こんにちは、TEAM WEBRIDです。今回は、消防本部のお金の話。消防本部が高額な支払いをする必要があるときのお金がテーマの記事となっています。消防本部が、消防庁舎を建てたり、高額な消防車を購入したりするとき、実は、国(総務省消防庁)から金銭的な援助を受けています。このような援助を国庫補助金と呼びます。
具体的には次のような援助制度です。
難しい言葉が続きますね。これら制度のすべてを説明すると、参考書が1冊できあがってしまいます。そこで、このような制度の重要な部分をかいつまんで解説します。今回も現役消防士や消防職員OBへの取材をもとにレポートします。この記事を読むことで、国庫補助金の概要は理解できるはずです。
【国庫補助金】まずは予備知識からということで専門用語について
これらの制度を理解するためには、まずは言葉の意味を理解する必要があります。ふだん聞きなれない言葉が多いので、予備知識としてかんたんな言葉で説明します。
国庫補助金:消防防災施設整備費補助金とは
消防防災施設整備費補助金とはかんたんに言うと、言葉のとおり、国の金庫から出てくる補助金です。
他の言い方をすると、国の財源(財布)で、消防本部に支払ってくれるお金です。厳密に言うと、消防本部を運営している市町村に対して支払われますが、ややこしくなるのでわかりやすい表現を使っていきます。厳密に把握したい方は、関係法令を読んでください。
この場は、法律を読むことはめんどくさいし眠くなるから、雰囲気がわかればよいという人に向けて記載します。国庫補助金の根拠となる法律は、消防施設強化促進法(昭和28年法律第87号)です。この法律の中で、国庫補助金を使って市町村消防の消防力の強化促進を行うよう書かれています。どうしてこの法律ができたかということも知っておきましょう。
昭和20年代、全国的に大きな火災が多発していました。現在に比べて、市町村消防の消防力(消防防災施設)が弱かったことも原因のひとつでした。しかし、市町村の財政事情は決して裕福ではなかったため(むしろ貧乏)、市町村の財源だけで消防力を強化することは難しかった。
そこで、全国の市町村から国に対し、国庫補助金による助成措置の制度化が強く要望されました。この要望に基づいて制度化されたものが、国庫補助金である消防防災施設整備費補助金です。
国庫補助金:緊急消防援助隊設備整備費補助金とは
緊急消防援助隊設備整備費補助金とは名前のとおり、緊急消防援助隊設備を整備するための補助金です。
\緊急消防援助隊について詳しく知りたい方はこちらの記事/
緊急消防援助隊の出動は、国からの要求や指示に基づきます。そのため、消防組織法の中で、緊急消防援助隊の施設整備に必要な経費は、予算の範囲内において国が補助するものとされています。
簡単に言うと、国が全国の市町村消防に対して出動を指示する分、国は責任をもって緊急消防援助隊として出動する車両や設備については補助金を出す必要があるよという意味です。確かに、消防本部としても、国から緊急消防援助隊として出動しろと言われるだけだと、不満を持つかもしれません。
国「補助金を出すから、いざというときは頼むよ。」
となれば、ギブアンドテイクは成立します。
【国庫補助金】消防防災施設整備費補助金についてより詳しく解説
それでは、国庫補助金である消防防災施設整備費補助金について、概要を説明します。
消防防災施設整備費補助金の対象となるのはどんな施設か?
消防防災施設整備費補助金の対象となるのはどんな施設か具体的に言うと、
などが挙げられます。どれも大きなお金が必要になりそうな施設ばかりですね。もちろん、それぞれの施設の規格(定義のようなもの)もちゃんと決まっています。例えば、一番上の「耐震性貯水槽」であれば、ある程度の大きさがないとダメ。補助の対象施設になりません。最低でも40㎥の大きさが必要です。
そりゃそうですよね、役に立たない小さな防火水槽にまで国が補助金を出すメリットはありません。補助金を出すからには、それなりに役立つ施設を作ってもらう必要があるというわけです。
消防防災施設整備費補助金はどれぐらいのお金が補助してもらえるの?
消防防災施設整備費補助金はどれぐらいのお金が補助してもらえるのでしょうか。消防防災施設の整備費に対する補助率は「基準額」の3分の1が原則とされています。また新しい言葉が出てきましたね。
「基準額」というのは、補助金を出す際の基準となる額のことです。国の予算にも限度があります。
いくらでも援助し放題というわけではありません。さきほど、補助対象施設の規格(定義のようなもの)があると説明しました。規格と同じように、施設の経費にも基準となる額が存在します。
より分かりやすいように、具体例を示します。例えば、総事業費1,000万円で60㎥の耐震性貯水槽を設置しようとします。総事業費は1,000万円ですが、実際の耐震性貯水槽にかかる費用は900万円です。差額の100万円は、申請手数料などです。このような間接的な費用は、対象費用となりません。したがって、この900万円を「補助対象事業費」と呼びます。60㎥型の耐震性貯水槽の基準額は、831万1千円です。
つまり基準額である831万1千円の3分の1である277万円の補助を受けることができます。ここまでのことを、わかりやすくするとこういうこと。
総事業費=補助対象事業費+間接的経費
補助金 = 基準額×3分の1
【国庫補助金】緊急消防援助隊設備整備費補助金についてより詳しく解説
では、次に、国庫補助金である緊急消防援助隊設備整備費補助金について少し詳しく説明します。
緊急消防援助隊設備整備費補助金の対象となるのはどんな施設?
緊急消防援助隊設備整備費補助金の対象となるのは、補助金の名前にもなっているとおり、緊急消防援助隊が使用する設備です。
もちろん、消防防災施設整備費補助金と同様に、これらの対象にも補助対象規格が設けられています。ひとことで「消防ポンプ自動車」と言っても、ポンプ性能や装備品など多くの違いがあります。
国「緊急消防援助隊として他県に出動しても役に立たないような車両には補助金は出さないよ。」
という意味ですね。
緊急消防援助隊設備整備費補助金はどれぐらいのお金が補助してもらえるの?
緊急消防援助隊設備整備費補助金はどれぐらいのお金が補助してもらえるのでしょうか。消防防災施設整備費補助金と同様に、緊急消防援助隊設備整備費補助金の対象にも補助基準額が設けられています。この補助基準額を上限として、補助金をもらうことができます。
では、その補助金の額ですが、補助基準額の1/2をまかなってくれます。消防防災施設整備費補助金が1/3だったので、ちょっと多いですね。緊急消防援助隊に関係した車両や資機材の更新の際には、積極的に利用していきたいと思える補助金制度となっています。
消防本部のお金|消防防災施設整備費&緊急消防援助隊設備整備費のまとめ
消防本部が高額な買い物をするときの、国からの補助金について説明しました。まとめると次のとおり。
消防本部にとっては非常にありがたい制度となっています。この記事では、冒頭でも述べたように一部分しか説明できていません。実際には、消防防災施設整備費補助金なのに基準額の2分の一の補助金が出たり、基準額自体に加算や控除があったりと多くの例外や細かなルールが存在します。基本的なルールを説明しているだけですので、あくまでも一般市民向けの簡単な説明だと認識してください。
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