こんにちは、TEAM WEBRIDです。消防本部のホームページを見ていると、色々な部署名を見かけるものの、どこの部署が、どんな仕事をしているのかよくわかりません。そこで今回の記事では、消防本部のそれぞれの所属が所管している、業務内容について説明します。
今回も、現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに説明します。この記事を読むことで、消防本部の各部署では、どのような仕事が行われているのかが理解できます。それではレポートします。
消防本部の部署は本部の規模によってまったく異なる
一言で消防本部といっても、その規模はさまざま。職員数が50人に満たないような小規模本部から、職員数が2万人近くいる東京消防庁まで職員数の差が大きいので当然と言えば当然です。まずはわかりやすく、小さな消防本部の部署を説明します。もっともシンプルな例で言うと、3課体制が一般的。
その3課とは次の3つ。
順番に説明します。
✓ 小さな消防本部の部署:総務課
どこの会社にも存在する総務関係の部署です。お金の支払いや、人事関係、消防団のお世話なんかもしています。逆に言うと、この後説明する、警防課、予防課に属さない業務はすべて総務課が請け負うことになります。
✓ 小さな消防本部の部署:警防課
次に紹介するのが警防課です。警防課では、消防隊や救急隊の装備品を買ったり、訓練を計画したりと現場に直接関係する事務を行います。消防車を買ったり、119番通報を受けたりするのも警防課。
現場に関係する事務イコール警防課と考えてください。
✓ 小さな消防本部の部署:予防課
3つ目は予防課です。文字のとおり、火災予防に関係した事務を行います。火災の原因調査をして火災予防に役立てています。ガソリンスタンドや化学工場など、危険物を扱っている事業所の安全を管理するのも予防課です。内容が漠然としており、いまいちわかりにくいですね。もっと小さな消防本部であれば、この3種類が「係」だということもあります。
小さな組織の所属単位は「係」。少し大きくなると、組織の所属単位は「係」が集まって「課」になります。中核市程度まではこの構成単位がほとんどです。さらに大きくなると、具体的には政令市レベルの規模になると「課」が集まって「部」という構成単位が存在します。
日本最大の規模を誇る東京消防庁の組織はどのような業務分担をしているのか
先に最小構成の消防本部の仕組みを説明しました。このような構成を最小とし、消防本部の規模が大きくなるにつれて様々な部署が増えていきます。消防本部の組織が大きくなればなるほど、消防本部の中で行う事務が増えるわけです。
わかりやすいところで言うと、具体的には、給料の支払いや消防車の整備に関する仕事など。給料の支払いについて、小さな消防本部などは、消防本部を運営している市町村が給料の支払い事務を行います。大きな消防本部になると、給料の支払い事務も消防本部の中で行っています。
消防車の整備は、小さな消防本部になると、消防本部が行わず、一般の自動車整備工場にお金を払って依頼しています。しかし、大きな消防本部となると、消防本部の施設の1つとして自動車整備工場を持ち、消防職員が自ら消防車両の整備を行っています。このように大きな消防本部になるほど、自己完結型になっていくため、部署の数がどんどん増えていくわけです。
ヘリだってそうです。小さな消防本部は、ヘリを運営するだけ費用がまかなえず、所有していません。
しかし、大きな消防本部はヘリを所有しています。ヘリを所有するだけで、ヘリの隊員を準備し、ヘリの運行管理や整備に関わる事務を行う部署が必要になってきます。
前置きが長くなりましたが、日本最大規模である東京消防庁の組織について説明します。中核市程度までなら「課」までの区分けとなっていますが、政令市以上になってくると、「課」をとりまとめる「部」制をひいています。東京消防庁の規模になるともちろん「部」制です。
どのような部署がどのような仕事を行っているのかということを把握するのであれば、より細分化された東京消防庁の組織体制を把握する方が、むしろわかりやすいかもしれません。東京消防庁の「部」と、「部」にぶらさがる「課」は次のとおりです。小さな消防本部の所属構成の基本、
をイメージしながら見てみてください。数ある東京消防庁の部署も、大きく分けるとこの3つのどれかに分類できます。
企画調整部【企画課・財務課・広報課】
○重要事業計画関連事務
○行政評価、業務の効率化関連事務
○DX推進による消防行政の構造改革、業務改善、行政手続デジタル化等に関する企画・立案
