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小規模飲食店の消防対策完全ガイド|届出や消火器の義務

防災・火災予防知識

飲食店を経営する際には、火災のリスクを最小限に抑えるための適切な消防対策が不可欠です。特に小規模な飲食店では、消防署への届出や必要な消火設備、消防法上の義務を理解し、遵守することが重要です。本記事では、飲食店の火災危険性や過去の火災事例を交えながら、必要な消防対策について詳しく解説します。

飲食店の火災危険とは?

飲食店は火を扱う場所であるため、火災のリスクが高いです。特に厨房では、ガスコンロやフライヤーなどの火元が多く、油や可燃物が多いため、火災が発生しやすい環境です。火災が発生すると、店舗だけでなく周囲の建物や人々にも大きな被害をもたらす可能性があります。

飲食店の火災危険性を理解するためには、まず火災の原因を知ることが重要です。一般的な原因としては、以下のようなものがあります。

  1. 調理中の不注意:ガスコンロやフライヤーの使用中に目を離すと、油が過熱して発火することがあります。
  2. 電気設備の不備:古い電気設備や配線の不備が原因で、ショートや過熱が発生し、火災につながることがあります。
  3. 可燃物の管理不足:厨房や店舗内に可燃物が多く存在する場合、火元からの火花や熱で簡単に発火することがあります。

これらのリスクを最小限に抑えるためには、日常的な点検やメンテナンスが欠かせません。また、従業員に対しても火災予防の教育を行い、緊急時の対応方法を周知徹底することが重要です。

消防士に学びたい

過去の飲食店の火災事例について

過去には多くの飲食店で火災が発生しており、その原因や被害状況を知ることで、同様の事故を防ぐための教訓を得ることができます。ここでは、いくつかの代表的な事例を紹介します。

  1. 東京都新宿区の居酒屋火災(2018年):この火災は、厨房での調理中に発生しました。油が過熱して発火し、瞬く間に店舗全体に広がりました。幸いにも人的被害はありませんでしたが、店舗は全焼しました。この事例から、調理中の注意と油の管理がいかに重要かがわかります。
  2. 大阪市中央区の焼肉店火災(2020年):焼肉店での火災は、テーブル上のガスコンロから発生しました。お客様がコンロを操作中に火が大きくなり、テーブル上の可燃物に引火しました。この火災では、数名の負傷者が出ました。この事例は、テーブル上の火元管理とお客様への注意喚起が必要であることを示しています。
  3. 糸魚川市のラーメン屋火災(2016年):糸魚川市で発生した大規模な火災は、ラーメン屋の厨房から始まりました。火災は強風により広がり、周囲の建物にも大きな被害をもたらしました。この事例は、火災が発生した際の迅速な対応と、周囲の環境を考慮した防火対策の重要性を教えてくれます。

糸魚川のラーメン屋を火点とした大火災について

糸魚川市のラーメン屋火災は、特に大きな被害をもたらした事例として知られています。この火災の詳細と、その後の対策について詳しく見ていきましょう。

2016年12月22日、糸魚川市のラーメン屋で発生した火災は、強風により瞬く間に広がり、約150棟の建物が焼失しました。この火災の原因は、厨房での調理中に発生した火災でした。火災発生後、強風により火の粉が周囲の建物に飛び火し、大規模な被害をもたらしました。

この火災を受けて、糸魚川市では以下のような対策が講じられました。

  1. 防火設備の強化:飲食店や周囲の建物に対して、防火シャッターやスプリンクラーの設置が推奨されました。
  2. 防火教育の徹底:地域住民や飲食店経営者に対して、防火教育や訓練が実施されました。
  3. 緊急時の対応強化:火災発生時の迅速な避難や消火活動を支援するための体制が整備されました。

この事例から学ぶべきことは、火災が発生した際の迅速な対応と、日常的な防火対策の重要性です。特に強風などの自然条件が重なると、火災の被害が拡大する可能性があるため、常に最悪の事態を想定した準備が必要です。

