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【消防士の惨事ストレス】原因は異動?解消方法や発散方法はなに?

人間関係

消防士の惨事ストレスについてこの記事を読んだらわかること

今回は、消防士の参事ストレスについて、発生要因や組織としての対応についてレポートします。

悲惨な現場での活動を余儀なくされる消防士たちは、どんなストレスを受け、どのように乗り越えているのでしょうか。

今回も、現役消防士や消防職員OBの人たちからの調査結果をもとに解説したいと思います。

この記事を読むことで、消防士たちの参事ストレスにまつわる状況が理解できます。

消防士の惨事ストレス:そもそも惨事ストレスとは?

消防士は様々な災害へ対応することにより、身体と同様に、心にもさまざまな傷を負うことがあります。

この心身に不快をもたらす要因をストレッサーと呼び、それが強い場合は、心的な後遺症を残すことがあります。

この後遺症のことを、心的外傷(トラウマ)と呼びます。

トラウマへの反応として、

  • うつ状態
  • アルコール依存
  • 急性ストレス障害(Acute Stress Disorder;ASD)
  • 心的外傷後ストレス障害(Post-traumaticStress Disorder;PTSD)

と呼ばれる症状が生じることがあります。

ASDは、悲惨な状況や危険な状況に直面したことにより、

  • 感情の麻痺
  • 現実感の消失
  • 注意力の減退

などの強いストレス反応を生じ、その状態が2日から4週間続く障害をいいます。

PTSDは、ASDと同じ理由により強いストレス反応にさいなまれ、その状態が1ヶ月以上続く障害をいいます。

消防士は、悲惨な災害現場で活動することで、被災者と同様の強い精神的ショックを受けることがあります。

さらには、職業的責任により、

  • 嫌な現場でも逃げ出すことができない
  • 身の危険が脅かされる現場でも逃げ出すことができない

など、一般の被災者とは異なる心理的影響を受けます。

こうした状況下での心理的な負荷を「惨事ストレス」(Critical IncidentStress;CIS)と呼んでいます。

消防士の惨事ストレス:災害現場活動に伴うストレス

消防士は、住民の生命、身体及び財産を災害から守るため、災害現場において消火、救助、救急搬送など様々な活動を行うことが任務です。

消防士はその任務遂行上、災害現場の状況によっては、

  • 悲惨さ
  • 恐怖
  • もどかしさ
  • 悔恨
  • 後悔
  • 悲しさ
  • 無力感
  • 罪悪感
  • 自己嫌悪

など、さまざまな感情を抱くことがあります。

そして、これらがストレスとなり、トラウマとして残る場合があります。

こうした惨事ストレスを受けると、

  • 身体
  • 精神
  • 情動
  • 行動

に様々な障害を発生させたり、さらにはPTSDなどの重い障害を引き起こすことがあります。

消防士の惨事ストレス:惨事ストレスの発生要因

消防士が災害現場で、精神的ダメージを受けるおそれのあるストレス要因として、次のようなものがあげられます。

ここで、注意しなければならないことは、必ずしも規模の大きな災害だけが悲惨であり、ショックが大きいとは限らないことです。

  • 悲惨、凄惨な場面での活動
  • 活動に困難性が伴い、命の危険を感じながらの救助活動
  • 未知の危険や、極度の不安、緊張感の伴う現場活動
  • 子供の死など、自分の家族を想起させるような場面
  • 救出した人の死、救出できなかった場合(無力感、罪悪感、自己嫌悪、責任感など)
  • 同僚の負傷、殉職が発生した場合(いわゆる生き残り症候群や罪悪感など)
  • トリアージの必要な現場活動
  • 衆人環視の中での困難な救助活動

消防士の惨事ストレス:惨事ストレスによるストレス反応

惨事ストレスによるストレス反応は、災害現場活動直後から症状として現れ(ASD)、おおむね3ヶ月程度で治まってくるPTSD急性型、3ヶ月以上続くPTSD慢性型、6ヶ月以上経過してから発症するPTSD遅発型などがあります。

