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【消防士】予防技術資格者を徹底解説【ワッペンやバッジがあるよ】

予防業務

こんにちは、TEAM WEBRIDです。
みなさん、『予防技術資格』という資格を聞いたことがありますか?
消防業界では有名な資格ですが、一般市民にとっては、聞きなれない資格です。
そこで今回は、『予防技術資格』について、制度の仕組みを徹底解説します。
今回の記事も、現役消防士の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートします。
この記事を読むことで、予防技術資格がどんな資格で、消防士の世界でどのように扱われている資格なのかが理解できます。

予防技術資格とは

火災の予防に関する高度な知識及び技術を有するものとして消防庁長官が定める資格のことです。

予防技術資格には種類がある

予防技術資格の区分
  • 防火査察
  • 消防用設備等
  • 危険物

の3種類が存在します。

予防技術資格を取得する方法は?

予防技術検定に合格することで、予防技術資格を取得できます。

予防技術検定とはどんな検定のこと?

  • 予防業務全般
  • 防火査察
  • 消防用設備等
  • 危険物

に関する高度な知識及び技術についての試験として、総務省消防庁長官が確認した検定のことです。

予防技術資格者とは?

予防技術検定に合格し、予防技術資格を取得しただけでは、予防技術資格者にはなれません。
変わった制度ですよね。
普通の資格であれば、資格を取得することで、資格者を名乗れるはずです。
では、どうすれば予防技術資格者を名乗れるのでしょうか。
その方法は2通りあります。
それぞれ説明します。

予防技術資格者になる方法①

ひとつ目の方法は次の3段階です。

1.決められた科目と時間の講習課程を修了する
2.予防技術検定に合格する
3.火災の予防に関する業務に通算して2年以上従事した経験をもつ消防職員

この3段階をクリアすることで、はじめて予防技術資格者を名乗ることができます。
決められた科目というのは、資格の種類(防火査察・消防設備等・危険物)ごとに異なっています。
その科目と時間は次のとおりです。

決められた科目と時間(防火査察)

教科目時間数
予防広報二十時間
危険物八時間
消防用設備十二時間
査察二十四時間
建築十時間
火災調査十五時間
査察十一時間
違反処理十四時間
査察実習七時間
事例研究六時間
効果測定等五時間

決められた科目と時間(消防用設備)

教科目時間数
予防広報二十時間
危険物八時間
消防用設備十二時間
査察二十四時間
建築十時間
火災調査十五時間
消防同意六時間
設備規制事務二十六時間
事例研究六時間
効果測定等五時間

決められた科目と時間(危険物)

教科目時間数
予防広報二十時間
危険物八時間
消防用設備十二時間
査察二十四時間
建築十時間
火災調査十五時間
危険物化学五時間
危険物規制二十一時間
事例研究四時間
効果測定等五時間
危険性評価・設備等の性能評価八時間

予防技術資格者になる方法②

ふたつ目の方法は次の3段階です。

1.決められた資格を習得する
2.予防技術検定に合格する
3.火災の予防に関する業務に通算して4年以上従事した経験をもつ消防職員

ひとつ目の方法とは、1番3番が違っています。
1番では、決められた講習課程の終了ではなく、決められた資格の取得になっています。
3番では、経験年数が2年以上から4年以上に伸びています。
ふたつ目の方法も、この3段階をクリアすることで、はじめて予防技術資格者を名乗ることができます。
では、決められた資格を確認しましょう。
この決められた資格も3種類ありますが、資格の種類の3種類とは別物です。
つまり、どの決められた資格でも、予防技術検定すべてに対応しています。
3種類の決められた資格とは次の3つです。

決められた資格①特定の学科又は課程の卒業資格

大学、高等専門学校、大学院において理工系又は法学系の学科又は課程を卒業した人。
つまり、消防職員じゃなくても、予防技術検定は受験できるという意味です。

決められた資格②特定の授業科目の履修資格

大学、高等専門学校、大学院において機械、電気、工業化学、土木、建築又は法律に関する授業科目を20単位以上修得した人。
こちらも同様に、条件を満たせば、消防職員でなくても予防技術検定を受験できるということです。

決められた資格③消防職員としての職務経験

予防業務に一年以上従事した経験を有する消防職員。
ほとんどの消防職員は、この条件をもとに予防技術検定を受験しています。

予防技術検定とはどんな試験?

