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無理だろ!消防士は出動前にアルコールチェックが義務化だって!?

警防業務

こんにちは、TEAM WEBRIDです。
今回は、消防士の業務に大きな影響のある法改正の話し。
改正される法律はこれ。

「道路交通法施行規則第9条の10」

内容は、安全運転管理者の業務に「運転者に対するアルコール検査」が義務化されたというもの。

これの何が大きな影響なのかというと、運転業務の開始前後にアルコール検知器を使用したアルコール検査をしなければならなくなったということです。
つまり、出動に1分1秒を争う消防士たちが、出動指令が入ったらこれから運転をするということで運転前のアルコール検査をしないと出動できないというわけ。

そんなバカなという話です。

今回も現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに解説します。
この記事を読むことで、消防士の出動前アルコール検査について理解できます。

それではレポートします。

業務前後(出動前後)のアルコール検査が必要になった経緯は?

今回の法改正は、ある交通事故がきっかけになっています。
それは千葉県八街市での出来事。
建築現場労働者のおじさんが、下校中の5人の児童を自動車ではね、3人が死傷、2人が負傷したものです。
運転手からはアルコールが検知され、原因は飲酒運転による交通事故と判明しました。
しかしこのおじさん、仕事帰り。
昨晩よっぽど飲みまくり、アルコールが分解されず残っていたのか?
違います。
なんと、仕事の合間の昼食時に飲酒していたというのです。
一般常識では考えられないことですが、実際に起きた出来事です。

この悲惨な交通事故を防ぐために考えられたのが、今回の法改正です。

今までは、運転前のアルコール検査は運送業や観光業(バスの運転手など)ではごく当たり前のこととなっていました。
しかし、法改正によって、運転後のアルコール検査も義務化されました。
確かに、業務先で飲酒されたんじゃ、業務前検査だけでは意味がない。

業務先、または、業務中に飲酒をしていないかを確認するためには、運転業務終了時のアルコール検査が必要です。

運転業務終了後に、アルコール検査があるというブレーキがかかれば、運転業務中に飲酒しようなどというバカな考えを持つ人も減るだろうというのが狙いです。
この時点ですでに、消防はとばっちりを受けているように感じるのはみなさん同じでしょう。

消防士が火災現場や救急現場へ出動し、帰署するまでの間にどこかで飲酒するわけないじゃないですか。

消防士の運転前後アルコール検査について法改正の中身を具体的に考察してみよう

今回の法改正については、時期的に2段階に分かれた法改正となっています。
時期の違いは次の2段階。

  • 令和4年4月1日施行
  • 令和4年10月1日施行

具体的な内容について、時期ごとに説明します。

【令和4年4月1日施行】消防士の運転前後アルコール検査について

まずは本筋、業務開始前後の運転者の酒気帯びの有無を確認することが定められました。
確認方法はこれ。

原則は、対面で目視により

  • 運転者の顔色
  • 呼気の臭い
  • 応答状況

等を確認するものです。
ただ状況的に、必ず対面できるような状況ばかりとは限りません。
非現実的な法改正を設けてもうやむやになってしまうだけ。
そこで例外が設けられています。

対面での確認が困難な場合は、携帯電話等の直接対話できる方法により確認するというものです。
顔色や呼気の臭いは確認できませんが、応答状況により、呂律が回っていないかなどの確認により飲酒状況を確認するわけです。

他にも大きな内容が。
それは、確認事項を記録し1年間保存するということ。
確認事項は次のとおり。

  • 確認実施者
  • 運転者
  • 使用車両の登録番号
  • 確認日時
  • 確認方法
  • 酒気帯びの有無
  • 指示事項
  • その他必要な事項

本当に飲酒状況の確認を行ったかどうか、記録を取ることで、いざ事が起こった時の責任問題の確認にもなるわけです。

法文的にはこうです。

第九条の十 法第七十四条の三第二項の内閣府令で定める業務は、次に掲げるとおりとする。

一 自動車の運転に関する運転者の適性、技能及び知識並びに法及び法に基づく命令の規定並びに法の規定に基づく処分の運転者による遵守の状況を把握するための措置を講ずること。

二 法第二十二条の二第一項に規定する最高速度違反行為、法第五十八条の三第一項に規定する過積載をして自動車を運転する行為、法第六十六条の二第一項に規定する過労運転及び法第七十五条第一項第七号に掲げる行為の防止その他安全な運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成すること。

三 運転者が長距離の運転又は夜間の運転に従事する場合であって、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置すること。

四 異常な気象、天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示その他安全な運転の確保を図るための措置を講ずること。

五 運転しようとする運転者に対して点呼を行う等により、道路運送車両法第四十七条の二第二項の規定により当該運転者が行わなければならないこととされている自動車の点検の実施及び過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。

六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認すること。

七 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存すること。

八 運転者名、運転の開始及び終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。

九 運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと(法第七十四条の三第二項に規定する交通安全教育を行うことを除く。)。

道路交通法施行規則第9条の10(令和4年4月1日 施行)(安全運転管理者の業務)

【令和4年10月1日施行】消防士の運転前後アルコール検査について

半年遅れで施行されるのは、次の2つ。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認は必ずアルコール検知器を使用して行うこと
  • 記録事項にアルコール検知器使用の有無を追加すること

酒気帯びの確認について、4月以降は目視でよかったものの、10月以降はアルコール検知器の使用が義務化されます。
目視ではなく、道具を使用しろという意味です。
このことに連動し、1年間保存義務のある記録事項についてもアルコール検知器の使用について記録が必要となります。

法文的にはこうです。

第九条の十 法第七十四条の三第二項の内閣府令で定める業務は、次に掲げるとおりとする。

【一~五 略】

六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国家公安員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認を行うこと。

七 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。

【八・九 略】

道路交通法施行規則第9条の10(令和4年10月1日 施行)

消防士の運転前後アルコール検査に必要になるアルコール検知器の性能は?

