救急救命士として消防署で働くにはどうしたらいいですか?
救急救命士になる方法は大きく分けて2種類あります。
それぞれ説明します!
消防署の救急車には、救急隊員が乗っています。
実は、この救急隊員には、2種類の救急隊員が存在します。
救急救命士というのは、一般救急隊員と何が違うのでしょうか?
どうしたら、救急救命士になれるのでしょうか?
今回は、救急救命士になるための方法や、救急救命士は一般の救急隊に比べてどのような違いがあるのかについて説明します。
今回も、現役消防士や、消防職員OBへの調査結果をもとにレポートします。
この記事を読むことで、救急救命士としての消防士を目指している人は、高校や大学の選択肢が狭まるかもしれません。
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:そもそも救急救命士とは?
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士になる方法は、大きく分けて2種類
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:消防職員になってから救急救命士になる方法
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士の資格を取得してから消防職員になる方法
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士の資格を持つだけでは救急救命士として救急現場で活動できない
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違いを説明する前に理解すること
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違い
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:ウツタインデータって知っていますか?
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士の進化版、指導救命士という制度もある
- 【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説のまとめ
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:そもそも救急救命士とは?
平成3年8月15日に、救急救命士法が施行されました。
救急救命士法の目的は次の2つ。
プレホスピタル・ケアとは、救急現場や搬送途上における応急処置のことです。
救急救命士というのは、一種の資格のことであり、この資格を取得することで、次のような業務を行えるようになります。
現場に到着した救急隊員が、傷病者を病院又は診療所に搬送するまでの間、医師の指示の下に一定の救急救命処置を行う
別の言い方をすると、一般の救急隊員は、医師の指示の下でも、一定の救急救命措置は行うことができません。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士になる方法は、大きく分けて2種類
救急救命士になる方法は大きく分けて次の2種類です。
それぞれ説明します。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:消防職員になってから救急救命士になる方法
まずは、消防職員になってから、救急救命士になる方法です。
救急救命士の資格は、消防職員の場合、4段階において取得が可能になります。
それぞれ説明します。
消防職員になってから救急救命士になる方法:段階① 救急業務に関する講習を修了し、救急隊員の資格を取る
段階①の「救急業務に関する講習」というのは、消防学校で行われている「救急科」(約2か月間)の教育を受けることです。
東京消防庁などの、専任救急隊運用を行っている消防本部を除くと、ほとんどの消防本部が消防隊や救急隊の兼任体制をとっています。
兼務体制というのは、消防隊と救急隊を兼務する、つまり、同じ消防士が、消防隊員として消防車にも乗るし、救急隊員として救急車にも乗るということです。
そのため、消防職員として採用されると、次の教育課程に派遣されます。
兼務制をとっている消防本部は、ほとんどの消防職員が採用1年目で初任科と救急科を卒業します。
というのも、それぞれの課程を卒業しないと仕事ができないので、当然のことと考えられます。
消防職員になってから救急救命士になる方法:段階② 救急隊員として5年以上または2,000時間以上救急業務に従事する
救急隊の資格さえ取得すれば、救急救命士の養成課程に派遣させてもらえるわけではありません。
それなりの経験を積む必要があります。
その経験を示したものが段階②です。
2,000時間の算定はなかなか現実的ではないため、基本的には救急隊員として(兼務期間も含む)5年間、救急業務に従事することで救急救命士養成課程への派遣資格を得ることができます。
消防職員になってから救急救命士になる方法:段階③ 6か月以上の救急救命士養成課程を修了する
段階③の「6か月以上の救急救命士養成課程を修了する」というのは、次のような施設が養成所として挙げられます。
一般財団法人 救急振興財団というのは、救急救命士法の成立を受け、消防機関の救急救命士の養成を目的として全国47都道府県の出資により設立されました。
平成3年の救急救命士法の施行と同時に設立され、救急救命士の養成が行われています。
救急振興財団による救急救命士養成所が必要な理由は次のとおりです。
したがって、政令都市以外の消防本部は、東京や九州にある一般財団法人 救急振興財団が運営する救急救命士養成所に職員を派遣することで、段階③の『6か月以上の救急救命士養成課程を修了する』という条件をクリアしています。
ただ、救急救命士養成所を持っていない消防本部すべてが一般財団法人 救急振興財団が運営する救急救命士養成所に、職員を派遣するわけではありません。
政令指定都市が運営する救急救命士養成所は、自消防本部の職員以外にも、近隣消防本部や同じ都道府県の消防本部などから、派遣者を受け入れています。
もちろん、他県からの受け入れを行う場合もあります。