消防署への必要な届出

飲食店を開業する際には、消防署への届出が必要です。適切な届出を行うことで、法令を遵守し、安全な店舗運営が可能になります。

消防署への届出は、飲食店の規模や業態によって異なりますが、一般的には以下のような手続きが必要です。

  • 防火管理者選任届
  • 消防計画
  • 消防訓練(消火訓練・避難訓練)の実施結果報告(年に2回)
  • 防火対象物使用開始届

それぞれ説明します。

防火管理者選任届

従業員の数とお客さんの客席数の合計が30名を超えるような場合、防火管理者制度の対象となります。飲食店の防火管理について権限のある方が防火管理者となって、飲食店の防火を管理する業務に従事しなければなりません。具体的には2つの行動が必要。

  • 防火管理者の資格をとる
  • 防火管理者となった旨を消防署へ届け出る

防火管理者の資格をとる

防火管理者の資格は、防火管理者講習を受けることで取得することができます。試験はありません。講習を聞くだけで資格がとれます、だがしかし、2日間の受講が必要なので業務に追われている方は時間の確保のほうが難しいかもしれません。講習の申し込みは、次のホームページから可能です。

一般財団法人 防火・防災協会のホームページ

防火管理者となった旨を消防署へ届け出る

資格をとった後は、消防署への届出が必要です。具体的には「防火管理者選任解任届」という書類の提出が必要です。様式は、管轄の消防署のホームページからダウンロードするのが一般的です。書き方などの詳細は、防火管理者の資格をとるための防火管理者講習で教えてくれます。講習中はよくわからなかったという人は、消防署へ行って教えてもらいましょう。

消防計画作成届

防火管理者は、防火を管理する飲食店の防火についての計画を作成し、「消防計画」として消防署へ提出が必要です。具体的には「消防計画作成届」という書類を消防署へ提出します。様式は、「防火管理者選任届」と同様に管轄の消防署のホームページからダウンロードするのが一般的です。書き方などの詳細も、防火管理者講習で教えてくれます。

消防本部によっては、✓マークや選択記入をするだけで消防計画に必要な項目を網羅できるようなオリジナル様式作成しています。ホームページから様式をダウンロードする際に探してみましょう。消防計画も、防火管理者選任届同様に、書き方が不明な場合は消防署へ行って教えてもらいましょう。

注意

「防火管理者選任届」と「消防計画作成届」は同じものをコピーして2部提出が必要です。消防署がいったん2部ともあずかり、2部とも同じ処理(押印や決裁)をした後、1部は消防署で保管されます。もう1部は申請者へ返却されるので、正しく消防署へ届出ができている証拠として管理しておきましょう。

消防計画は防火管理者が作成すると消防法で決まっています。逆に言うと、防火管理者の選任が義務でなければ消防計画の作成、提出は必要ありません。お間違いなく。

消防訓練(消火訓練・避難訓練)の実施結果報告(年に2回)

防火管理者の業務として、消防訓練の実施と、実施結果の消防署への報告が必要です。訓練の内容には、消火訓練と避難訓練の項目がマスト条件です。実施結果は次のような方法で、年に2回消防署へ届出が必要です。

  • 結果報告書(紙)を消防署へ持参して提出
  • 消防署へ結果報告書をFAXする
  • 電子申請で訓練の実施結果を申請する

訓練の実施結果報告書の様式は、管轄の消防本部のホームページからダウンロードできるので使用してください。防火管理者講習でも書き方を教えてくれますが、不明な場合は消防署へ聞きに行きましょう、優しい消防士さんが丁寧に教えてくれますよ。

防火対象物使用開始届

消防署では、一定規模以上の建物の情報を把握し、台帳を作成して管理しています。火災が起きた時にも、どんな用途の建物で、関係者は誰なのかがわかると迅速に対応できます。その台帳作成のもとになるのがこちら「防火対象物使用開始届」となっています。どのような規模から届出がいるかどうかは各消防本部の条例で定まっています。一例をお知らせすると、

