今回は、消防本部が主催する消防士採用説明会についてレポートします。結論から言うと、どこの消防本部に就職したいか迷っている人は、消防士採用説明会にどんどん足を運ぶことをお勧めします。
TEAM WEBRIDとしても若いチームメンバーを複数の消防士採用説明会に行かせましたが、行く前と行ったあとでは、その消防本部に対するイメージが大きく変わったようです。
この記事を読むことで、消防士採用説明会の良さがわかり、きっと足を運びたくなると思われます。今回の記事も、現役消防士の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートしたいと思います。
消防士の採用説明会:職員の雰囲気がわかる
消防士という仕事は、消防士採用試験に合格することで就職することができます。誰にでも、平等に、チャンスが与えられています。試験さえ受かれば、消防士です。特定の人しか慣れない職業ではありません。
ということは、どこの消防本部も同じ雰囲気だと思いますよね?しかし、実は消防本部ごとで、消防士たちの個性や雰囲気に偏り(かたより)がみられます。
どうしてそんなことがわかるの?
と思うかもしれません。その根拠は、消防学校での集団生活が教えてくれます。県が運営する消防学校には、県下の消防本部から新採用職員が集まり、初任教育を6か月間、寮生活をしながら生活します。
\消防学校について詳しく知りたい方はこちらの記事/
消防本部の規模の大きさにより、新採用職員の数にバラツはあるものの、10人から20人ほどのグループが複数存在すると、そのグループごとで個性や雰囲気の偏りがみられるそうです。この違いは、そのままそれぞれの消防本部の雰囲気へとつながります。
この雰囲気の違いには、複数の理由が考えられます。
それぞれの理由を解説します。
消防士の採用説明会:それぞれの消防本部の採用試験の配点ウエイトが違う
消防士採用試験は、公務員採用試験ではあるものの、筆記試験のほかに体力試験が存在します。
\採用試験の体力試験について詳しく知りたい方はこちらの記事/
一次試験の合否判定は、筆記試験、体力試験、あとは小論文などを考慮します。消防本部によって、筆記試験と、体力試験の配点のウエイトが異なります。このウェイトの違いによって、職員の個性や雰囲気に偏りが現れます。
例えば、筆記試験を重視し、体力試験の配点ウエイトが低い本部があったとします。筆記試験の結果を重視しているため、他の人よりずば抜けて体力試験の結果が良かったとしても、落ちます。どちらかというと、勉強がよくできるタイプ、つまりはまじめなタイプが増える傾向になります。
逆に、筆記試験の配点ももちろん重視するものの、他の消防本部よりも、体力試験の結果の配点ウェイトが高い本部があったとします。筆記試験の結果が多少良くても、体力試験の結果が良くないと、体力試験の配点ウエイトが高いために、落ちます。
つまり、勉強はほどほどにできるものの、運動もしっかりできるタイプ、スポーツマンタイプが増える傾向になります。まじめなタイプというのは、比較的に穏やかな性格の人が多くなります。スポーツマンタイプというのは、比較的に賑やかな性格の人が多くなります。採用試験の配点ウエイトの違いが、このような個性の違いを生むことにつながります。
消防士の採用説明会:それぞれの消防本部の面接官の好みが違う
消防士採用試験の一次試験に合格すると、二次試験から面接試験が始まります。
\採用試験の面接試験について詳しく知りたい方はこちらの記事/
この面接試験の面接官は、その就職をしようとする消防本部の幹部です。消防本部によっては、三次試験として面接を行う本部もあり、その消防本部を運営する自治体の幹部が面接官を担う場合もあります。
つまりは、似たような偏りを持った人たちが面接を行うため、面接での好みも偏りが出ます。このような偏りが、組織風土などにもつながるようです。
消防士の採用説明会:管轄地域の土地柄や風土
生まれ育った土地を管轄する消防本部への就職を希望する人には、影響のない部分です。生まれ育った土地ではない地域を管轄する消防本部への就職を希望する人にとっては、大きな影響を持っています。
ずっと同じ地域に住んでいると気づきにくいことですが、遠くの地域へ引っ越したりすると、近所付き合いなどに違和感を覚えることがあります。
スーパーに行った時なども、雰囲気の違いに違和感を覚えることがあります。消防士というのは、やはり地元の人間が多く、管轄する地域の人間性がより濃く出てきます。この土地柄や風土の違いが、消防本部の個性や雰囲気の違いに影響します。
消防士の採用説明会:気になることは何でも聞ける
消防士採用説明会というのは、一般の方が思っている以上にフレンドリーな雰囲気で進行します。
という流れが一般的です。前半は講義スタイルなので、一方的に話を聞くようになります。しかし、中盤の体験型スタイル以降は、自由に動けるし、消防士の方も周りをウロウロしています。後半の座談会を待たなくても、気軽に話しかけることができます。
消防士からも気軽に話しかけてくれるので、話の流れで気になっていることはどんどん聞いてみましょう。消防士の人も、
自分たちの消防本部を受験してくれる人を増やしたい!
という気持ちで採用説明会に臨んでいるため、愛想良く話してくれます。愛想が良すぎて、一度でも採用試験を受けたことがある人は、違和感を持つと思います。というのも、消防士採用試験本番の消防士の愛想はめちゃくちゃ悪いです。
採用説明会の時にあんなに笑顔で話しかけてくれていたのに、目が合っても無視されます。ただ、これには理由があります。採用試験に、仕事として出てきている消防士たちは、
受験生との接触、私語等は厳重に慎むように !!!