一般財団法人 救急振興財団の救急救命士養成所では、例年800人程度、政令指定都市等における救急救命士養成所では、例年400人程度の消防職員が養成課程を修了し、国家試験を受験しています。
消防職員になってから救急救命士になる方法:段階④ 救急救命士の国家試験に合格する
救急救命士という資格は、国家資格です。
そのため、資格取得のためには国家試験に合格する必要があります。
例年、3月上旬に試験が実施され、合格発表は3月下旬になります。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士の資格を取得してから消防職員になる方法
次は、救急救命士の資格を取得してから、消防職員になる方法の説明です。
救急救命士の資格を取るためには、救急救命士の国家試験に合格するという点は、消防士と同じです。
先ほどの段階④と同じです。
一般市民は、消防士じゃないので、先ほどの段階①②③はクリアできません。
そこで段階①②③の代わりになる受験資格が救急救命士法に記載されています。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することができる者(この号の規定により文部科学大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した救急救命士養成所において、二年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの
救急救命士法 第34条(受験資格)
二 学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学又は厚生労働省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において一年(高等専門学校にあっては、四年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した救急救命士養成所において、一年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの
三 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)又は旧大学令に基づく大学において厚生労働大臣の指定する科目を修めて卒業した者
四 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第九項に規定する救急業務(以下この号において「救急業務」という。)に関する講習で厚生労働省令で定めるものの課程を修了し、及び厚生労働省令で定める期間以上救急業務に従事した者(学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することができるもの(この号の規定により文部科学大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)に限る。)であって、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した救急救命士養成所において、一年(当該学校又は救急救命士養成所のうち厚生労働省令で定めるものにあっては、六月)以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの
五 外国の救急救命処置に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で救急救命士に係る厚生労働大臣の免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの
難しいことが書いてありますね。
先ほどの、消防士が救急救命士の国家試験を受験するための資格要件は、第4号に該当します。
簡単に言うと、救急救命士養成所として認められた専門学校や大学において、必要科目を履修することで受験資格を手に入れることができます。
具体的には次のような学校です。
このような学校で救急救命士の国家資格を受験するための必要科目を履修すれば、卒業する学年の年度末には、救急救命士の国家試験を受けることができます。
つまり、学校卒業と同時に(新卒で)消防本部に就職する場合、消防本部の採用試験と、救急救命士の国家試験と、両方の勉強を頑張る必要があります。
別の言い方をすれば、消防本部受験の履歴書には、救急救命士の資格について、「取得見込み」という状態になるということです。
ここで注意することは2点。
✔1点目について
消防本部によっては、救急救命士枠の採用試験があります。
救急救命士の資格を持っている人、又は取得見込みの人だけが受けることができる採用試験です。
この採用試験枠において、「取得見込み」で合格していた場合、救急救命士の国家試験に落ちたらどうなると思いますか?
そうですね、消防士の採用自体取り消しになります。
一般枠の採用試験枠よりも受かりやすいかもしれませんが、この点に注意が必要です。
救急救命士枠での受験は、採用試験のライバルが少ない分、採用数も少なくなります。
年度によっては、一般採用枠よりも合格倍率が高いかもしれません。
消防士採用試験については、一般採用枠を受けるか、救急救命士枠を受けるかで人生が変わる可能性があります、選択を間違わないように気をつけましょう。
TEAM WEBRIDとしてのおすすめは、やはり一般採用枠での受験でしょうか。
消防士にさえ受かってしまえば、とりあえず給料がもらえて人生を生きていけます。
救急救命士の資格は、消防署に採用されてからでも取得できます。
人生を変える試験である消防士採用試験に全力を尽くすべきです。
採用試験が終わってから、救急救命士の国家試験に向けて全力を費やし、救急救命士の資格も取れたらラッキーぐらいに捉えるべきです。
✔2点目について
救急救命士の資格は、消防以外ではほぼ役に立ちません。
病院で勤務する救急救命士という就職先の選択肢があるものの、しょせん、看護師さんには到底及ばない資格です。
看護師よりも処置可能な医療行為は断然限られています。
つまり、救急救命士の国家資格に受かったところで、消防士の採用試験に受からなければまったく意味がないということです。
だとすれば、大学生時分の就職活動に費やす時間は、すべて消防士採用試験に費やす方が生産性が高いと思いませんか?