  • (面積要件なしで)劇場、映画館、キャバクラ、遊技場、風俗、カラオケボックス、飲食店、旅館、ホテル、病院、老人ホーム、グループホーム、飛行機格納庫、地下街、建物の地階と連続する地下道、重要文化財、アーケード(延長50メートル以上)など
  • 特定一階段防火対象物※1
  • 前条件以外の用途(不特定多数の利用者あり)で延べ面積150㎡以上
  • 前条件以外の用途(不特定多数の利用者あり)で収容人員30人以上
  • 前条件以外の用途(不特定多数の利用者なし)で延べ面積300㎡以上
  • 前条件以外の用途(不特定多数の利用者なし)で収容人員50人以上
  • 前条件以外の用途で、地階、無窓階、3階以上の階の床面積が50㎡以上
※1 特定一階段防火対象物

特定一階段等防火対象物とは、地階または3階以上の階に特定用途※2があり、避難に使用する階段が屋内に1つしかない建物を指します12。このような建物は、火災時に避難が困難になる可能性が高いため、通常よりも厳しい消防法令が適用されます。

特定一階段等防火対象物の具体例

  • 地階に特定用途部分があり、屋内階段が1つしかない建物
  • 3階以上の階に特定用途部分があり、屋内階段が1つしかない建物

※2特定用途とは:特定用途には、劇場、集会場、飲食店、ホテル、病院など、不特定多数の人が集まりやすい場所のこと

規制の背景

この規制は、2001年に発生した新宿歌舞伎町ビル火災を受けて導入されました。この火災では、避難用階段が1つしかなかったため、多くの死傷者が出ました

となっており、飲食店は面積要件なしで、つまりどんな大きさの飲食店であっても防火対象物使用開始届が必要となっています。「防火対象物使用開始届」も表紙の様式は管轄の消防署のホームページからダウンロードして使用してください。

ただ、飲食店の開業には内装工事や、新築の場合は建築工事が絡んできます。一般的には「防火対象物使用開始届」は建築工事の元受け業者や設備工事業者に委任されることがほとんどで、飲食店を経営される方が直接提出することは非常に稀です。もちろん、すべてD.Y.I.にて開店にこぎつける場合は、経営者自ら動く必要があります。こちらの書類も消防署へは2部提出が必要なのでお忘れなく。

消防士に学びたい

飲食店に必要な消火設備

飲食店では、火災発生時に迅速に対応できるよう、適切な消火設備を設置することが求められます。ここでは、飲食店に必要な消火設備について詳しく解説します。

飲食店に必要な消火設備:消火器

まず、条件次第で飲食店には、消火設備としての消火器が必要です。根拠法令は、消防法施行令第10条第1項第1号ロです。別表第一(三)項というのが飲食店を指しています。

(消火器具に関する基準)
第十条消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
一次に掲げる防火対象物
イ 別表第一(一)項イ、(二)項、(六)項イ(1)から(3)まで及びロ、(十六の二)項から(十七)項まで並びに(二十)項に掲げる防火対象物
ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物で、火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたもの

【消防法施行令第10条第1項第1号ロ】

令和元年10月1日に消防法施行令の一部が改正され、「調理を目的とした火を使用する設備又は器具を設けた」全ての飲食店に消火器具の設置が義務となりました。消火器が義務かどうかは、2段階の条件を確認することで判断ができます。

まず1つ目。「ガスコンロ等の調理を目的とした火を使用する設備又は器具※3を設置していますか?」という条件です。

※3 火を使用する設備又は器具

「飲食物を提供するために、飲食物の調理を目的として設けられたもの」を対象としており、暖房やストーブなどは対象となりません。また、調理を目的として設けられた設備・器具であっても、電気を熱源とするものは「火を使用する設備又は器具」ではありませんので、IHクッキングヒーターや電子レンジも対象にはなりません。

この条件に該当しなければ、言い換えると、火を使用する設備又は器具の設置がなければ、消火器の設置は必要ありません。

火を使用する設備又は器具の設置があるなら、次の2段階目の条件に進む必要があります。次の条件はこちら。

下記3つの安全な条件のうち、1つ以上該当しますか?

