消防士の世界というのは、一緒に過ごす時間が長いぶん、一般の会社より、人間同士の付き合いが深い間柄になります。
このことは、災害現場でお互いに命を預けあう関係性・信頼性が必要なことに通じる部分があります。
さらに、この人間同士の付き合いは、みんなが対等ではありません。
指揮命令系統を明らかにするため、階級による序列、採用年数による序列がはっきりしています。
つまり、縦社会の中での付き合いになります。
“人づきあい”という点に注目すると、できるやつと思われる人は、気遣いができる職員です。
そこで、今回の記事では、消防士の世界でできるやつと思われるための気遣いポイントを7つ紹介します。
今回の記事も、現役消防士や消防職員OBの方への取材をもとにレポートします。
この記事を読むことで、これから消防士になる人は、消防署の中でどのようなことに注意してふるまえば問題なく過ごせるか理解できます。
椅子への座り方について
新人は、何をしても、どこかで何かと文句を言われてしまうもの。
部活を経験している人は、あたりまえのように理解できることだと思います。
消防士は、業務のあいまあいまに、待機勤務という休憩時間のような時間が発生します。
よくある場面は、“待機室”というリビングのようなスペースでのまったりタイムです。
このような場面、椅子が空いていたとしても、座らずに立っていましょう。
ましてや、職員数に対して椅子の数が足りず、先輩が座っていないような場面はなおさらです。
「椅子に座ることもできないぐらい厳しい縦社会なのか!?」
と、思わないでください。
1年だけの我慢です。
40年程度ある消防人生のたった1年、職場での過ごしやすい環境を手に入れるため頑張りましょう。
採用後、半年間の消防学校を卒業して消防署勤務が始まるのは10月ごろからです。
そこから1年我慢すれば、次の10月には後輩が消防署勤務を始めます。
後輩が入れば、先輩たちの目は後輩に行くため、自分に向く目はグッと減ります。
ただ、一般的な消防署であれば、1年も待つことなく、先輩たちと同じように椅子に座って話すのが普通になります。
この期間は、それぞれの職場の雰囲気次第です。
1か月の時もあれば、2,3か月の場合もあります。
その勤務日に勤務しているメンバーにもよります。
空気を読む力を養いましょう。
とりあえず、最初の1年だけいろいろなことに我慢すれば、周囲から
「あいつは、気遣いができるやつだな」
と思われます。
最初が肝心です。
最初に、あいつは気遣いのできるやつだと思わせたら勝ちです。
後から少々、失敗があったとしても、
「まぁ、あいつなら悪気があってのことではないだろう」
と周囲に思われます。
しかし、最初の気遣いが足らず、
「あいつは生意気だな」
と印象づいてしまったものならもう大変。
悪気があったうえでやったことではなくても、
「生意気なあいつがやったことだ、わざとに違いない」
と、損ばかりしてしまいます。
このような損をすることなく、過ごしやすい職場環境を手に入れるためには、最初の印象が重要です。
小さなことの積み重ねが、印象付けには効果的です、次を説明していきます。
ご飯の食べ方について
何年も勤務していれば話は別です。
各自がそれぞれ何かしら仕事を抱えていたりするので、若手が先にご飯を食べていても先輩たちの気にはなりません。
しかし、目上の人から順に、先にご飯を食べることは基本的なことです。
休憩時間が来たからといって、先輩をさしおいてホイホイご飯を食べ始めていると、
「あいつ、生意気だな」
と目をつけられる可能性が高くなります。
新人のうちは、先輩たちが食べ終わるのを見計らってから食べ始めましょう。
もちろん、昼休みの受付勤務の当番がある場合などは除きます。
たいていの職場は、みんなが食べ終わらなくても、
「〇〇も、ボケっと突っ立ってないで、さっさと飯食えよ~」
ぐらいの声を、気が利く先輩がかけてくれます。
そのような声が待機室に響いた方が、
「あいつは、先輩が食べ終わるのを待っているな、礼儀をわかったやつだ」
と好感度アップには効果的です。
エレベーターの乗り降りの仕方について
エレベーターの乗り降りを先輩と一緒にする場合も、気遣いのできる男のアピールポイントです。
エレベーターから降りるときは、必ず最後に降りましょう。
そのためには、エレベーターに乗ったらすぐ、操作盤の前を確保してください。
そうすれば、目的のフロアに到着後、すぐに開閉ボタンを押し続けることができます。
その姿を見れば、先輩たちは自然と先に降りるはずです。
これだけでOK。
では、エレベーターに乗るときはどうでしょうか。
廊下を歩いているときは、先輩が先頭側を歩いている場面が多いと思います。
