消防士の給料や手当についてこの記事を読んだらわかること
この記事では、消防士の給料について紹介します。消防士の給料って、高いとうわさされたり、低いとうわさされたり、よくわからないですよね。この記事を読むことで、消防士の給料についての本質がよくわかります。今回の記事も、現役消防士の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートしたいと思います。消防士の給料が高いとうわさされたり、低いとうわさされたりする理由も納得できることでしょう。
消防士の給料や手当について高卒と大卒の違い
一般企業においては、基本的には高学歴な人ほど高い給料をもらえる仕組みになっていますが、消防士の場合は必ずしもそうではありません。また、一般企業のように、特別報酬や、特別昇給はありえませんので、勤めている年数が長いほど、基本給は高くなる傾向にあります。また、先に採用された先輩、後から採用された後輩、階級以外にも存在するこの縦社会の秩序を崩さないために、昇任制度においても、高卒と大卒の違いによる昇任の差が開かないように調整されています。
次の記事で、昇任試験における高卒と大卒の違いについて詳細を説明しています、気になる方はそちらをご覧ください。
消防士の給料や手当について地方と都会、都道府県による違い
消防士の給料は、所属する消防本部を運営している自治体の条例によって定められています。生活水準の違いがあるため、一般的には地方より都会の方が、基本給が高く設定されていることが多いようです。
地元の消防本部に絶対に採用されたい!
といったこだわりがない人は、勤務条件がよかったり、給料が高い県はどこ?と、自分の希望に見合った消防本部を探すことになると思いますが、消防本部は県単位で運用されておらず、自治体ごとで運用されています。したがって、どこの県が給料が高いかという本部の探し方は不適切です。本部ごとの条例や受験案内を確認して、給料が高い本部を探しましょう。
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消防士の給料や手当について特殊勤務手当って何?
特殊勤務手当というのは,著しく危険であったり、不快であったり、または不健康な勤務などを行った場合、その特殊性を基本給だけでまかなうことはが適当でない場合に、その勤務の特殊性に応じて支給されるものとなっています。次に、一般的な特殊勤務手当を紹介します。
消防士の手当:火災
火災の現場に出動し,現場業務に従事したとき。
1回 200円から400円
消防士の手当:救急
救急救命士が、救急の現場に出動し、傷病者の搬送に従事したとき。
1回 500円から800円
救急隊員が、救急の現場に出動し、傷病者の搬送に従事したとき。
1回 200円から300円
保健予防手当(感染症の傷病者に対して救護等に従事したとき)
1回500円から1,000円
消防士の手当:救助
救助員隊が、救助現場に出動し、救助活動に従事したとき。
1回 400円から600円
消防士の手当:機関員
機関員が大型消防用自動車の運転又は機関操作により水火災・救急・救助活動に従事したとき。
1回 200円から300円
機関員が大型消防用自動車以外の車両の運転又は機関操作により水火災・救急・救助活動に従事したとき。
1回 100円から200円
消防士の手当:通信勤務
通信勤務者が、深夜(22時から5時)において、通信業務に2時間以上従事したとき。
1回 400円から700円
通信勤務者が、深夜(22時から5時)において、通信業務に2時間未満従事したとき。
1回 300円から500円
消防士の手当:消防艇手当
水上消防隊が、消防艇により水火災・救急・救助活動に従事したとき。
1回 100円から300円
消防士の手当:潜水業務手当
潜水業務に従事したとき(4月から11月) 1回300円から400円
潜水業務に従事したとき(12月から3月) 1回500円から600円
消防士の手当:高所作業手当
高所作業(地上10m以上の足場が不安定な場所で消防活動に従事した職員(訓練も含む)
1回 300円から500円
消防士の手当:危険物施設手当
危険物施設の査察(立入検査)を行った場合
1回 200円から400円
危険物流出時の処理及び事故原因調査を行った場合
1回200円から400円
消防士の手当:違反処理手当
火災予防に関する法令違反処理業務(警告以上の違反処理)に従事したとき。
1回 200円から400円
消防士の手当:火災原因調査手当
災害現場での出火原因及び損害の調査業務に従事したとき。本部によって、支給対象となる火災の定義は異なり、死者が発生した火災であったり、焼損延べ面積500平方メートル以上の火災であったりと様々。
1回 100円から500円
消防士の手当:死体処理手当
業務中に、死体を扱う業務に従事したとき。
1回1000円
消防士の手当:緊急消防援助隊手当
緊急消防援助隊として、災害業務に派遣されたとき。
1日1680円
消防士の手当:消防ヘリ隊員手当
ヘリの操縦 1日4200円
ヘリの整備 1日2200円
ヘリの搭乗 1時間1200円
ヘリの機外活動 1時間1800円
中には、ごく一部の消防本部にしか存在しない手当も含めて紹介しました。いかがだったでしょうか。救急救命士の資格を持って消防本部に入る場合は、当分の間は救急隊への配属が続くと思いますが、1回の救急出動の手当も本部によってばらつきがあります。数百円の手当の額の違いだけで志望する消防本部を選ぶというのは、おススメはしませんが、
絶対にあの本部に入りたい!