  • 鍋等の温度の過度な上昇を感知して自動的にガスの供給を停止し、火を消す調理油過熱防止装置が備え付けられている。※鍋等からの吹きこぼれにより火が消えた場合に、ガスの供給を停止してガス漏れを防止する立ち消え防止安全装置は、上記1には該当しません。
  • 火を使用する設備又は器具の火災を自動的に感知し、消火薬剤を放出して火を消す自動消火装置が備え付けられている。
  • 加熱等によるカセットボンベ内の圧力の上昇を感知し、自動的にカセットボンベからカセットコンロ本体へのガスの供給を停止することにより、火を消す装置である圧力感知安全装置等を設けている。

上記3つのうち、1つでも安全な条件に合えば消火器の設置は必要ありません。もうこれが2つ目(最後)の条件なので、1つも上記の条件に合わないようであれば消火器の設置が必要となっています。

設置だけでは終わらない消火器

設置した消火器などは、いざというときに適正に使用できなければ意味がありません。設置して長年ほったらかしにはできません。そこで消防法では、半年に1回点検し、1年に1回点検結果を消防署に報告するよう義務付けています。

根拠法令は消防法第17条の3の3です。

第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

【消防法第17条の3の3】

詳しく説明すると非常に長いのですが、今は消火器点検アプリが総務省消防庁のホームページからダウンロードできますので活用してください。簡単です。

その他の消防法規制【防炎規制】

最後に、飲食店に必要な消防法の義務をもう1つ説明します。飲食店のような不特定多数の利用者がある用途である飲食店は、防炎規制がかかっています。具体的には、カーテンやじゅうたんなどを店舗に設ける場合、防炎製品しか設置できません。店舗に設けるカーテンなどは、防炎製品を購入してください。

このような表示がある製品が防炎製品です。

さいたま市ホームページから引用

根拠法令は、消防法第8条の3です。その他の政令で定める防火対象物の中に飲食店が含まれています。

  • 高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
  • 防炎対象物品又はその材料で前項の防炎性能を有するもの(第四項において「防炎物品」という。)には、総務省令で定めるところにより、前項の防炎性能を有するものである旨の表示を付することができる。
  • 何人も、防炎対象物品又はその材料に、前項の規定により表示を付する場合及び産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)その他政令で定める法律の規定により防炎対象物品又はその材料の防炎性能に関する表示で総務省令で定めるもの(次項及び第五項において「指定表示」という。)を付する場合を除くほか、前項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
  • 防炎対象物品又はその材料は、第二項の表示又は指定表示が付されているものでなければ、防炎物品として販売し、又は販売のために陳列してはならない。
  • 第一項の防火対象物の関係者は、当該防火対象物において使用する防炎対象物品について、当該防炎対象物品若しくはその材料に同項の防炎性能を与えるための処理をさせ、又は第二項の表示若しくは指定表示が付されている生地その他の材料からカーテンその他の防炎対象物品を作製させたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。