ちなみに、アルコール検知器の性能はどこまで求められるのでしょうか。
意外なことに、特段の性能上の要件は求められていません。
呼気中のアルコールの有無を

  • 数値

などにより確認できれば、どんなものでもOKです。
アルコール検知器と一言で言っても値段はピンキリ。
中華性と思われる粗悪品からドレーゲルのような高級品まで様々です。

コスパと信頼性、耐久性を考慮すれば、安心の日本メーカーにするのが正解です。

なお、商品によっては「アルコール検知器協議会認定品」という、いかにもという肩書のついたものがあります。
ただ業界の情報によると、この認定品は食品業界における「モンドセレクション」と同様、協議会にお金を払えば認定されるようなものだそうです。
したがって、「アルコール検知器協議会認定品」という肩書を重要視するより、

  • コンデンサーが国産か?
  • ストロー方式による検知方法は必要か?
  • 自動電源オフ機能付きか?それまで何分か?
  • 使用可能回数はどれぐらいか?(一般的には5,000回以上)
  • 駆動方式は電池式か充電式か?

といった項目で選定するのが適切です。
いろいろ言いましたが、もちろん「アルコール検知器協議会認定品」を否定するわけではなく、「アルコール検知器協議会認定品」であれば、粗悪品ではないことは確かです。

それなりに良いものを買いたい人は性能で選び、安くていいけど安物買いの銭失いにはなりたくないという人は「アルコール検知器協議会認定品」の中から値段で選べば失敗はないはずです。

結局、消防士たちは出動のたびに、アルコールチェックが必要なのか?

ここまで法改正の内容について遠回りをしましたがここから本題。
消防士たちは出動のたびに、アルコールチェックが必要なのか?

答えはNOです。

なぜか?
それは全国の県警などから示されている改正に関連する質疑応答集(Q&A)に記載されています。

Q 1日に何度も自動車で出入りをするような業務形態の場合、その都度アルコールチェックが必要なのか?

まさしく消防士の勤務形態ですね。
この質問に対する回答がこちら。

A 必ずしも運転前後に検査が必要なわけではなく、業務の開始時、または就業の開始時、及び業務終了時、または終業時の検査でよい

というもの。
消防士のように、24時間の交代勤務中、適宜出動を繰り返すような職種にあっては現実的な内容です。
警察なんかも同様ですね。
一般会社では、自社と特定の営業先を1日に何往復もするような形態の業種が想定されています。

結果的には、消防士にとっては今回の法改正によって、勤務日の朝出勤したらアルコール検査を行い、24時間経って交代勤務が終わったら、アルコール検査をして消防署から帰るという変化が生まれただけです。

【令和4年7月15日公表】警察庁よりパブコメにより延期が発表されました

今回2段階で行われる法改正の2段目、アルコール検知器の使用について、警察庁より施行時期の延期が発表されました。
つまり、令和4年10月1日以降になっても、アルコール検知器の使用は不要だという意味です。
延期の理由は簡単、アルコール検知器が世の中に普及できていないから。

そもそも、アルコール検知器の使用だけ半年間遅れて施行になった経緯も、アルコール検知器の普及が間に合わないからというものでした。
そりゃそうです、世の中の運転業務のある事業所が一斉にアルコール検知器を買い求めたら、製造が追いつくわけがありません。
全国の消防本部も、アルコール検知器の調達には困難を極めています。

さらに、ロシアのウクライナ侵略による世界情勢不安、半導体不足という追い風により、アルコール検知器の普及は遅れる一方です。
検察庁も、施行時期を遅らせるしか仕方がない。
みんなが守れないルールを施行するということは、逆に法の秩序を乱す原因になってしまうから。

このような世間の流れを受け、延期の期間も明言されることはなく「当面の間」と表現されています。
いつからアルコール検知器の使用が義務化されるか、めどが立たない状態です。

無理だろ!消防士は出動前にアルコールチェックが義務化だって!?のまとめ

運転業務前後におけるアルコールチェックの法改正について、消防士との関連性をレポートしました。
悲惨な事故の再発を防ぐために対策として改正された新ルールですが、運転業務出向中での飲酒がまったくもって非現実的な消防士にとっては手間が増えただけです。

しかし、仕方ありません、日本に住んでいる以上は守らなければならないのが法律です。
アルコール検知器の普及に合わせ、アルコール検知器によるアルコールチェック義務化の施行日が来るのを待つとしましょう。

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