というこだわりがない人は、就職する消防本部を選ぶ際の参考になるかもしれません。特殊勤務手当は、消防本部を運営する自治体のホームページにおいて
などに記載されています。志望する消防本部が2つに絞れたものの、どちらにするか悩んでいる場合などは、それぞれの本部の特殊勤務手当の額を比べてみるのもいいかもしれません。
消防士の給料や手当について平均的年収や手取りは?
消防職員は、先ほど説明した特殊勤務手当のほかに、時間外勤務手当と休日勤務手当というものが支給されます。
消防士の給料や手当について時間外勤務手当はどうなっている?
時間外勤務手当というのは、正規の勤務時間を越えて働いた場合に、その超えた分の時間に対して払われる手当のことです。
日勤者(毎日勤務)の場合
日勤者(毎日勤務)は、平日は、7時間45分の勤務時間が勤務時間です。08時30分から17時15分までの8時間45分、消防署で働く事になりますが、12時から13時までの1時間は休憩時間です。したがって8時間45分の勤務時間から、1時間の休憩時間をひいた、7時間45分が勤務時間になります。この、勤務時間以外に働いた対価は、時間外勤務手当てで支払われます。
わかりやすく言うと、17時15分から18時15分まで残業すると、1時間の時間外勤務手当が支給されます。また、土曜日と日曜日は、もともと正規の勤務時間ではないので、9時から12時までの3時間働くと、3時間の時間外勤務手当が支給されます。一般的なサラリーマンの考え方と同じです。
隔勤者(交代勤務)の場合 ※2交代制の場合(本部によっては3交代制の本部があります)
隔勤者(交代勤務)は、朝の8時30分から、翌朝の8時30分まで働きます。24時間の中で、本部によってまちまちですが、休憩時間が8時間30分用意されており、15時間30分が正規の勤務時間とされています。ちょうど、日勤者(毎日勤務)の2日分です。
(7時間45分+7時間45分=15時間30分)
したがって、この休憩時間のときに災害出動すれば、休憩時間の間に働いた時間はすべて時間外勤務手当になります。時間外勤務手当は、時給制です。時給の額は、基本給によって変わりますので、基本給が上がるにつれて時間外勤務手当の額も上がっていきます。この時給というのは、基本給から一定の計算において算出されます。
簡単に言うと、ひと月の基本給を、ひと月の勤務時間(7時間45分×20日=155時間)で割ったものです。基本給が20万円の場合、20万を155時間で割って、約1300円の時給となります。ただ、時間外勤務を行った時間が深夜帯(22時から05時)であったり、休みの日であったりすると、1.25倍(約1600円)や1.5倍(約2000円)の割り増し金額になって支給されます。
\消防士の勤務体制について詳細を知りたい方はこちら/
消防士の給料や手当について休日勤務手当はどうなっている?