政令で定める防火対象物、政令で定める物品は消防法施行令第4条の3、消防法施行規則第4条の3に記載があります。

(防炎防火対象物の指定等)
第四条の三法第八条の三第一項の政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十二)項ロ及び(十六の三)項に掲げる防火対象物(次項において「防炎防火対象物」という。)並びに工事中の建築物その他の工作物(総務省令で定めるものを除く。)とする。
2別表第一(十六)項に掲げる防火対象物の部分で前項の防炎防火対象物の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、同項の規定の適用については、当該用途に供される一の防炎防火対象物とみなす。
3法第八条の三第一項の政令で定める物品は、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゆうたん等(じゆうたん、毛せんその他の床敷物で総務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)、展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕及び舞台において使用する大道具用の合板並びに工事用シートとする。
4法第八条の三第一項の政令で定める防炎性能の基準は、炎を接した場合に溶融する性状の物品(じゆうたん等を除く。)にあつては次の各号、じゆうたん等にあつては第一号及び第四号、その他の物品にあつては第一号から第三号までに定めるところによる。
一物品の残炎時間(着炎後バーナーを取り去つてから炎を上げて燃える状態がやむまでの経過時間をいう。)が、二十秒を超えない範囲内において総務省令で定める時間以内であること。
二物品の残じん時間(着炎後バーナーを取り去つてから炎を上げずに燃える状態がやむまでの経過時間をいう。)が、三十秒を超えない範囲内において総務省令で定める時間以内であること。
三物品の炭化面積(着炎後燃える状態がやむまでの時間内において炭化する面積をいう。)が、五十平方センチメートルを超えない範囲内において総務省令で定める面積以下であること。
四物品の炭化長(着炎後燃える状態がやむまでの時間内において炭化する長さをいう。)の最大値が、二十センチメートルを超えない範囲内において総務省令で定める長さ以下であること。
五物品の接炎回数(溶融し尽くすまでに必要な炎を接する回数をいう。)が、三回以上の回数で総務省令で定める回数以上であること。
5前項に規定する防炎性能の測定に関する技術上の基準は、総務省令で定める。

