こんにちは、TEAM WEBRIDです。消防士の人たちは、同じ消防本部の職員であればみんな同じ服を着ています。当然ですよね。ここでいう服とは、消防隊の活動服や、救助隊の救助服、救急隊の救急服や、火災現場で着る防火服などのことです。
よく見てみると、服だけでなく、靴(くつ)やヘルメットまで同じものを使っています。これらの装備品は、消防士が自分でお金を出して買っているのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。ちゃんと、消防本部から支給されています。
では、消防本部から貰えるとしたら、どのような仕組みで貰えるのでしょうか?今回のテーマはこんな疑問が解決できる話です。今回も、現役消防士や消防職員への取材をもとにレポートします。この記事を読むことで、消防士達がどのように服や靴(くつ)、ヘルメットやグローブなどの装備品をまかなっているのかが理解できます。
消防士の装備品にはどのようなものがあるの?
消防士の服や装備品と言っても、具体的にはどんな種類のものがあるのでしょうか?一例を見てみましょう。
手袋ひとつに着目してみても、多くの種類があることがわかりますね。
消防士の装備品の値段はどれぐらいするのか?金額が知りたい
前の項目で、装備品の種類がわかりました。では、実際にはそれぞれどれぐらいの金額で購入できるのでしょうか。表にしてみてみましょう。
アポロキャップ(一般) | ¥2,400 |
アポロキャップ(消防隊) | ¥2,400 |
アポロキャップ(救急隊) | ¥2,400 |
アポロキャップ(レスキュー隊) | ¥2,400 |
制帽(男性用) | ¥5,000 |
制帽(女性用) | ¥10,000 |
冬制服(上衣) | ¥23,000 |
冬制服(男性用ズボン) | ¥14,000 |
冬制服(女性用スラックス) | ¥16,000 |
盛夏服 (長袖) | ¥6,600 |
盛夏服 (半袖) | ¥6,200 |
盛夏服(ズボン) | ¥7,600 |
活動服(上衣) | ¥10,000 |
活動服(ズボン) | ¥8,000 |
雨衣 | ¥15,000 |
防寒衣(一般) | ¥8,100 |
防寒衣(救急) | ¥7,900 |
活動用シャツ(長袖) | ¥600 |
活動用シャツ(半袖) | ¥500 |
ネクタイ | ¥1,200 |
静電短靴 | ¥7,000 |
静電短靴(女性用) | ¥3,500 |
静電編上靴 | ¥8,000 |
静電安全靴 | ¥7,000 |
牛革グローブ | ¥1,700 |
式典用手袋 | ¥300 |
ケブラー製グローブ | ¥4,400 |
人工皮革グローブ | ¥2,400 |
制服用革ベルト | ¥1,300 |
活動服用ベルト | ¥600 |
階級章(布) | ¥200 |
階級章(人工皮革) | ¥400 |
ゴム長靴 | ¥3,400 |
名札 | ¥300 |
防火衣上下セット | ¥170,000 |
救急ベルト | ¥1,200 |
救急服(上衣) | ¥16,000 |
救急服(ズボン) | ¥13,000 |
救急服用ベルト | ¥1,000 |
特別高度救助服 | ¥48,000 |
高度救助服 | ¥46,000 |
特別救助服 | ¥44,000 |
火災現場用ヘルメット | ¥31,000 |
高所作業用ヘルメット | ¥9,000. |
防火衣用編上長靴 | ¥17,000 |
名札 | ¥300 |
面体 | ¥37,000 |
意外と高い?意外と安い?人によって異なって感じたと思います。これらはほんの一例なので、消防本部によって金額はさまざま。でもちょっと待ってください、安いということは、安全性は大丈夫なのでしょうか?
安くて税金の節約ができたからといって、すぐに壊れてしまうようでは意味がありません。危険な火災現場で消防士達を守る装備です、安全性の高い物を選ぶことが一番ですが、どこまで高級な装備を導入すべきなのでしょうか?そこで参考になるのが、次の項目で紹介するガイドラインです。
消防士の装備品は高級品?安物?安かったら安全性は大丈夫?
消防士の装備について、
「これぐらいの安全性能があれば、とりあえず消防士たちの安全は守れるよ」
という基準があります。その基準が
消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン2017
です。詳細は、こちらの記事で紹介しています。
あくまでもガイドライン(指針)のため、これらの安全基準が満たされた装備品しか導入できないというわけではありません。しかし、どこの消防本部も、予算取りをがんばっています。ガイドラインの安全性能を満たした装備品を導入しようと、消防本部の担当者は奮闘しています。
消防本部から支給される(タダでもらえる)理由とは?
