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女性消防士になるには?採用試験や活躍の様子、割合などを徹底解説!

女性消防士

女性消防士についてこの記事を読んだらわかること

今回の記事では、消防士の中でも、女性消防士に注目してレポートしたいと思います。

現在消防では、全国的に女性消防士の活躍推進に向けて取り組んでいます。

女性消防吏員を増加させることは、子どもや高齢者、災害時の要支援者など、様々な状況にある多様な住民への対応力の向上を図ることができます。

女性警察官はよく目にしますが、女性消防士はなかなか目にしませんよね。

消防の中で、女性消防士を取り巻く環境はどうなっているのでしょうか。

ドラマの影響なのか、救急救命士を目指す女性も増えているようです。

今回も、現役消防士や、消防職員OBの人達からの調査結果をもとにレポートしたいと思います。

この記事を読むことで、消防士の世界で働く女性消防士のことが詳しく理解できます。

女性消防士の現在の状況

平成の終わり頃、平成30年4⽉時点の消防吏員全体に占める、⼥性消防吏員の割合は全体の2.7%です。

「吏員」についてはこちら

1000人の消防士がいたら、女性消防士は27人しかいません。

他業種を見てみましょう。

  • 警察官     9.4%
  • 海上保安官   6.6%
  • ⾃衛官     6.5%
  • ⼀般⾏政職   28.3%

消防士の世界は、公安職の中でも女性の比率が特に少ない状況です。

平成28年から、総務省消防庁が舵取りをして、女性消防士の増員計画に取り組んでいます。

その計画は、10年後、つまり令和38年までに、女性消防吏員の割合を5%まで引き上げること。

日本全体では、年間約300名の⼥性消防吏員を採⽤しているものの、年間約100名の女性消防吏員が退職しています。

⽬標達成へは年間で約500名程度の女性消防吏員の採用が必要です。

全体的な傾向をみると、⼤規模な本部、いわゆる政令指定都市や中核市などは、⼥性消防吏員の採用に理解があり、増員が進んでいます。

職員数が100人を下回るような⼩規模な本部では、まだ200本部程度が女性消防士を採用していません。

しかし、組織や幹部の理解により、女性消防士の増員を頑張っているところもあります。

女性消防士がいない消防本部の数
  • 平成28年:264本部
  • 平成29年:243本部
  • 平成30年:209本部

⼥性消防吏員がいない消防本部の数は、毎年⼤きく減少しています。

総務省消防庁の施策も功を奏しています。

総務省消防庁や、各消防本部の取り組みを見ていきます。

女性消防士:なぜ、令和8年までに5%という数値目標の設定をしたのか?

簡単に言うと、国が決めた法律に、数値目標を定めるように書いてあるからです。

その法律というのは、女性が社会で活躍しやすい社会を作るための法律です。

世の中に、女性活躍推進の動きを後押しするために作られました。

名前は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)といいます。

この法律は、

「女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体・・・の責務を明らかにするとともに、・・・女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的」

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)

として制定されました。

この法律の第15条と、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画の策定等に係る内閣府令(平成27年府令第61号)」というものの中で、

市町村長は、

  • 採用した職員に占める女性職員の割合
  • 平均した継続勤続年数の男女の差異
  • 職員一人当たりの各月ごとの超過勤務時間

などの、女性の活躍に関する情報(必須7項目、任意18項目)を把握し、分析した上で、

  • 計画期間
  • 達成しようとする数値目標
  • 実施しようとする取組内容及びその実施時期

などを「特定事業主行動計画」という計画書に定めるものとされています。

また、この計画書に基づく取組の実施状況は、毎年少なくとも1回は公表しなければならないこととされています。

この計画を作る人は、市町村については任命権者を想定しているため、消防本部においては、一般に消防長が計画書を作ることとなっています。

これは、法律上の解釈であって、実際に作るのは消防長ではなく、消防総務課の職員などが作るので勘違いのないように。

ただ、消防職員は、その消防本部を運営する市町村の職員でもあるため、市町村長が作った計画に含まれていて、消防本部独自では、計画書を作っていない本部も多くあります。

女性消防士が増えにくい主な課題とその対策

女性消防士が増えにくい理由は複数存在します。

主だったものは、次のとおりです。

  • 幹部を含む職員の意識改⾰
  • 採⽤⾯での課題(⼥性応募者ゼロ等)
  • ロールモデル育成(中⼩規模本部では⼥性管理職が少ない)

それぞれ解説をします。

幹部を含む職員の意識改⾰

先ほども、政令指定都市や中核市は、女性消防吏員が増加傾向だと説明しました。

このような消防本部では、女性消防吏員の必要性や重要性が理解され、採用自体に抵抗がなくなっています。

問題は、中核市に満たないような小さな消防本部です。

職員数が少ない、具体的には100人に満たないような消防本部では、女性消防士の採用に否定的な幹部が存在していることは否定できません。

40代あたりの人事担当者が積極的な女性消防吏員の採用に乗り出したくても、定年前の古い考えを持った幹部からNGが出れば動くことができません。

100人に満たないような規模の本部では、このような組織関係が非常に多いのが現実です。

そこで、この組織の人間関係による女性消防吏員採用の壁を打破するために、総務省消防庁が打ち出した対策が、⼥性活躍推進アドバイザーによる講演です。

これは、総務省消防庁が費用を負担し、派遣依頼があった消防本部に、次のような経歴のアドバイザーを派遣し、幹部職員の意識改革を行う制度です。

  • 大規模消防本部の女性幹部
  • 女性活躍推進に積極的な消防本部の女性吏員
  • 女性活躍推進を専門分野とする大学教授

消防の世界は縦社会です。

40代の中間管理職が、定年前の幹部に、

考えを変えてください、時代は変わっています!