そして、その症状はASD、PTSD共通で、

  • 身体的反応
  • 精神的反応
  • 情動的反応
  • 行動的反応

の大きく4つに分類することができます。

これらの症状は時間の経過とともに回復することがほとんどですが、長引いたり、悪化したり、日常の生活に影響が出る場合があるので、初期段階での対応が重要です。

症状をそれぞれ解説します。

身体的反応

呼吸・心拍数の増加、頭痛、下痢、発汗、不眠、食欲減退、頻尿など。

精神的反応

悪夢、入眠困難、想起困難、感情の麻痺、現実感の消失、注意力の減退、集中力の低下、侵入症状(忘れようとしていることが意に反して突然蘇える)、フラッシュバック(災害のことが現実のように再び蘇える)など。

情動的反応

不安、恐怖心、おびえ、怒り、悲嘆、無力感、罪悪感、悔恨など。

行動的反応

過度の活動性、落ち着きのなさ、深酒、過度の薬物利用(睡眠薬、精神安定剤、鎮痛剤等)など。

これらの反応は、特殊なものでも異常なものでもなく、誰にでも起こる可能性のある一般的な反応です。

これを何事もなかったように隠したり、平気を装ったりすることは、かえって状態を悪化させるおそれがあります。

消防士の惨事ストレス:惨事ストレスを受けた職員の把握

大規模災害時に関する惨事ストレス対策研究会報告書(平成25年3月)によると、

消防職員の惨事ストレス対策は、メンタルヘルス対策の一環として位置づけられるものであり、その具体的な対策は、消防本部が主体となって組織として取り組むべき対応、職員相互に取り組むべき対応、職員一人ひとりが取り組むべき対応に分けられる

とされています。

心の病は、客観的な判断を下すことが困難と言われており、また、プライバシーの保護に対する配慮等、惨事ストレスを受けた職員の把握は簡単ではありません。

しかし、消防本部としては積極的な把握に努めることが重要になります。

管理職員による把握

身近に存在する管理職員や隊長が、職員の変化に気付くことも多くあります。

変化を察知した管理職員が自分の判断のみで対処することがないように、プライバシーの保護に配慮しながら、各消防本部の組織の状況に応じた連絡体制を定め、早期に適切な対応ができるようにすべきです。

なお、こうした場合、本人の意思による自発的な回復への意欲が持てるように、本人の了解を求めることが原則です。

自己診断による把握

職員自らが希望するときに、誰にも知られることなく、心の変化などを確認できるような自己診断の方法として、現在はインターネットで検索すると「惨事ストレスによるPTSD予防チェックリスト」のようなものを見つけることができます。

これは、19個の質問に該当しているか答え、その該当数により心理的影響の大きさを調べるものとなっています。

自己診断により一定レベル以上の結果が出た場合は、

  • 自己解消法
  • グループミーティングへの参加
  • 専門機関への受診
  • 専門医への受診

等を勧めることが重要です。

消防士になるような人は、もともと部活動のツライ練習に耐えてきたような我慢強い人が多い傾向にあります。

弱音を吐くことは格好悪いことだという意識を持っています。

自分は精神的な病気になることなんて絶対ない !!

と思い込んでいるような人たちばかりです。

そのため、このようなチェックリストは、有効な手段と言えるでしょう。

【消防士の惨事ストレス】原因は異動?解消方法や発散方法はなに?のまとめ

消防士は職務上、惨事ストレスに否応なくさらされる可能性があることがよくわかりました。

常に万全な状態でその任務を遂行するためには、惨事ストレスへの正しい理解とともに、それに伴う症状の解消方法や、回復するための方法を把握しておくことが必要なようです。

消防士の方には、心の健康を確保しながら、安心して災害現場で活動できる環境が整うことを期待します。

  

今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。


この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。


また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。

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