理想としては、先輩を追い抜いて、エレベータースイッチを押しに行くことで気遣いアピールができるものの、場面によっては少しやりすぎ感、わざとらしさ感が出てしまいます。
そこで、おすすめは、エレベーターに乗るときの気遣いは見捨てましょう。
その代わり、降りるときには先ほどの流れを実行します。
上下に厳しい先輩は、
「エレベーターを呼ぶのは後輩の仕事だろ、おれにボタン押させやがって」
と感じているかもしれません。
「こいつは、気遣いのできない生意気なやつなのか?」
と思われるかもしれません。
しかし、そのように思わせている状況で、先ほどの降りるときの対応を行えばどうでしょう。
「お?やることはやるんだな」
と思われます。
終わりよければOKです。
後に残る印象は、“生意気”よりも“気遣いするやつ”になります。
車両の座る位置について
消防署の車の中でも、車の種類によって、上席の位置が決まっています。
この種類の違いというのは、
です。
それぞれ説明します。
✔ 赤い車
この場合、上席の位置は、助手席です。
またの名を、隊長席ともいいます。
運転席は、機関員席です。
運転手のことを機関員と呼びます。
では、後部座席で、一番後輩の立場の人は、右左のどちらに座るべきか。
答えは、左側です。
新人は、後部座席の左側に座りましょう。
車両右側というのは、機関員から目視確認が可能です。
運転席が右側だから当然です。
しかし、消防車のような特殊な車両の場合、左後方はサイドミラーでしか確認できません。
必然的に、左折時の巻き込み事故の可能性が高まります。
そこで、左後方に座っている隊員が、左折時には窓を開けて目視確認を行っています。
この仕事があるため、一番下っ端の消防士が左後ろに座ることになります。
✔ 赤い車以外
この場合は、一般社会の常識と同じく、偉い人が後部座席に座ります。
一番下っ端の消防士は、助手席に座って、運転手の補助に努めてください。
しかし、ここで注意点。
消防署には、商用車をベースにした車両が”連絡者車”などと呼ばれて使われていることがあります。
こういった車両は、後部座席は人の乗りやすさより、荷物の積載を重要視して作られているため、狭く座り心地が悪いものです。
また、後部座席に大人が3人も座ると非常に窮屈です。
このような場合、助手席のほうが快適だということもあります。
したがって、新人のうちに複数人で赤い車以外の車に乗るときは、
「どこに座ったらいいですか?」
と素直に聞くことをおススメします。
特に、赤い車以外は、それぞれの消防本部のオリジナルルールが存在することもあります。
聞きやすい先輩に尋ねましょう。
たばこのタイミングについて
タバコを吸うなとは言いません。
しかし、最初のうちは、自分の判断でタバコを吸い始めることはやめましょう。
タバコを吸わない人から見れば、ただのサボリにしか見えません。
ましてや、生意気だと思われるかもしれません。
先輩から一緒に吸おうと誘われた場合にだけ吸うようにしてください。
最初の数か月程度です、がまんがまん。
怒られたときの対応について
よくある失敗事例です。
先輩から起こられた後に、他の人と大笑いしている姿をその先輩に見られる。
叱った先輩はいい気持ちはしませんね。
むしろ、むかつくと思います。
生意気だと思われます。
理不尽な怒られ方をして、まったく気にしていなかったとしても、嘘でもいいからションボリした姿でその日の勤務を終えてください。
理不尽なことなんて世の中にいくらでもあります。
自分が損しないために乗り越えましょう。
仮眠をとるタイミングについて
消防士は24時間勤務ですが、給料の支給対象とならない休憩時間があります。
この休憩時間では、仮眠をとることが一般的です。
新人の間は、
などに疲れ、眠気にも襲われやすいと思います。
しかし、がんばって起きておきましょう。
平等に与えられた休憩時間です、後輩が先に仮眠に入っても気にしない先輩もいます。
しかし、気にする先輩は気にします。
厄介な先輩ほど気にするものです。
職場での働きやすさを維持するためにも、厄介な先輩に目をつけられないように、先輩より早く寝ないように注意してください。
後輩ができるまでの1年間、がまんです。
消防士の仕事で新人が気をつける気遣い7選のまとめ
新人消防士が、消防学校を卒業後に消防署勤務を始めて、働きやすい人間関係を作るためのアドバイスについて7つ紹介しました。
まとめると、次のとおり。
部活に例えると、バスケ部のようなフランクな上下関係ではなく、野球部のような厳しい上下関係の世界です。
元バスケ部の方は要注意です。
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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