休日勤務手当というのは、俗に言う旗日(カレンダーで赤くなっている敬老の日や天皇誕生日など)に勤務した場合、本当ならば日本国民は働かなくても良い日に、働くことの対価として支給される手当のことです。消防士は、24時間いつでも災害があれば出動する必要があります。
今日は国民の休日だから、火災が起きても消防車は来ないよ。
というわけにはいきません。したがって、正規の勤務時間ではない旗日に勤務した場合は、勤務した時間がずべて休日勤務手当として支給されます。こちらも、時間外勤務手当と同様で、割り増しの時給制となっており、基本給から計算される時給の1.5倍の額で支給されます。話を年収の話しに戻します。消防士の年収は、基本給+特殊勤務手当+時間外勤務手当+休日勤務手当により算出されます。
手当としてはさらに、住宅手当、通勤手当、扶養手当など、一般の会社でも支給されているような手当も、もちろん公務員なので支給されます。ただ、年収に大きく影響するのはやはり、特殊勤務手当及び時間外勤務手当の額になります。上記のような給料の仕組みを考慮すると、次のような幅をもった年収となります。
公務員なのに、20代で1,000万近く稼ぐ人もいるってホント?
と思われると思いますが、本当です。特に、東京消防庁や、政令指定都市に見られる傾向です。
\総務省消防庁と東京消防庁の違いを知りたい方はこちらの記事/
救急救命士の資格を持った救急隊員などは、勤務中に寝る暇もなく、救急出動を続けます。そうすると、
といった具合です。30代になれば、時給が上がるからもっと年収が増えるのではと思われそうですが、そこは縦社会の消防士、後輩が増えれば増えるほど、救急出動する機会は減り、また救急の出動報告書を作ることもなくなります。(後輩が作ったものを確認する)休みの日の救命講習などに出向する機会も減ります。そのため、若い人ほど、時間外勤務手当が多くなり、年収が高くなる傾向があります。
ただ、30代、40代と年が増すにつれ、時間外勤務が少なくなりつつも、時給が上がっていくので、一定の額は保持するようです。ただ、この事例は特定の本部の特定の職員に限った話しなので、消防士みんなが同様の年収があるとは思わないでください。特に、日勤勤務(毎日勤務)になると、年収がぐんと下がります。
今までの説明を聞くとわかるように、現場に行くともらえていた手当が減るからですね。また、一定の管理職職員の立場になると、時間外勤務手当の支給がなくなり、その代わりに管理職手当が支給されます。管理職手当は、階級や役職により月額で4万円から多くても10万円に届かない程度です。つまり、時間外勤務手当の額に比べると、非常に少なくなります。これを理由に、意図的に昇任試験を受からないようにし、管理職職員にならないようにする職員が一定数います。
\昇任試験についての詳細はこちら/
さらには、地方に行くほど、消防本部の規模が小さくなるほど、基本給は下がり、救急件数は減り、救急救命士の救急活動手当も少なく、人口が少ないために、休みの日の救命講習の頻度も少なく、時間外勤務手当の額も少なくなります。
消防士の給料や手当について階級ごとの平均的月収
最後に、階級ごとの平均的な月収を記載します。
消防副士長の月収が、階級が低いわりに不自然に高いのは、前述したように、昇任を望まないものの、勤続年数が長いため基本給が高くなっている職員が影響しているものです。
消防士の給料は安いのか?|消防士の手当を徹底解説のまとめ
消防士の給料について、手当に関する観点からレポートしてみました。お金持ちになりたいからと消防士になろうとする人はいないと思います。人から感謝される、人を助けることができる、地元を愛している、という気持ちに動かされて消防士にならないと、立派な消防士にはなれません。年収が高い消防士は、それだけ体や精神への疲労は相当なものです。
ある意味、寿命を削って戦っているといってもいいでしょう。人それぞれ価値観は違うため、自分が何を大切にしているのかを良く考えて、消防士への就職や、志望する消防本部を検討してください。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
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また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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