話が脱線してきたので戻しますね。先ほどから説明している大量の装備品。すべて消防本部から支給されます。でもちょっと待ってください、消防士というか公務員、ズルくないですか?だって、例えば営業職の男性がいたとします。営業職の彼にとって仕事着はスーツです。消防士にとっての制服と同じです。
でも、営業職の男性が、勤め先の会社からスーツを無料で支給されるなんてありえないですよね。そんな話、聞いたことない。公務員だからって、税金で仕事着を与えられるなんて。しかし、消防士は職場から仕事着を支給される理由があるのです。大きな理由は次の2つ。
それぞれ説明します。まずは1点目。
個人で準備できない。
営業マンは、スーツを買おうと思えば、どこでも買えますよね。しかし、消防士の防火服って、ユニクロで買えますか?ワークマンにも置いていない。つまり、消防士の装備品は、個人が一般的な買い物として買えるものではないから支給されるのです。その証拠に、個人で自由に買うことができる、パンツやソックスなどの下着類は支給品に入っていません。制服の下に着る白いカッターシャツも支給品ではありません。
次に2点目。同じ消防本部内はデザインを統一する必要がある。
もし、同じ消防本部の消防職員がそれぞれ違うデザインの活動服を着ていたらどうでしょうか。違うデザインのアポロキャップをかぶっていたらどうでしょうか。違うデザインのワッペンをつけていたらどうでしょうか。
誰が本物の消防士で、誰が偽物の消防士か、見分けがつかないですよね。市民の方は混乱してしまいます。職員数の多い消防本部では職員自体も混乱することになります。この混乱を避けるためにも、同じ消防本部の消防職員は服装を揃える必要があります。
デザインを揃えるために、消防本部が支給するわけです。そのため、デザインを揃える必要衣がないもの、たとえばパンツやソックスなどの下着類は支給品に入っていません。
装備品はもらい放題?装備品を支給する仕組み
ほとんどの消防本部では、点数制システムを導入しています。多くの本部がこのシステムを導入しているということは、職員からの不満は少ないと予想できます。点数制システムというのは、決められた点数の中で、自分に必要なものを選んで支給を受けるというもの。わかりやすく具体例で説明します。
以下具体例です。
年間で消防職員1人に対して、100点が与えられます。この100点を利用し、必要なものを揃えます。ただし、100個もらえるという意味ではありません。もらいたいものの金額によって、点数が変わってきます。300円1点計算です。アポロキャップは8点です。残り92点です。雨衣(カッパ)が傷んできたのでほしい。15,000円なので50点です。残り42点。
こんな感じで100点分の装備品をゲットするわけです。
すべての装備品が点数制システムで支給されるわけではない
先ほど説明した点数制システムですが、大きな問題があります。
例えば、さきほどの表で防火用ヘルメットの金額を見てみましょう。33,000円?1年間の最大点数は100点。1点300円。つまり、1年間で30,000円。足りない。
では、翌年への積み立てをするのか?いえいえ、こんな小さな額の積み立てを個人で行うなんてできません。なぜなら予算は単一年度で完結するのが原則(その年度のお金はその年度内で使う)であり、よほどの理由がない限り、お金を翌年に持ち越すことはできません。
ではどうするか?
答えは簡単。
点数制システムの対象から外せば良いわけです。消防本部によって呼び方はさまざまですが、この場では一般装備と表現します。点数制装備と一般装備に分けて話をすすめます。点数制装備は先ほど説明したように、100点を使って100点内で必要な装備品の支給を受けるもの。
一般装備とは、高額な装備品で、年間に与えられる100点では取得できないもの。これら一般装備は、消防士として採用されたときに全員に支給されます。その後はどのように更新されるかというと、次のようなパターン。
例えば、使用することに支障が出るようになったら、職場への申請により新しい装備品を支給してもらえたり修理してもらえたりするパターン。この制度は安心できますよね。壊れた時の予備を自分で用意する必要もないわけですし。点数制装備であれば、いざというときのために自分で予備を準備しなければいけません。点数制装備は管理が大変です。
他にはこのようなパターンも。特に防火服のような高額装備品によくみられます。消防職員数が700人の消防本部だとします。年間、70着の防火服を購入しています。つまり、1年間で、70人ずつの防火服が更新されるということ。一人称の視点で考えれば、10年間に1着、新しい防火服がもらえるという意味です。
毎年、同じ数の防火服を作るような消防本部では、次のような応用技も。どんな応用技かというと、毎年、職員にアンケートを行い、防火服の傷み具合を調査します。この調査結果に基づき、痛みの激しい防火服から優先的に更新するというもの。合理的で素晴らしい。年間に与えられる点数では取得できない高額装備品は、このように点数制装備とは区別して、支給されています。
消防士の個人装備品は自分で買っているのか?|金額含め徹底解説のまとめ
消防士の制服や装備品について、消防士がどうやって手に入れているのかについてレポートしました。まとめると次のとおり。
市民の税金で購入するわけですから、傷んだものから更新する仕組みは合理的ですね。
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