消防法施行令第4条の3

(防炎性能の基準の数値等)
第四条の三 令第四条の三第一項の総務省令で定めるものは、次の各号に掲げるもの以外のものとする。
一 建築物(都市計画区域外のもつぱら住居の用に供するもの及びこれに附属するものを除く。)
二 プラットホームの上屋
三 貯蔵槽そう
四 化学工業製品製造装置
五 前二号に掲げるものに類する工作物
2 令第四条の三第三項の総務省令で定めるもの(以下「じゆうたん等」という。)は、次の各号に掲げるものとする。
一 じゆうたん(織りカーペット(だん通を除く。)をいう。)
二 毛せん(フェルトカーペットをいう。)
三 タフテッドカーペット、ニッテッドカーペット、フックドラッグ、接着カーペット及びニードルパンチカーペット
四 ござ
五 人工芝
六 合成樹脂製床シート
七 前各号に掲げるもののほか、床敷物のうち毛皮製床敷物、毛製だん通及びこれらに類するもの以外のもの
3 令第四条の三第四項各号の総務省令で定める数値は、次のとおりとする。
一 令第四条の三第四項第一号の時間 薄手で布(一平方メートル当たりの質量が四百五十グラム以下の布をいう。以下この項及び次項において同じ。)にあつては三秒、厚手で布(薄手で布以外の布をいう。以下この項及び次項において同じ。)にあつては五秒、じゆうたん等にあつては二十秒、展示用の合板及び舞台において使用する大道具用の合板(以下この項、次項及び第六項において「合板」と総称する。)にあつては十秒
二 令第四条の三第四項第二号の時間 薄手で布にあつては五秒、厚手で布にあつては二十秒、合板にあつては三十秒
三 令第四条の三第四項第三号の面積 薄手で布にあつては三十平方センチメートル、厚手で布にあつては四十平方センチメートル、合板にあつては五十平方センチメートル
四 令第四条の三第四項第四号の長さ じゆうたん等にあつては十センチメートル、その他のものにあつては二十センチメートル
五 令第四条の三第四項第五号の回数 三回
4 物品(じゆうたん等及び合板を除く。)の残炎時間、残じん時間、炭化面積及び炭化長に係る令第四条の三第五項の総務省令で定める技術上の基準は、次のとおりとする。
一 燃焼試験装置は、別図第一の燃焼試験箱、別図第二の試験体支持枠、別図第三の電気火花発生装置及び薄手で布の試験にあつては別図第四のミクロバーナー、厚手で布の試験にあつては別図第五のメッケルバーナーであること。
二 燃料は、日本産業規格(産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)第二十条第一項の日本産業規格をいう。以下同じ。)K二二四〇の液化石油ガス二種四号であること。
三 試験体は、次に定めるところによること。
イ 二平方メートル以上の布から無作為に切り取つた縦三十五センチメートル、横二十五センチメートルのものであること。
ロ 工事用シートその他屋外で使用するものにあつては、ハの処理を施す前に温度五十度プラスマイナス二度の温水中に三十分間浸したものであること。
ハ 温度五十度プラスマイナス二度の恒温乾燥器内に二十四時間放置した後、シリカゲル入りデシケーター中に二時間以上放置したものであること。ただし、熱による影響を受けるおそれのない試験体にあつては、温度百五度プラスマイナス二度の恒温乾燥器内に一時間放置した後、シリカゲル入りデシケーター中に二時間以上放置したものとすることができる。
四 測定方法は、次に定めるところによること。
イ 試験体は、試験体支持枠にゆるみなく固定すること。ただし、炎を接した場合に溶融する性状の物品の炭化長を測定する場合にあつては、試験体の支持枠の内側の縦二百五十ミリメートル、横百五十ミリメートルの長方形の部分に、試験体の縦二百六十三ミリメートル、横百五十八ミリメートルの長方形の部分が収納され、かつ、縦横それぞれ対応するように固定すること。
ロ 炎の長さは、ミクロバーナーにあつては四十五ミリメートル、メッケルバーナーにあつては六十五ミリメートルとすること。
ハ バーナーは、炎の先端が試験体の中央下部に接するように置くこと。
ニ 炭化長は、試験体の炭化部分についての最大の長さとする。
ホ 三の試験体について、薄手で布にあつては一分間、厚手で布にあつては二分間加熱を行うこと。この場合において、加熱中に着炎する試験体については、別の二の試験体について、着炎してから薄手で布にあつては三秒後、厚手で布にあつては六秒後にバーナーを取り去ること。
5 じゆうたん等の残炎時間及び炭化長に係る令第四条の三第五項の総務省令で定める技術上の基準は、次のとおりとする。
一 燃焼試験装置は、別図第一の燃焼試験箱、別図第二の三の試験体押さえ枠及びけい酸カルシウム板(日本産業規格A五四三〇のけい酸カルシウム板をいう。以下同じ。)、別図第三の電気火花発生装置並びに別図第六のエアーミックスバーナーであること。
二 燃料は、日本産業規格K二二四〇の液化石油ガス二種四号であること。
三 試験体は、次に定めるところによること。
イ 一平方メートル以上のじゆうたん等から無作為に切り取つた縦四十センチメートル、横二十二センチメートルのものであること。
ロ 温度五十度プラスマイナス二度の恒温乾燥器内に二十四時間放置した後、シリカゲル入りデシケーター中に二時間以上放置したものであること。ただし、パイルを組成する繊維が毛百パーセントである試験体(パイルのないものにあつては、組成繊維が毛百パーセントであるもの)のうち熱による影響を受けるおそれのないものにあつては、温度百五度プラスマイナス二度の恒温乾燥器内に一時間放置した後、シリカゲル入りデシケーター中に二時間以上放置したものとすることができる。
四 測定方法は、次に定めるところによること。
イ 試験体は、けい酸カルシウム板に試験体押さえ枠で固定すること。
ロ ガス圧力は、四キロパスカル、炎の長さは、二十四ミリメートルとすること。
ハ バーナーは、水平にしてその先端を試験体の表面から一ミリメートル離して置くこと。
ニ 六の試験体について、三十秒間加熱を行うこと。
6 合板の残炎時間、残じん時間及び炭化面積に係る令第四条の三第五項の総務省令で定める技術上の基準は、次のとおりとする。
一 燃焼試験装置は、別図第一の燃焼試験箱、別図第二の二の試験体支持枠、別図第三の電気火花発生装置及び別図第五のメッケルバーナーであること。
二 燃料は、日本産業規格K二二四〇の液化石油ガス二種四号であること。
三 試験体は、次に定めるところによること。
イ 一・六平方メートル以上の合板から無作為に切り取つた縦二十九センチメートル、横十九センチメートルのものであること。
ロ 温度四十度プラスマイナス五度の恒温乾燥器内に二十四時間放置した後、シリカゲル入りデシケーター中に二十四時間以上放置したものであること。
四 測定方法は、次に定めるところによること。
イ 試験体は、試験体支持枠に固定すること。
ロ 炎の長さは、六十五ミリメートルとすること。
ハ バーナーは、炎の先端が試験体の中央下部に接するように置くこと。
ニ 三の試験体について、二分間加熱を行うこと。
7 物品の接炎回数に係る令第四条の三第五項の総務省令で定める技術上の基準は、次のとおりとする。
一 燃焼試験装置は、別図第一の燃焼試験箱、別図第三の電気火花発生装置、別図第四のミクロバーナー及び別図第七の試験体支持コイルであること。
二 試験体支持コイルは、日本産業規格G四三〇九に適合する直径〇・五ミリメートルの硬質ステンレス鋼線で内径十ミリメートル、線相互間隔二ミリメートル、長さ十五センチメートルのものであること。
三 燃料は、日本産業規格K二二四〇の液化石油ガス二種四号であること。
四 試験体は、次に定めるところによること。
イ 第四項第三号イの規定に従つて切り取つた残余の布から無作為に切り取つた幅十センチメートル、質量一グラムのものであること。ただし、幅十センチメートル、長さ二十センチメートルで質量が一グラムに満たないものにあつては、当該幅及び長さを有するものとする。
ロ 第四項第三号ロ及びハの規定の例により処理したものであること。
五 試験方法は、次に定めるところによること。
イ 試験体は、幅十センチメートルに丸め、試験体支持コイル内に入れること。
ロ 炎の長さは、四十五ミリメートルとすること。
ハ バーナーは、炎の先端が試験体の下端に接するように固定し、試験体が溶融を停止するまで加熱すること。
ニ 五の試験体について、その下端から九センチメートルのところまで溶融し尽くすまでハの加熱を繰り返すこと。