優先順位を理解すれば、わかるはずです。
先ほども述べましたが、救急救命士の資格は、消防士として採用された後で取得できるものです。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士の資格を持つだけでは救急救命士として救急現場で活動できない
ここまでの流れで、救急救命士の資格を取得する方法は理解できたと思います。
ただし、資格を取得することができるだけであり、まだ救急救命士としては、救急車で出動することはできません。
救急救命士の資格取得後、救急救命士が救急業務に従事するには、病院実習ガイドラインに従い160時間以上の病院実習を受ける必要があります。
つまり、
救急救命士の国家資格を取得
+
160時間以上の病院実習
⇓
救急救命士として現場活動が可能
という仕組みです。
さらには、高度な知識を維持する必要があるため、その後も2年ごとに128時間以上の再教育を受けることが望ましいとされています。
しかも、この128時間以上のうち、病院実習は最低でも48時間程度必要だとされています。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違いを説明する前に理解すること
救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違いを説明する前に、理解しておくことがあります。
それは、メディカルコントロール体制です。
救急救命士と一般救急隊員の違いを一言でいうと、処置範囲の違いです。
救急救命士の処置範囲については、メディカルコントロール体制の整備を前提とした上で、順次拡大されてきました。
まずは、メディカルコントロール体制とな何なのかを説明します。
プレホスピタル・ケアにおけるメディカルコントロール体制というのは、
医学的観点から救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置等の質を保証する仕組み
と定義できます。
具体的には、消防機関と医療機関との連携による次の4つの仕組みです。
この4つの仕組みが整っている状態が、メディカルコントロール体制といいます。
また、消防機関と医療機関等との協議の場をメディカルコントロール協議会とよびます。
メディカルコントロール協議会は、各都道府県単位と、各地域単位とに設置されています。
各地域単位のメディカルコントロール協議会数は、全国に250程度存在します。
メディカルコントロール協議会においては、事後検証などを行うことで、救急業務の質的向上に積極的に取り組んでいます。
救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置などの質を向上させ、救急業務の高度化を図るためには、メディカルコントロール体制のより一層の強化が必要であるといえます。
ここでいう救急業務の高度化というのは、もちろん救急救命士の処置範囲の拡大も含んだものです。
なお、総務省消防庁が厚生労働省とともに、「全国メディカルコントロール協議会連絡会」という全国組織を設置しています。
平成19年5月に設置されており、定期的に開催しています。
「全国メディカルコントロール協議会連絡会」設置の目的は次の2点です。
それでは、メディカルコントロール体制の意味が理解できたところで、救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違いを説明します。
先ほども説明したとおり、救急救命士の処置範囲については、メディカルコントロール体制の整備を前提とした上で、拡大したものです。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違い
救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違いを大きく分けると、次の4項目です。
処置範囲拡大の経過をそれぞれ説明します。
救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違い①除細動
平成3年の救急救命士法の施行以来、救急救命士は医師の具体的指示の下に除細動を実施していました。
しかし、平成15年4月から、事前及び事後におけるメディカルコントロール体制の整備を条件に、医師の包括的指示の下で除細動の実施が可能となりました。
具体的なメディカルコントロール体制とは、次の内容です。
現在は、ほとんどの除細動器が「自動体外式除細動器」に進化しています。
一般の救急隊員は、消防学校の救急科を卒業することで「自動体外式除細動器」の使用が可能になります。
現在は、「除細動」行為自体が、救急救命士に認められた特定行為から除外されています。
そのため、「自動体外式除細動器」の使用は医師の包括的指示を必要としないため、救急救命士にとっても一般救急隊員にとっても、スムーズな現場活動が可能になっています。
救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違い②気管挿管
気管挿管については、平成16年7月から、事前及び事後のメディカルコントロール体制の整備を条件に、次の要件をクリアした救急救命士に認められることとなりました。
その要件とは次の3つ。
令和のはじめ頃では、運用されている救急救命士のうち、気管挿管を実施することのできる救急救命士は1万5,000人程度となっています。
また、平成23年8月より、ビデオ硬性挿管用喉頭鏡の使用が可能となっています。
気管内チューブによる気道確保を実施する場合に、ビデオ硬性挿管用喉頭鏡を使用すると、気道確保の安全性や確実性が高まることが理由です。
ビデオ硬性挿管用喉頭鏡も同様に、次の3つの条件を満たした救急救命士に認められる救急処置です。
今後も、地域メディカルコントロール協議会等で、より良い運用になるように検討されることが期待されています。
令和のはじめでは、運用されている救急救命士のうち、ビデオ硬性挿管用喉頭鏡を実施することのできる救急救命士は5,000人弱程度となっている。
救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違い③薬剤投与(アドレナリン)
薬剤投与については、平成18年4月から、事前及び事後のメディカルコントロール体制の整備を条件に、一定の条件をクリアした救急救命士に認められています。
一定の条件等は、先ほどと同様で次の3つ。
パターンですね。
薬剤投与に関する講習を受け、薬剤投与の病院実習を受け、薬剤投与が可能な救急救命士としての認定を受けます。
