こんにちは、TEAM WEBRIDです。今回の疑問はこれ。
救急車を呼んだはずなのに、消防車まで来た!
これはびっくりしますよね。ピーポーピーポーと救急車の音が近づいてきたかと思いきや、その後ろにはウーウーと消防車が。どうして消防車まで出動するのでしょうか。これには次のような複数の条件や理由があります。
今回の記事も、現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに説明します。この記事を読むことで、救急車を呼んだだけなのに消防車まで来てしまう理由が理解できます。それではレポートします。
救急車を要請したのに消防車まで来た理由①傷病者の状態
傷病者の状態により、救急車だけでなく消防車も出動することがあります。ここでは、4つのパターンに分けて説明します。
傷病者の状態 パターン① 症状が重い
通報の内容により、傷病者の症状が重いと判断された場合、消防車も出動することがあります。というのも、救急車は原則3名の救急隊員が乗っています。傷病者の症状が重い、例えばCPA(心配停止状態)の患者であればCPR(救命処置)が必要です。3人もいれば何とかなるかと思うかもしれませんが、3人のうち1人は機関員(運転手)です。
そのため実際は2人で処置にあたりますが、もう1人も無線を運用したり、病院へ連絡したりと大忙し。つまり、傷病者の症状が重いほど、マンパワーが必要です。そこで役立つのが消防車で現場に向かう消防隊員たち。
救急車の機関員の代わりはできなくても、救命処置の手伝いができます。消防隊員も救急の知識があるので安心してください。これが消防車も救急現場へ駆けつける理由のひとつです。
じゃあ傷病者が重症なのに、消防車を一緒に出動させない消防本部は怠慢かというとそうでもない。なぜなら、救急車に救急隊員を4名載せて出動させています。とりあえず4名いれば、2人で救命処置ができますので、救命処置を行いながら、病院への搬送や、連絡ができるというわけです。
傷病者の状態 パターン② 救急車収容までが困難
次のパターンは、通報内容から判断して、救急車への収容が、救急隊だけでは困難と判断されるパターンです。例えば、傷病者がエレベーターのないマンションの4階に住んでいる場合。このような場合、布タンカに載せた傷病者を、階段を使って地上階まで搬送しなければいけません。救急処置を行いながらとなると、救急隊だけでは負担が大きすぎます。そこで役立つのが消防隊です。救急現場へのマンパワーの供給のため、消防車が出動するというわけです。
傷病者の状態 パターン③ 要請場所が危険
次の条件は、傷病者のいる場所的要因です。例えば高速道路上での救急要請など。高速道路上は、危険がいっぱいです。こちらの記事でも、高速道路上の危険性について説明しています。
救急隊だけで出動し、傷病者に処置をしながら、自分たちと傷病者の安全を確保しつつ二次災害を防止するのは大変です。そこで、安全管理のために交通整理等を行い、傷病者と救急隊の安全を守るため、消防隊の出番というわけです。
救急車を要請したのに消防車まで来た理由②搬送先
次に紹介するのは、搬送先まで救急車だけで搬送するのに適さない現場。例えば現場が山間部で、病院まで相当な搬送時間を要したり、現場から救急車で行くことができる病院では医療レベルが足らなかったりする場合です。
このような場合、ヘリコプターによる搬送という判断になります。ヘリコプターの着陸には、地上側の安全管理が必要になります。もちろん救急隊にそのようなゆとりはありません。そこで、ヘリコプターの離発着などの安全管理のため、消防車隊の出動となります。消防ヘリについては、こちらの記事でも説明しています。
救急車を要請したのに消防車まで来た理由③消防署の事情
消防本部の規模によっては、近くの消防署の救急車が出動してしまっている場合、遠方の消防署からの救急車や、はたまた隣接する消防本部からの救急車が到着するのを待たなければいけないことがあります。このような条件下では、もしも傷病者が心肺停止だった場合、救急車が出払っているからという理由でほったらかしにするわけにはいきません。
そこで、心肺蘇生措置だけでも行うため、消防車で消防隊員が出動するわけです。救急車が到着するまでの間、心肺蘇生を行い、遅れて到着する救急隊に現場を引き継ぎます。
PA連携とは?
これまで説明したように、消防車と救急車が同時に出動することをPA連携と表現します。PA連携というのは、消防車と救急車の頭文字から名づけられたものです。
わかりやすいですね。ただ、すべての消防本部が取り入れている制度ではありません。なお、東京消防庁ではPA連携のことを「ファイヤ・クイック・エイド」と愛称をつけています。豆知識の補足でした。
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