はあるけど避難できません #救助要請」
といった投稿です。
このニュースをさらっと聞くと、
インターネットが当たり前の世の中だから、それも納得できる、この投稿が拡散されて、消防本部まで届けば、消防車が来てくれるはずだ !
と、みなさん思うでしょう。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
消防車が来ることはまずありません。
そもそも、この要救助者は、どうして119番通報をせずに、SNSへ投稿したのでしょうか。
それは、119番通報をしても、大規模な災害が発生したことにより、119番通報が殺到し、回線がパンクしているためです。
そのため、仕方なく、SNSによる救助要請の投稿を試みたわけです。
ここまで聞くだけなら、
この要救助者の人は機転が利くな、ナイスアイデア ☆
と褒めたくなります。
しかし、実際はナイスアイデアではありません。
え?なんで?
と一般市民の方は思うでしょう。
では、消防本部側の状況を説明することで、納得してもらいましょう。
大規模災害が発生すると、被害状況が見えてくるにつれて、119番通報が増えてきます。
通報内容に合わせて、適切な出動車両を選定し、出動させます。
通報が入るたびに、出動する車両が増えます。
大規模な災害なため、119番通報がどんどん増えます。
消防車を出動させます。
または、災害事案が終了した隊を、別の現場にも向かわせます。
まだ119番通報は止みません。
とうとう、出動できる車両がなくなってしまいました。
それでも119番通報はやみません。
通信指令員は、現場の場所や、被害状況などを通報内容から記録し、事案ごとに時系列に並べ、活動が終了した隊を転戦させます。
救助事案がどんどん積み重なり、活動隊も転戦を繰り返します。
119番通報はというと、すでに当分前から飽和状態、俗に言う回線がパンク状態であり、119番通報がつながることの方が珍しくなっています。
災害の規模が大きければ大きいほど、この状態が長期化します。
さー、ここで、話を先ほどの公民館の要救助者に戻してみましょう。
119番がつながりません。
仕方なく、機転を利かせ、SNSによる救助要請を試みます。
みなさん、考えてみてください、先ほど説明した消防本部側の状況で、SNSによる救助要請を把握したからといって、「119番通報で受けつけたもののまだ対応できていない災害事案リスト」の時系列に組み込むと思いますか?
答えはノーです。
119番通報による救助要請を優先します。
優先するというより、SNSによる救助要請は、大規模な災害時には相手にしません。
相手にしない !
と言い切ってしまうと、かなり非情なイメージを持つかもしれませんが、理由は次のとおりです。
- 信憑性がない(イタズラかもしれない)
- 経過がわからない(救助要請がもう必要なくなったかもしれない)
- 場所が特定できない(目印がない救助現場はSNS投稿だけでは不明確)
- 出動車両がない(119番通報の回線がパンクするほど災害事案が溜まっている)
これらの理由を聞くと、確かにSNSによる通報を相手にすることは、非効率と思われます。
SNSによる救助要請に対応するよりは、119番通報により
- 信頼性が高い(イタズラではなさそう)
- 経過もわかる(まだ救助要請が必要)
- 場所も特定できた(口頭により救助現場を詳しく説明)
といった事案に、出動可能な隊が空き次第出動させる方が効率的です。
したがって、もしも、あなたが大規模な災害に被災し、要救助者になってしまった場合は、根気強く、119番通報を行うことを意識してください。
ただ、119番通報は諦めずにかけるものとし、119番+αとしてSNSによる救助要請投稿も行うのであれば、より効果的かもしれません。
とりあえずは、119番通報が最優先であることを忘れないでください。
消防本部のSNS:SNSを利用した119番通報の例外
前段では、大規模災害時においては
119番通報による救助要請>>>>>>>>>>SNSによる救助要請
である理由を解説しました。
では、SNSによる救助要請は全く無意味なのかというと、必ずしも無意味ではありません。
前段の解説は、あくまでも“大規模災害時”に限った状況での話です。
平常時、言い換えると、
- 119番回線はパンクしていない
- 消防車両もいつでも出動できる
ような状況下では、SNSによる救助要請に期待してもよいかもしれません。
ただ、119番通報すれば電話がつながる状況なので、例えば
- スマホを持っているけど、連絡手段はLINEで済ませている
- 音声通話機能がない格安SIMカード契約のため119番通報できない
ような人にとっては、SNSによる通報は有効な手段になるでしょう。
ちなみに前段のような、
SNSを使って救助要請したのに、消防車が来ない!
というトラブルを避けるために、消防本部の公式SNSアカウントは、プロフィール欄に
SNSによる通報は受け付けていません、119番通報を利用してください!
というメッセージを記載している消防本部がほとんどです。
消防本部のSNS、フォローするメリットといざという時の落とし穴のまとめ
今回の記事では、
- 消防本部の公式SNSアカウントをフォローすることで得られる情報
- SNS投稿を利用した救助要請時の注意点
などについてレポートしました。
フォローすることで得られる情報は、生活に役立ちそうですね。
特に、消防の写真が撮りたい人、子供が消防車を好きな人には、大きなメリットとなりそうです。
フォローすることは無料なので、自分が住んでいる地域を管轄している消防本部のSNS公式アカウントは、いざという時のためにもフォローしておいて、損はないはずです。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
コメント