と言うのは無理です。

理想論では、改善案なのだから道筋を通して提案すれば・・・のようなキレイ事は言えますが、現実的には無理です。

内部の人間が動いても、どうにもならないことが明白です。

そこで取った対策が、外部の人間により、幹部の考えを変えるというものです。

アドバイザーは、講演などを通じて消防本部の幹部たちへ、女性消防吏員の必要性などを訴えかけます。

採⽤⾯での課題(⼥性応募者ゼロ等)

女性警察官などと比べて、採用試験の受験者数が圧倒的に少ないという問題があります。

まだまだ一般市民の中には、

消防士に女性がなれるなんて知らなかった!

女性が消防士になってできる仕事なんてあるの?

といった考えの人も存在します。

女性消防士の認知度の低さは、どこの消防本部も把握している事実であり、認知度向上に向けて様々な取り組みを行っています。

取り組みとして大きく目立つものと言えば、

  • ⼥性を対象とした職業説明会や就職セミナー
  • 消防署体験
  • 学校訪問による説明会

などの実施ではないでしょうか。

このようなイベントは、当日参加者へのアプローチだけでなく、イベントの告知を行う段階でも、各種マスコミや消防本部の公式SNSを利用して広報ができ、女性消防士の認知度向上に大きなメリットがあります。

消防本部だけでなく、総務省消防庁も女性消防吏員の受験者数増加に取り組んでいます。

現役の女性消防士を日本各地から集め、WEbセミナーを開き、インターネットを通して女性消防士の認知度向上を進めています。

また、女性消防士の活躍推進を目的としたポータルサイトを立ち上げ、採⽤試験情報を掲載することで、受験者数の増加を狙っています。

さらには、フェイスブックにも女性消防士の活躍推進を広報するためのページを設けています。

>>>ポータルサイトはこちら

>>>フェイスブックはこちら

採用試験についての詳細はこちら

ロールモデル育成(中⼩規模本部では⼥性管理職が少ない)

女性消防士の存在を知っているものの、就職する上での問題点として、女性消防士になった自分の将来の姿が見えにくいという問題があります。

ここでいう将来の自分というのは、消防士として10年後、20年後の、職場での姿です。

もっと近い将来も含みます。

  • 消防士になって5年後、結婚して、妻になった消防士の自分
  • 出産して、ママになった消防士の自分
  • ある程度の年数が経ち、管理職になる消防士の自分

女性の場合、イメージができません。

夜勤のある交代勤務のある係に所属していたら、

  • 旦那さんのご飯はどうするの?
  • 赤ちゃんのミルクはどうするの?
  • 子供が小学生になったら宿題の確認はどうするの?

※実際は、出産に合わせて3年程度の休暇を取ることができたり、子供が小さいうちは、毎日勤務(日勤勤務)をしている部署に異動させてもらい、夜勤のないライフスタイルを送ることで人生を過ごすことができます。

イメージできない理由は、ロールモデル(実際に消防士を10年、20年経験し、妻、母親、管理職となっていく女性の存在)が圧倒的に少ないからです。

ロールモデルがもっと増えれば、テレビ等のマスコミでも特集されることがあるかもしれません。

これは急に増やせるものではなく、時間がかかるものです。

今いる女性消防士たちが、結婚や出産、管理職への昇任をする必要があるため、ロールモデルの育成には時間がかかります。

そのため、現時点で就職を控えた女性たちに、未来の自分の姿をイメージさせるためには、少ないながらも、日本中の消防本部にいる奥さん消防士、ママさん消防士、女性管理職消防士がロールモデルとなって、広報活動に従事すれば、長い時間を待つ必要はありません。

そのため、先ほど説明した、総務省消防庁のWEBセミナーやポータルサイトでは、積極的にロールモデルとなる女性消防士を全国各地から集めて、活用しています。

女性消防士:採用試験での女性の扱い

消防士採用試験において、女性枠を設けることは

  • 地方公務員法上の平等取扱いの原則
  • 成績主義の原則

に反するため、どこの消防本部も行っていません。

さらに詳しく言うと、消防士を含む地方公務員については、

  • 地方公務員法第13条に定める平等取扱の原則
  • 地方公務員法第15条に定める任用の根本基準(成績主義の原則)

が適用されることから、これを前提とした対応が必要となっています。

具体的には、同一の採用試験から合格者を選ぶに当たって、女性の人数を一定数固定する(いわゆる「女性枠」を設ける)ことは、成績主義による任用を行うことを定めている地方公務員法第15条の内容に反するおそれがあります。

また、合理的な理由がない限りは、男女の採用に差を設けることは、同法第13条に定める平等取扱の原則に反します。

しかし、こうした原則を維持しながらも、女性の受験者の確保を積極的に行うことにより、女性消防吏員の採用増につなげることが本来求められています。

目標を設定すること自体が、地方公務員法に定める平等取扱の原則や任用の根本基準に反することとはならないため、日本中の消防本部が、女性受験者を増やすことに努力をしています。

女性消防士になるには?採用試験や活躍の様子、割合などを徹底解説!のまとめ

女性消防士に関する現在の状況から増員の数値目標、女性消防士が増えにくい主な課題やその対策、採用試験の状況などをレポートしました。

消防本部や、総務省消防庁が、女性消防士を増やすために色々な対策をしていることがよくわかりました。

消防士を目指す女性にとっては、令和8年までは消防士になるチャンスが特に大きいのではないでしょうか。

\消防士採用試験について詳しく知りたい方はこちらの記事/

   

今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。

この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。

また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。

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