消防法施行規則第4条の3

これらの義務を遵守することで、飲食店の火災リスクを最小限に抑え、安全な店舗運営が可能になります。また、消防署との連携を強化することで、緊急時の対応もスムーズに行えます。

厨房設備にかかる火災予防条例の規制

防炎規制で最後とは言ったものの、各市町村で多少内容の異なる火災予防条例の規制について少し触れます。市町村ごとで条例が異なるので、詳細は管轄の消防署へ確認してください。次の内容は一般的な内容です。

ダクト

排気ダクトは建築物などの可燃物との間に10センチ以上の距離を保つこと。ただし、金属以外の不燃材料で有効に被覆した場合は、10センチ以上の距離は不要です。

グリスフィルター

油脂を含む蒸気を発生する可能性がある厨房設備の換気装置は、排気中に含まれる油脂等の付着成分を有効に除去できるグリスフィルターを設置すること。ただし、排気ダクトの距離がなく、換気装置から屋外へ直接排気する構造の場合は、グリスフィルターは不要です。

ダンパー(火炎伝送防止装置)

排気ダクトへの火炎の伝送を防止するため、防火ダンパーを設ける必要があります。ただし、排気ダクトの距離がなく、換気装置から屋外へ直接排気する構造の場合、または、厨房設備の使用状況から判断して、火災予防上支障がないと判断できるものは、設置不要です。

自動消火装置

厨房設備の使用熱量が一定以上(入力合計350KW以上など)の場合、上記のダンパー(火炎伝送防止装置)は自動消火装置とする必要があります。

全体のまとめ

  • 防火管理者の選任
  • 消防計画の作成・提出
  • 消防訓練(消火訓練・避難訓練)の実施結果報告(年に2回)
  • 防火対象物使用開始届
  • 消火器の設置
  • 消火器の点検・報告
  • 防炎製品の使用(カーテンなど)
  • 厨房設備にかかる火災予防条例の規制

飲食店を経営する際には、火災のリスクを最小限に抑えるための適切な消防対策が不可欠です。消防署への届出や必要な消火設備、消防法上の義務を理解し、遵守することで、安全な店舗運営が可能になります。過去の火災事例から学び、日常的な点検やメンテナンス、従業員への防火教育を徹底することが重要です。これにより、火災発生時に迅速かつ効果的に対応し、被害を最小限に抑えることができます。

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