今回は、消防士が不祥事を起こしてしまうと、どのようなことが待っているのか?ということについてレポートします。公務員の不祥事、警察の不祥事などと同様に、消防士の不祥事もニュースでよく耳にします。不祥事の内容については詳しく報道されるものの、その後どうなったのかということは報道されません。
今回の記事も、現役消防士の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートしたいと思います。この記事を読むことで、不祥事を起こした消防士に関することが明確に理解できます。
結論:消防士の不祥事が多いわけではない
ちまたでは、消防士の不祥事が多いと言われることがありますが、確かに多い。しかし、この不祥事を起こす職員の割合は、一般企業より多いわけではなく、あくまでも公務員である消防士、まじめな人は多く不祥事を起こす割合は低い。ではなぜ、目立つのかというと、それはマスコミのせいです。
ネタになるわけです、「消防士がー」というとニュースで関心を集めやすいわけです。つまり、結論として、「消防士の不祥事は少ないけどマスコミが騒ぐから多く感じる。」が答え。
では、具体的に、消防士の不祥事後に起こる処分について説明していきます。
消防士と不祥事:懲戒処分ってなに?
消防士が、一定の違反行為を行った際に、受ける処分です。違反行為とは、次のような行為のことです。
このような行為を行うと、次の4種類の中からいずれかの処分を受けます。
処分の決定の際には
などを考慮して決定します。それぞれ罰が重い順に説明します。
免職
文字のごとく、職務を免じるということで、クビということです。退職金ももらえません。
停職
職務を停止するという意味で、仕事に行くことを停止されます。罪の重さにより、停職3か月であったり、6か月であったりと期間に違いが出ます。もちろん、停職期間中は給料がもらえません。金銭的に損をするのは、停職期間中だけかと思いますが、実は違います。
停職中は、定期昇給に必要な勤務期間から省かれます。少し難しいので簡単に言い換えます。公務員は、12か月フルに働くことで、年に1回、基本給が定期昇給します。この12か月が少なくなればなるほど、定期昇給の額が減ります。勤務期間が少なすぎると、定期昇給も0円になります。この額は、一生取り返せません。残りの消防人生が長ければ長いほど、同期たちよりももらえる給料は少なくなります。
消防士の給料についてはこちら
減給
文字のごとく、給料を一定期間減らされます。「減給1/10、3か月」という処分の場合、3か月間、基本給が9割しかもらえません。
戒告
ふだんは聞きなれない言葉ですが。簡単に言うと、説教です。給料面への影響はありません。人事台帳には傷が残ります。昇任試験の際などに考慮される内申点に影響が出ます。競争率の高い採用試験を勝ち抜いた消防士と言えども人間です。警察や自衛隊も同じですが、中には、心の弱い人がいて、やってはいけないことをやってしまう人がいます。
消防士と不祥事:分限処分ってなに?
懲戒処分とは、処分の種類が違う処分になります。
免職、降任
消防士が次のような状態になったときの処分です。
このような状態になると、免職や降任の処分を受けることになります。
本人が望まない休職
消防士が、次の状態になったときは、本人が望んでいなくても、一方的に休職という処分にすることができます。
それぞれ、説明します。
免職
懲戒免職と同じく、職務を免じるということで、クビということです。退職金ももらえません。
降任
本人が望んでいないのに、階級を下げたり、役職を下げる、役職をなくす処分のことです。
休職
停職と似ています。懲戒停職は、仕事ができる状態だけど、違反行為をしたから仕事をさせない処分。分限休職は、仕事ができない状態になったため、強制的に休職状態にして、給料の支払いに制限をかける処分です。
消防士と不祥事:懲戒処分と分限処分の違いは?
聞きなれない言葉が並び、わかりにくくなったので、簡単に説明します。
となっています。
消防士と不祥事:マスコミに取り上げられやすい
消防士の不祥事というのは、話題性が高いために、頻繁にニュースで騒がれます。警察官や自衛隊員も同じです。一般サラリーマンならニュースにならないようなことでも、ニュースとして取り上げられてしまいます。
消防士と不祥事:不祥事発生後に退職金がもらえる人ともらえない人の違い
ニュースでよく、
不祥事を起こした消防士は、逮捕された日付けをもって、依願退職をしました。
と報道されることがあります。依願退職というのは、自己の都合でやめる退職のことです。
せっかく採用試験に受かって公務員になったのに、不祥事を起こしたからといって依願退職しなくても !
と、一般市民は思うかもしれません。その理由は、次のとおりです。
退職金が貰えなくなるくらいなら、先に辞めて、退職金をもらおう
と考えるわけです。消防本部側にとっても大きなメリットがあります。退職金を払わないといけないというデメリットは発生しますが、次のようなメリットがあります。
消防士と不祥事:不祥事がなくても辞めていく人も一定数いる
不祥事を起こし、懲戒免職となって辞めていく人のほかにも、消防士を自己都合退職する人というのは一定数います。
ネガティブな理由
ポジティブな理由
消防士を辞めた後の就職先
ポジティブな理由で辞める人の就職先を次に挙げます。
これらはほんの一例です。副収入が増えすぎて辞める人は
などで成功するようです。ただ、これらの理由で成功したからといって辞めていく人は少なく、消防士をしながら、消防士に許されている副業を続けるようです。
他本部への転職
次のような理由で他の消防本部への転職のため、辞めていく人もいます。
他本部への転職については、別の記事で詳しくレポートしています。↓
現場に行く前に、消防士を辞める人
早い人では、消防学校の初任科(6か月)を卒業する前に、消防士を辞めます。理由は、
消防学校の訓練が、体力的にツラすぎて、ついて行けない
というもの。せっかく厳しい採用試験を勝ち抜いたのに、もったいない。
【消防士の不祥事と退職】ニュースで見る不祥事を起こしたその後は?のまとめ
消防士の不祥事について、処分の種類や内容についてレポートしました。また、不祥事を起こしていないものの、様々な理由で退職していく消防士にも触れてみました。みなさんの職場にいる人も、もしかしたら元消防士かもしれませんね。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
コメント
愛知県の知り合い消防士が無断副業を数年間に渡り行っています。
休日非番日に知り合いの会社で日当一万円の手渡しで給金を受け取っている為、確定申告はしていないと周囲に自ら話しています。無断副業は、地方公務員法で違法行為に当たるのでは?職場にみつかると処分を受ける事になる為みつかるとヤバいとも周囲に話しています。他県、同県で、消防士が無断副業を行い処分を下されているニュースや記事を目にしますが、通報したほうが良いですか?
匿名希望 さま
コメントありがとうございます。TEAM WEBRID広報担当のGINです。こちらの立場では、通報すべきかどうかの判断は差し控えます。ただ、そのような状況は明らかな副業と判断して間違いないはずです。労働時間の切り売りをし、その労働時間に対して給与を受け取っている、まさしく副業です。なお、通報する場合は、当事者の方がお勤めの消防本部の「消防総務課」のような名前の部署に連絡すればOKです。人事関係の部署がありますので話が早いです。万が一通報後も副業が続く(何らかの力が働いて不祥事をもみ消す?)ような場合は、その消防本部を運営する自治体、例えば豊田市消防本部であれば、豊田市の総務課に連絡してください。それでもだめなら愛知県警察本部へ。通報先が遠く、大きくなればなるほど、消防本部もうやむやにできなくなります。
もしよろしければ、その後の判断次第では経過をこちらで教えていただけないでしょうか?匿名性を伏せたうえで記事にあげれば、消防行政の一助になれるかもしれません。
なお、消防士の副業につきましては、次の記事などでも記載しておりますのでぜひご覧ください。
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