救助隊(レスキュー隊)って、4種類あるって聞いたんだけど本当?
そのとおり!消防本部の規模などの違いで、4種類の救助隊がいます!
こんにちは、TEAM WEBRIDです。今回の記事では、救助隊(レスキュー隊)の違いについて説明します。実は、救助隊には、
という、4種類の救助隊(レスキュー隊)が存在します。これらの救助隊は、すべての消防本部にいるわけではありません。どのような制度になっているのかわかりやすく解説します。
今回の記事も、現役消防士の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートします。この記事を読むことで、救助隊の違いが理解できるため、将来救助隊(レスキュー隊)を目指している若者にとっては、志望する消防本部が変わるかもしれません。それでは、レポートします。
そもそも救助隊とは?
救助隊(レスキュー隊)の定義は省令(救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令)に記載されています。
人命の救助に関する専門的な教育を受けた隊員五人以上で編成するよう努めるものとし、別表第一に掲げる救助器具及び当該救助器具を積載することができる救助工作車その他の消防用自動車一台を備えるものとする。
救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令(昭和六十一年自治省令第二十二号)
簡単に言うと、必要な救助器具を備えた救助工作車と、救助隊員5人がそろうことで、救助隊になります。必要な器具とは、次のようなものです。
一般救助用器具
重量物排除用器具
切断用器具
破壊用器具
検知・測定用器具
呼吸保護用器具
隊員保護用器具
検索用器具
除染用器具
水難救助用器具※
山岳救助用器具※
その他の救助用器具
救助隊はどこの消防署にもいるの?
原則は、すべての消防署に救助隊を配置するように決まっています。消防署というのは、いろいろな種類の消防署がある中でも、本署に配置すればよいので、分署や出張所には救助隊を配置することはありません。
本署・分署・出張所の違いはこちらの記事で詳しく解説しています
ただ、次のように、地域の特性も考えて、例外も認めています。
人命の救助を要する事案の発生状況、人口、面積、地形その他の地域特性(以下「地域特性」という。)を考慮して、前項の規定による救助隊の配置基準数を増減することができる。
救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令(昭和六十一年自治省令第二十二号)
この部分の意図していることは、離島などの過疎地において、救助隊を配置することがあまりにも費用対効果が低い場合や、逆に、人口密集地であり、消防署の本署を配置していなくても救助隊の配置の必要がある場合など、柔軟な対応ができるようにしているものです。
特別救助隊とは?
特別救助隊というのは、先ほどの救助隊よりも、さらに多くの救助資機材を備えた救助隊のことです。
どんな装備が増えるかというと次のとおり。
重量物排除用器具
切断用器具
破壊用器具
呼吸保護用器具
隊員保護用器具
その他の救助用器具
多くの資機材に精通するのは大変ですね。
特別救助隊が必要な消防本部は?
特別救助隊は、普通の救助隊より備えている救助資機材が多いことがわかりました。では、この特別救助隊、どのような消防本部に必要になってくるのでしょうか?それは、次の2つの条件の場合です。
このような条件の消防本部では、消防署に配備している救助隊のうち、1隊は特別救助隊とする必要があります。条件①の場合、さらに細かいルールがあります。
一 人口十万を超え百万までの人口について、人口十五万で除して得た数(整数未満の端数がある場合は、当該端数を切り捨てる。以下この項において同じ。)
救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令(昭和六十一年自治省令第二十二号)
二 人口百万を超え三百十万までの人口について、人口三十万で除して得た数
三 人口三百十万を超える人口について、人口四十万で除して得た数
これは、人口が増えれば増えるだけ、救助隊を特別救助隊に格上げする必要があるということ。例えば、管内人口46万人、3つの消防署を抱える消防本部があったとします。消防署が3つあるので、救助隊が3隊います。引用一より、46万人÷15万人=3と端数がでます。端数は切り捨てです。つまり、3隊は特別救助隊への格上げが必要です。したがって、この例の場合では、3つの消防署の救助隊3隊すべてが、特別救助隊の基準を満たす必要があります。
高度救助隊とは?
高度救助隊というのは、特別救助隊よりも、さらに多くの救助資機材を扱うようになります。具体的には、次の9つ。
救助隊⇒特別救助隊⇒高度救助隊とランクアップするごとに、扱う資機材が増えています。ゲームのキャラクターが進化するように、人間の性能がパワーアップするわけではないので、扱える資機材が増えることで、救助隊のグレードがランクアップしていく仕組みです。
高度救助隊が必要な消防本部は?