との指示を組織から受けています。この指示の意味は、受験の不正を疑われないためのものとなっています。みなさんも、受験生になって受験会場にいる姿をイメージしてみてください。特定の受験生が、試験会場にいる試験管である消防士と、仲良く話していたら、嫌な気持ちになりますよね。
ましてや、自分が不合格になって、消防士と仲良くしていた受験生が合格していたら不正を疑いますよね。そのような疑いを持たれないようにするため、接触を禁止しています。ちなみに、
どうして特定の人が合格したかわかるの?
と、疑問に思った人がいるかもしれないので捕捉します。消防士採用試験では、受付の際に、受験番号をそれぞれ個人に付与されます。試験会場では、受験番号で呼ばれ、名前を呼ばれるようなことはありません。
このような理由で名前では呼びません。受付後は、この受験番号の順番に並びます。ということは、自分の位置から数えれば、
あの人は受験番号が○○番の受験生だな
ということがわかります。さらには、合格発表も、受験番号が発表されます。ということで、
あ、あの試験官の消防士と仲良さそうに話しをしていた受験生が合格している、自分は落ちているのに。コネとかあるんじゃないのか!?
という不信感を持つ受験生が現れかねないということです。このようなことが、採用説明会のときは愛想のよい消防士たちが、採用試験のときは不愛想になる理由です。
消防士の採用説明会:採用には影響しない、聞きにくい質問も遠慮するな
消防士採用試験の合否は、採用試験の成績だけで判断されます。当たり前ですよね。
じゃあ他に何が反映されるの?
と思うかもしれません。しかし、受験生の中には、
採用説明会への参加や、そこでの振る舞いが合否に影響するんじゃないかな
と勘違いをする人がいます。これは、大きな間違いです。気にせずに、聞きにくいこともガンガン聞いてみましょう。
消防士の採用説明会:複数の本部で悩んでいる人は、その悩みも聞いたほうが良い
もしもあなたが、最終志望の消防本部を2つで悩んでいるとします。この悩み、採用試験の面接であれば、消防本部に対しては悪印象です。就職先本部を悩むような受験生より、自分の消防本部が就職先の本命である受験生のほうが好まれて当然です。したがって、
こんな悩み、今聞いたら失礼だよな、感じ悪いよな、印象悪くなるかな、採用試験の時に減点されないかな
という不安がよぎるかもしれません。しかし、そのような不安は取り払ってください。採用試験には、まったく影響しません。本音で質問をしましょう。あとは、その返答を踏まえて、自分で答えを出しましょう。もしも、その時の座談会で、
それなら〇〇消防本部のほうが良いかな !
と、答えを出されたとしても、最終判断を決めるのは自分にしましょう。自分で最終判断ができるように、判断材料になる質問をしっかりしてください。その方が、もしも消防本部選びを間違っていたとしても、後悔する気持ちは小さいはずです。
消防士の採用説明会:他本部の情報も教えてくれる
とある消防本部の採用説明会に行って、違う消防本部のことについて質問するのは失礼なやつだと思われるかもしれません。失礼だと思われても問題ないので気にせずに聞きましょう。なぜなら、採用試験には影響がないからです。本命ではないけど、滑り止めとして受験するつもりだからと、どうしても気になるなら
こちらの本部では、こうなのですね、ところで隣の〇〇消防本部でも同じですか?
ぐらいのひねりを効かせて質問してみましょう。ただ、このひねりはなくても大丈夫です。なぜなら、採用試験には影響がないからです。たとえば、自分が希望する消防本部が、採用説明会を実施していない場合、同じ県の消防本部が実施する採用説明会に出向くという作戦が使えます。
消防士って、自治体ごとの職員だから、消防本部が違うと、別会社の社員ですよね?違う消防本部のことも知っているの?
そうです。消防士は、本部が違うと、別会社の社員です。ただ、同じ県内であれば、うわさや雰囲気は同期からの情報でわかります。
別会社なのに同期???
ここでいう同期とは、消防学校の同期のことです。消防士は、就職してすぐに、消防学校に出張します。初任教育という消防士の基礎を6か月間、共同生活をしながら学びます。すると、当然、仲良くなります。仲が良くなると、消防学校を卒業しても、連絡を取り合います。
飲みにも行きます。飲みに行くと愚痴も出ます。自然と職場の愚痴も出ます。このようなやり取りの積み重ねで、他本部の雰囲気や制度の違いなどがわかってきます。そのため、他本部の採用説明会であっても、他本部の情報を入手することができます。
消防士の採用説明会:女性にとっては、消防士採用説明会で得られるものは男性より大きい
女性は、男性よりも特に、採用説明会に積極的に行くことをお勧めします。なぜなら、消防本部の雰囲気の違い以上に、女性消防士に対する組織の雰囲気の違いは大きいためです。女性消防士は昔に比べて増えてはきたものの、まだまだ組織の中では少数派です。
人数が少ないと、発言権が弱かったり、女性専用施設の整備が整ってなかったりと、就職してみないとわからないことがたくさんあります。女性消防士がいる消防本部では、必ず採用説明会に女性消防士を参加させています。
また、座談会などの場では、女性ながらの話がしやすいように、女性だけの座談会エリアを用意していることも一般的です。女性は、男性以上に、積極的に採用説明会に出向き、女性に対する組織の雰囲気を聞いてください。
\女性消防士の活躍について詳しく知りたい方はこちらの記事/
消防説明会に行ってみた|質問は何でもOKだった!のまとめ
消防本部が主催する、消防士採用説明会へ参加することのメリットを説明してきました。就職先の消防本部が定まっていない人にとっては、生の声が聞ける絶好のチャンスです。せっかく受かった消防本部が、自分が思っていた雰囲気と違うようでは、もともこうもありません。
特に、女性の方は、消防士採用説明会に積極的に行くべきです。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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