令和のはじめ頃では、運用されている救急救命士のうち、薬剤投与(アドレナリン)を実施することのできる救急救命士は2万5,000人程度となっています。
さらに、平成21年3月からは、アナフィラキシーショックにより生命が危険な状態にある傷病者が、あらかじめ自己注射が可能なアドレナリン製剤を処方されている方であった場合には、救急救命士がアドレナリンの投与を行うことが可能となっています。
救急救命士と一般救急隊員の処置範囲の違い④心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びにブドウ糖溶液の投与
心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与については、平成26年4月から可能になっています。
もちろん、事前及び事後におけるメディカルコントロール体制の整備を条件に、救急救命士に認められています。
他の処置と同じく、次の3つの条件をクリアした救急救命士のみが投与可能です。
令和のはじめ頃では、運用されている救急救命士のうち、心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液を実施することのできる者は2万人程度、血糖測定並びにブドウ糖溶液の投与を実施することができる者も2万人程度となっています。
直近の救急救命士の処置拡大事例は平成26年に処置拡大された「心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びにブドウ糖溶液の投与」ですが、その経緯については、次のとおりです。
平成23年度から、「救急救命士の処置範囲に係る研究」が行われました。
傷病者の救命率の向上や後遺症の軽減等を目的として、次の3行為が検討されました。
この3行為について、臨床効果、安全性及び実効性に関する検証が、全国129の消防本部で実施されました。
この実証研究における分析・考察の結果、平成25年8月に厚生労働省より「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」の報告書が公表されました。
この報告書の中で、3行為のうち①及び③については、救急救命士の処置範囲に追加することが適当であるという結論が示されました。
これを受けて、平成26年4月1日から、心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与が、救急救命士の処置範囲に追加されたというものです。
近い将来、②の「重症喘息患者に対する吸入β刺激薬の使用」も救急救命士の処置範囲に追加される日が来るかもしれません。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:ウツタインデータって知っていますか?
救急救命士の処置拡大に伴い、気になることといえば、実際に助かる命は増えているのかどうかということ。
そういった考えをするときに役立つのがウツタイン様式のデータを集計したウツタインデータです。
ウツタイン様式とは、心肺機能停止症例をその原因別に分類します。
さらに、目撃の有無、バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)による心肺蘇生の実施の有無等に分類します。
それぞれの分類において、傷病者の予後(1か月後の生存率等)を記録する調査統計様式です。
1990年にノルウェーの「ウツタイン修道院」で開催された国際会議において提唱され、世界的に推奨されているものです。
日本では、平成17年1月から、全国の消防本部で一斉にウツタイン様式を導入しています。
全国統一的な導入は世界初であり、先進的な取組となっています。
総務省消防庁では、ウツタイン様式による調査結果をオンラインで集計・分析するためのシステムも運用しています。
平成17年から現在までのデータが蓄積されています。
総務省消防庁は、このデータの蓄積が適切に有効に活用されるよう、申請に基づいて関係学会等にデータを提供しています。
これらの提供されたデータは、大学などの研究機関において、救命率向上のための方策や体制の構築等に活用されています。
なお、従来、ウツタイン様式については、「ウツタイン統計」及び「心肺機能停止傷病者の救命率等の状況」として公表していましたが、救急搬送された心肺機能停止傷病者に関する統計であることをより分かりやすくするため、平成21年から「救急蘇生統計」へと名称の変更を行っている。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説:救急救命士の進化版、指導救命士という制度もある
救急救命士法の施行から30年近く経過し、他の救急救命士を指導する人材の育成が検討されるようになりました。
このことを背景に、指導的立場の救急救命士、つまり「指導救命士」が誕生しました。
救急現場という病院内と異なった環境で行う現場活動に関する教育を、経験豊富な救急救命士が行うということで、「指導救命士」に求められる役割は高いものがあります。
大きな効果は次の4つです。
平成25年度に消防庁が開催した「救急業務のあり方に関する検討会」において、指導救命士の要件と、その養成に必要な教育カリキュラムが示されました。
次の時期から、順次、指導救命士として認定を受けるために必要な教育を開始しています。
また、一部の消防学校において、独自に指導救命士の養成が行われています。
さらに、総務省消防庁は、全国統一の基準となる「指導救命士の養成に係るテキスト」を平成27年11月に作成しました。
指導救命士のさらなる養成の促進と全国的な運用に向けて、カリキュラムをより具体的な教育内容へと展開したものとなっています。
【救急救命士になる】資格の取り方やできることを消防士が解説のまとめ
救急救命士になるための方法や、救急救命士は一般の救急隊員に比べてどのような違いがあるのかについてレポートしました。
まとめると次のとおりです。
これから消防士になって救急救命士として活躍したい人は、救急救命士の資格を、消防士になるより前に取るか、消防士になった後に取るか、悩む問題だと思います。
ただ、消防士採用試験の不安が大きい人は、とりあえず一般採用枠での採用試験受験がベターなのは間違いありません。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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