こんにちは、TEAM WEBRIDです。今回のテーマは、消防署の建物。消防署には、昔のテレビに出てくるような、滑り棒って本当にあるのでしょうか?実はもう、消防署に滑り棒は存在しません。どうして滑り棒は消滅してしまったのでしょうか?
今回も現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに、滑り棒がなくなった理由を根拠とともに説明します。この記事を読むことで、消防署の建物について知識が深まります!それではレポートします。
消防署の建物の工夫:滑り棒って本当にあるの?
先に答えを言ってしまいますが、今の時代、消防署にすべり棒はありません。以前は、すべての消防署ではないものの、一部の消防署にはすべり棒が確かにありました。では、どうして消防署から滑り棒が消えてしまったのでしょうか。その理由は次の3つです。
それぞれ詳しく説明します。
消防署から滑り棒が消えた理由その①時間がかかる
すべり棒を利用すると階段より時間がかかる!
「いやいや、階段降りるより絶対滑り棒の方が早いでしょ。」
こんな声が聞こえますよね。この、階段より滑り台の方が遅い理由を説明します。消防士は、消防署の中でいろいろな場所に分かれていろいろな業務に従事しています。言うまでもなく、出動指令がかかると大急ぎで防火服置き場へ急ぐわけです。早く着替えて早く出動するために。
イメージしてください。2階フロアに10人の消防士がいたとします。そこに突然の火災指令。
全員が滑り棒まで駆けつけたとします。2,3番目以降に駆け付けた人には何が起きるでしょう?
そう、立ち止まりです。急いでいるのに。
なぜなら、滑り棒は一人ずつしか滑って降りることができないから。急ぐために前の人が降り切る前に降りるなんで超危険。つまり、前の人が滑り降りだしたら、完全に着地して滑り棒から離れるまでは、安心して滑り棒で降りることができないわけです。
このとおり、滑り棒というのは、同時に利用できる人が1人だけ。しかし、階段であれば同時に複数の人が利用できることは言うまでもありませんね。このように、滑り棒での出動は一人だけなら早いかもしれませんが、複数での利用にあっては時間がかかってしまうわけです。
消防署からすべり棒が消えた理由その②危ない
重力を利用し、階段のような斜め移動ではなく、真下に向かって直線的に動くため、確かに早いことはわかります。しかし、ここにも問題が。早いということは、落下時のエネルギーも高いということ。
要は危なくてケガをしやすいということです。
「体力自慢で運動神経の良い消防士が、すべり棒を滑り降りただけでケガをするなんて考えられない。」
もちろん、ロープの上でも移動できる消防士達です。普通であれば、ケガなんてしません。問題は普通じゃない時です。例えば寝起き。消防士は仮眠時でも出動指令を耳にすれば飛び起きて出動準備に向かいます。しかし、あくまでも人間、どうしても寝起きは寝ぼけてしまうこともあります。こんな時は、着地時に足をひねったりしてしまうわけです。
また、寝起きだけではありません。慣れてくると、横着心が生まれます。例えば物を持ったまま片手で降りるといったケース。用心はしているものの、そんな時に限って事故は起きるもの。滑り棒に振れている方の手が滑ってしまって滑り棒から離れ、落下事故を起こしてしまうわけです。下手したら大ケガにもつながります、本当に危ないです。
消防署から滑り棒が消えた理由その③効率が悪い
基本的に滑り棒というのは、2階から1階に素早く降りるために設置されました。昔は2階建ての消防署が多かったという時代背景もあります。しかし、時代の流れとともに、3階以上の高さの消防署が増えました。イメージしてください、3階や4階から滑り棒で1階まで降りる気になりますか?ちょっと怖いですよね。
「一般人なら怖いけど、消防士なら怖くないんじゃないの?」
確かに。はしご車の先端で活動することもあり、高所作業には慣れているだろう消防士たち。怖いという感情は一般人より少ないかもしれません。しかし、ここには別の問題が。それは何かというと、手のひらが摩擦熱に耐えることができず火傷してしまうということ。2階から1階への1フロア分なら、素手でブレーキをかけつつ滑ってもそこまで熱くはなりません。
しかし、これが2フロア分、3フロア分となると話は変わってきます。消防士の握力をもってブレーキをかけながら滑り降りると火傷するぐらい熱をもつわけです。火災現場に行く前から怪我をしていたら意味がない。そういうわけで、3階や4階から1階へ降りるような滑り台はないわけです。4階から2階までは階段を使って降りたけど、2階からは滑り棒まで移動してから降りるなんて非効率ですよね。
そのまま階段で降りた方が圧倒的に効率的です。話がそれますが、滑り棒を1フロアごとに設けたらどうでしょうか。
一回の滑る時間は短いためクールダウンできて手を火傷してしまうリスクは回避できそうですが、大きなデメリットが発生します。それは、滑り棒のためだけにフロアの床面積をたくさん消費してしまうということ。貴重な床面積を、なくてもいいすべり棒のために圧迫されるのはコスパが悪いですよね。
消防士が解説|消防署ではすべり棒で降りるの?のまとめ
消防署の建物の工夫である滑り棒についてレポートしました。まとめると次のとおり。
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