高度救助隊が必要な消防本部は、次のとおりです。
これらの消防本部は、1隊以上の高度救助隊を配備する必要があります。一般的に言うと、規模の大きい部類の消防本部に必要なイメージです。例えば「〇〇市消防局」といった大きい規模の部類の消防本部は、高度救助隊を配備しています。逆に、「〇〇市消防本部」といった小さい規模の部類の消防本部は、特別救助隊までしか配備していないことが多くなります。
消防『局』『本部』『組合』『広域』などの違いを詳しく知りたい方はこちらの記事
特別高度救助隊とは?
どんどん名前が賑やかになっていきますね。ここまでくれば、また扱える資機材が増えているからだろうと想像できますね。しかし、なんと救助資機材は増えません。では何が特別高度なのかというと、特殊災害対応自動車が増えます。なお、特別高度救助隊として活動する上で必須装備ではありませんが、地域の実情に応じてウォーターカッター及び大型ブロアーを備えていることがあります。
特別高度救助隊が必要な消防本部は?
特別高度救助隊の配備が必要な消防本部は次のとおりです。
高度救助隊が必要な対象消防本部からさらに狭まりました。中核市が外れましたね。特別区が連合して維持する消防本部である東京消防庁と、全国に20都市存在する指定都市を合わせて、日本には特別高度救助隊を配備する消防本部が21本部ということになります。ただし、1消防本部に複数隊の特別高度救助隊が存在するので、特別高度救助隊の数(隊の数)でいえば21隊どころではなくなります。
全国の政令市は次のとおりです。
都市 | 人口 | 移行年月日 | 指定政令 |
---|---|---|---|
大阪市 | 2,752,412 | 昭和31年9月1日 | 昭和31年 政令第254号 |
名古屋市 | 2,332,176 | 昭和31年9月1日 | |
京都市 | 1,463,723 | 昭和31年9月1日 | |
横浜市 | 3,777,491 | 昭和31年9月1日 | |
神戸市 | 1,525,152 | 昭和31年9月1日 | |
北九州市 | 939,029 | 昭和38年4月1日 | 昭和38年 政令第10号 |
札幌市 | 1,973,395 | 昭和47年4月1日 | 昭和46年 政令第276号 |
川崎市 | 1,538,262 | 昭和47年4月1日 | |
福岡市 | 1,612,392 | 昭和47年4月1日 | |
広島市 | 1,200,754 | 昭和55年4月1日 | 昭和54年 政令第237号 |
仙台市 | 1,096,704 | 平成元年4月1日 | 昭和63年 政令第261号 |
千葉市 | 974,951 | 平成4年4月1日 | 平成3年 政令第324号 |
さいたま市 | 1,324,025 | 平成15年4月1日 | 平成14年 政令第319号 |
静岡市 | 693,389 | 平成17年4月1日 | 平成16年 政令第322号 |
堺市 | 826,161 | 平成18年4月1日 | 平成17年 政令第323号 |
新潟市 | 789,275 | 平成19年4月1日 | 平成18年 政令第338号 |
浜松市 | 790,718 | 平成19年4月1日 | |
岡山市 | 724,691 | 平成21年4月1日 | 平成20年 政令第315号 |
相模原市 | 725,493 | 平成22年4月1日 | 平成21年 政令第251号 |
熊本市 | 738,865 | 平成24年4月1日 | 平成23年 政令第323号 |
消防士|4種類の救助隊(レスキュー隊)の違い|特別高度救助隊のまとめ
4種類の救助隊、
について違いを説明しました。まとめると次のとおり。
救助隊の種類 | 救助資機材の種類 | 必要車両 | 対象本部 |
救助隊 | 基本救助資機材 | 救助工作車 | 全消防本部 |
特別救助隊 | 基本救助資機材+23 | 救助工作車 | 人口10万人以上 |
高度救助隊 | 特別救助隊資機材+9 | 救助工作車 | 東京消防庁 + 指定都市 + 中核市 |
特別高度救助隊 | 特別救助隊資機材+9 | 救助工作車 + 特殊災害対応自動車 | 東京消防庁 + 指定都市 |
救助隊になりたい、救助隊の中でも最高グレードの特別高度救助隊になりたいと考えている人は、指定都市か東京消防庁を受験する必要があるということですね。やっと消防士になれたのに、就職した消防本部には自分が望んでいる職種がなかったということのないように気をつける必要があります。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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