〇事務管理システム更新に関する企画・立案
〇指令管制システム更新に関する企画・立案
○広報に関する企画・調整
○広報イベント等の企画・実施
○印刷物等の企画・制作
○新聞、テレビ等への取材対応
○災害現場における広報支援活動
○広聴対応
総務部【総務課・経理契約課・施設課情報通信課】
○式典・行事(出初式等)関係事務
○法務事務(訴訟、不服申立て、損害賠償、被害事案等)
○国際業務全般(外国人視察対応等)
○経理実務全般
○消防庁舎の計画・設計・施工・保全及び管財事務
○各種情報通信システムの保守管理事務、情報セキュリティ対策
安全推進部
〇安全施策及び安全教育・広報
〇安全に係る計画の全体統括及び進行管理
〇職務に起因する事故の対応及び再発防止対策
〇安全評価の企画及び実施
〇安全及び消防の科学技術に係る研究
〇職務に起因する事故の根本原因分析
〇危険物判定試験等
〇火災に係る物件等の鑑定
人事部【人事課・服務監察課・職員課・厚生課】
○人事制度の企画・立案
○採用試験事務
○募集広報事務
○表彰式典関係事務
警防部【警防課・救助課・特殊災害課・総合指令室・多摩指令室】
○指揮隊の消防活動能力向上に関する技術指導及び関係事務
○出場計画等に関する制度の立案
○消防戦術の調査及び立案
○消防特別警戒関係事務
○消防資器材の整備計画関係事務
○震災に関する消防活動対策事務
〇水災・土砂災害に関する消防活動対策事務
○救助技術の調査研究及び指導
○消防活動訓練の技術指導及び関係事務
○警防業務における安全管理関係事務
○NBC災害や船舶・航空機・林野火災等の特殊災害消防活動対策事務
○テロ災害事象の調査研究及び消防活動対策
○指令管制関係事務
防災部【防災安全課・震災対策課・水利課・消防団課】
○防火防災訓練の訓練指導関係事務
○総合防災教育関係事務
○消防少年団(少年消防クラブ)育成指導関係事務
○都民防災教育センター(防災館)関係事務
○要配慮者の安全対策関係事務
○住宅防火対策及び放火防止対策関係事務
○災害時支援ボランティア関係事務
○震災消防対策システム事務
○地震時における室内安全対策事務
○地域防災計画、国民保護事務
○東京都総合防災訓練事務
○火災予防審議会事務
○消防水利施設の設計及び工事監理関係事務
○消防団員募集広報事務
○消防団装備・施設事務
○消防団活動・計画事務
救急部【救急管理課・救急医務課・救急指導課】
○メディカルコントロール体制運営・調整事務
○救急統計事務
○救急需要対策事務
○救急資器材管理事務
○救急医療体制事務
○救急相談センター運営事務
○救急技術関係事務
○救急隊員の教育に関する事務
○応急手当普及啓発関係事務
○救急活動照会関係事務
予防部【予防課・危険物課・査察課・調査課・防火管理課】
○消防同意の審査、検査事務
○消防用設備等の審査、検査事務
○火気・電気設備器具の審査、検査事務
○危険物施設等の許認可、検査事務
○危険物施設等の基準作成事務
○危険物施設等の火災予防措置事務
○石油コンビナート等特別防災区域に関する事務
○立入検査、違反処理に関する事務
○各種点検報告に関する事務
○禁止行為の解除承認事務
○違反対象物の公表に関する事務
○火災原因、損害状況の調査事務
○火災調査資料の収集、分析事務
○防火防災管理制度に関する事務
○自衛消防の指導事務
装備部【装備課・装備工場・航空隊(航空消防救助機動部隊)】
○車両及び個人装備品(被服を含む。)製作事務
○消防装備資器材の買入れ事務
○消防艇の法定整備、塗装整備事務
○機関員(舟艇を含む。)の育成に関する事務
○消防車両、舟艇の安全運行に関する事務
○消防機械器具整備事務
○回転翼航空機の運航事務
消防学校【校務課・教養課】
○教養計画関係事務
○消防団教育訓練事務
〇教育指導要領
〇各種学校研修運営事務
消防学校を消防本部で独自に運営しているため、「校務課」なんて課があるのも、大規模な本部ながらの部署です。消防学校については、こちらの記事でレポートしています。
消防士の部署の種類|それぞれの仕事内容まとめ
消防本部の組織についてレポートしました。まとめると次のとおり。
自分が知りたい消防業務内容が、どこの部署が管轄しているのかを確認するのは、まずは東京消防庁の所属構成を見て「部」を確認し、その「部」は「総務」「警防」「予防」のどの分野になるかを見分ければわかりやすいはずです。
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