予防技術資格というのがどのようなものなのか、だんだん見えてきましたね。
では、予防技術資格を取得するための予防技術検定について説明を進めます。

予防技術検定の方法

筆記により行われます。

予防技術検定の実施区分

次の3つの区分により行われます。

  • 防火査察
  • 消防用設備等
  • 危険物

予防技術検定の検定科目

予防技術検定の検定科目は、

  • 共通科目
  • 専攻科目

に分かれます。
もちろん、3つの資格区分ごとに、専攻科目が異なります。
それぞれの資格について、検定科目を見ていきます。

予防技術検定(防火査察)の検定科目

共通科目
※予防業務全般に関する一般知識

立入検査・防火管理・違反処理
※消防法(昭和二十三年法律第百八十六号。以下「法」という。)第三条から法第六条まで、法第八条から法第九条の二まで及び法第十七条の四並びにこれらに関する法律、政令、省令及び告示等並びにこれらに関する業務

予防技術検定(消防用設備等)

共通科目
※予防業務全般に関する一般知識

消防同意・消防用設備等・建築基準法令
※法第七条、法第十七条から法第十七条の十四まで及び
法第四章の二並びにこれらに関する法律、政令、省令及び
告示等並びにこれらに関する業務

予防技術検定(危険物)

共通科目
※予防業務全般に関する一般知識

危険物の性質・危険物規制
※法第九条の三、法第九条の四及び法第三章並びに
これらに関する法律、政令、省令及び告示等
並びにこれらに関する業務

検定科目の免除

1区分以上の検定に合格している状態で、他の区分の検定を受ける人については、申請により、共通科目(予防業務全般に関する一般知識)の検定科目を免除することができます。
わかりやすく言うと。
あなたが、防火査察の検定に合格したとします。
もちろん、共通科目、立入検査、防火管理、違反処理の科目を受験してのことです。
次の危険物の検定を受けようとします。
本来ならば、共通科目、危険物の性質、危険物規制の科目を受験する必要があります。
しかし、申請を行うことにより、共通科目は受験が免除され、危険物の性質、危険物規制の科目を受験するだけでよいことになります。

予防技術検定の合格基準

予防技術検定の合格基準は、共通科目と専攻科目の合計の成績が、60パーセント以上必要です。
共通科目を免除した場合は、専攻科目だけで60パーセント以上必要です。
このルールは、2個目以降の合格を狙う場合は、判断が分かれますね。
例えば、共通科目が得意で専攻科目が苦手な場合、共通科目の得点で苦手な専攻科目をカバーできるため、共通科目と専攻科目の両方を受けたほうが合格しやすくなります。
逆に、共通科目が苦手な人は、共通科目を免除して専攻科目だけで勝負した方が合格しやすくなります。
また、特に得意不得意がない場合は、共通科目を免除し、勉強する必要がある範囲を専攻科目だけに絞った方が効率的に勉強できるはずです。

予防技術資格者になると何ができるようになるの?

ここまで予防技術資格について、説明してきましたが、この資格を持っていると、どのような変化があるのでしょうか。
実は、たいした変化はおきません。
というのも、そもそもこの資格自体が、「火災の予防に関する高度な知識及び技術を有するもの」としての証明しか効力がありません。
この資格を持っていないと、取りかかることのできない仕事もありません。
持っている人も持っていない人も、同じ仕事をしています。
制度の創設自体が、予防業務に従事する職員のスキルアップだけでなく、モチベーションアップという狙いもあったのではないかと思われる資格制度です。
あえて、予防技術資格者になることのメリットをあげるとすれば、次の2つです。
もちろん消防本部によって、該当するかどうかはバラバラです。

予防技術資格者になるメリット①資格者証の表示

消防本部によっては、「予防技術資格者」とわかるようなワッペン資格者証バッジを設けている消防本部があります。
予防業務に従事する消防職員の中でも、高度な知識をもっているとアピールできるものです。
バッジに関しては、取得状況により、次のような違いを設けている本部が多くみられます。

バッジの色が金色 ⇒ 3区分すべての予防技術資格を持っている職員
バッジの色が銀色 ⇒ 1区分でも予防技術資格を持っている職員

または

バッジの色が金色 ⇒ 3区分すべての予防技術資格を持っている職員
バッジの色が銀色 ⇒ 2区分の予防技術資格を持っている職員
バッジの色が銅色 ⇒ 1区分の予防技術資格を持っている職員

階級章のように、ランクが上がるというのは、モチベーションアップにも効果的ですね。

予防技術資格者になるメリット②手当の支給

制度創設時の総務省消防庁における検討会においては、予防技術資格者になることによる手当の支給も視野に入れていたようです。
しかし、実際に手当を支給するのは消防本部を運営する市町村町です。
財政事情により、予防技術資格者に関係した手当の支給に至っている消防本部はないようです。
もしも、予防技術資格者に関係した手当を支給している消防本部があれば、ご連絡お待ちしております。

【消防士】予防技術資格者を徹底解説【ワッペンやバッジがあるよ】

予防技術資格者について、レポートしました。
まとめると、次のとおりです。

  • 予防技術資格とは高度な知識及び技術を有するのこと
  • 予防技術資格には3種類がある(防火査察・消防設備等・危険物)
  • 予防技術資格を取得するには予防技術検定に合格する必要がある
  • 予防技術資格者には、予防技術検定に合格しただけではなることができない
  • 予防技術検定も資格に合わせて3区分存在する
  • 2区分目以上の資格取得には共通科目を免除することができる
  • 予防技術検定の合格基準は60%以上正解する必要がある
  • 予防技術資格者になってもできる業務は変わらない

予防技術資格を取得するメリットはあまりないようです。
しかし、消防職員が合格を目指して勉強することによる予防技術のスキルアップという意味では、大きなメリットであると理解できます。

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