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【解説】緊急消防援助隊について11項目+費用負担の仕組みまで!

警防業務

緊急消防援助隊についてこの記事を読んだらわかること

この記事では、緊急消防援助隊について、役割から実態についてまで詳しく解説しています。

大きな災害があった場合、テレビなどでもよく耳にするようになりました。

よく耳にはするものの、どのような組織なのかはよくわかりません。

この記事を読むことで、役割から実態までが明確に理解できると思います。

日本の消防は、それぞれの市町村にある消防本部によって管轄地域が決まっています。

例えば、〇〇市において火災が発生した場合、〇〇市消防本部が対応にあたります。

当たり前ですよね?

では、〇〇市で大地震が発生したとします。

複数の火災が発生し、複数の家屋倒壊が発生し、複数の行方不明者が発生したとします。

〇〇市消防本部の消防車、救急車がどんどん出動していきます。

災害件数が多過ぎて、出動する車両がなくなりました。

〇〇市消防本部のキャパオーバーになりました。

しかし、119番通報は鳴り止みません。

この段階で、近隣応援や県内応援を、隣接の消防本部や都道府県に要請します。

本来ならばここで近隣や県内の消防本部から応援が来るはずですが、現実的には来ることができない場合が多くなります。

なぜかというと、上記のような大災害が発生した状況というのは、1つの消防本部の管轄内に被害発生エリアが収まっていることは珍しく、複数の消防本部の管轄をまたいで被害が発生していることがほとんどです。

つまり、自分の消防本部内でも災害が複数発生していて、他の本部からの応援が欲しい状況下なのに、他の本部への応援に行く余裕がない、ということになります。

近隣応援や県内応援の仕組みって意味ないね?と勘違いが起こりそうなので、小話を挟みます。

緊急消防援助隊が出動するような規模の災害の場合は、前述のとおり、あまり意味を成しません。

では、どのような時に活躍するのでしょうか。

それは、災害事案は1つだけど、消防本部の消防力のキャパオーバーが発生するような災害事案の時です。

わかりやすい具体例でいうと、大規模な山火事がイメージしやすいかと思います。

山火事が発生した場合、その事案を抱える消防本部は1つ、または、たまたまその山火事が管轄の境界で発生した場合は2つの消防本部が災害対応にあたります。

しかし、山火事が広範囲に広がってしまった場合は管轄の消防本部だけだとマンパワーが足りなくなります。

そのような場合は、近隣や県内の消防本部は通常状態なので他本部への応援出動が可能です。

また、高速道路上での災害事案でも隣接消防からの応援が役立ちます。

というのも、高速道路上での災害の場合、管轄としてはA消防本部の管轄になるものの、インターチェンジの場所を考えると、隣接のB消防本部から出動した方が、圧倒的に現場到着が早い時があります。

いくら消防車と言え、Uターンする場所がない高速道路では、A消防本部から出動した消防車は、反対車線の災害を横目で見ながら通り過ぎ、次の管轄外のインターチェンジでUターンして現場へ向かうことになります。

このような場合も近隣応援の仕組みが活かされる場面です。

本題に戻します。

あまりにも災害の規模や範囲が広く、隣接や県内からの応援が難しいとき、緊急消防援助隊の出番となります。

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緊急消防援助隊:どうやって隊が編成されるの?

全国の消防本部ごとに、事前登録をしています。

令和のはじめでは、全国723本部から、6,258隊が事前登録をしています。

具体的に言うと、ある消防本部の場合、

  • 消火小隊2隊
  • 救急小隊1隊
  • 特殊装備小隊1隊
  • 特殊災害小隊1隊

といった具合です。

事前登録情報をもとに、必要な部隊を都道府県ごとに編成し、都道府県大隊として出動します。

緊急消防援助隊:誰が行くの?

全国の消防本部の中で、事前登録を行った部隊の隊員が出動します。

緊急消防援助隊:普段は何をやっているの?

緊急消防援助隊の隊員といっても、あくまでも消防士です。

普段は、一般的な消防士として、管轄地域の安全安心を守るために消防業務に従事しています。

緊急消防援助隊:消防団の人も出動するの?

消防団員は、緊急消防援助隊として出動することはありません。

常備消防の消防吏員が出動します。

常備消防の説明についてはこちら

緊急消防援助隊:何をするの?

人命救助が最優先です。

被災地からの要望や、総務省消防庁からの指示内容によって活動内容が変わります。

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緊急消防援助隊:ご飯はどうしているの?

自給自足が原則となっています。

被災地に応援に行ったものの、「ご飯を用意してください!」と被災地の消防本部に負担を強いることは、応援に行ったはずなのに、かえって負担を与えることになりかねません。

被災地の状況がわからない場合は、出動する際に、自分の管轄地内において必要な食料を買い込んでから出動します。

現地での食料調達が可能な場合は、現地で食料を購入することもありますが、被災者の方々の食糧不足が発生しているような状況下では、現地調達はせず、派遣元で購入したものを持ち込むようになります。

必然的に賞味・消費期限の長いメニューが多くなります。

後方支援部隊がお湯などは沸かせますので、パックのごはんやレトルトカレー、缶詰などは温かくして食べることができます。

栄養も考え、カロリーメイトやゼリー状栄養飲料水なども重宝します。

カップラーメンなどのインスタント食品も食べることが可能ですが、残り汁の処分方法に困りますので、野営地でのゴミ問題の考慮が必要になってきます。

もちろん、自給自足で活動するということは、活動によって発生したゴミもすべて持ち帰ります。

緊急消防援助隊:寝るところはどうするの?

応援を受け入れた本部から指定される場所に、エアーテントを張って野営生活を行います。

大規模な公園であったり、駐車場であったり事案により様々です。

過去には、県消防学校が被災場所から近く、消防学校の空き教室に簡易ベッドをひくなどして野営をした経験もあるようです。

緊急消防援助隊:トイレはどうしているの?

野営地の近くにある公共機関のトイレを利用させてもらうことが一般的です。

前例でいうと 大規模な公園を野営地とし、その公園に付属のトイレの下水機能は被災していなかったため、そのトイレを利用したり、野営場所の近くに消防署があり、その消防署の下水機能が被災していなかったため、その消防署のトイレを利用したりしています。

野営場所というのは、被災地の中心地というよりは、被災場所から一定距離離れた場所に設けることが一般的なので、野営地の周辺は被災しておらず、公共機関のトイレが利用できることが多いようです。

緊急消防援助隊:風呂はどうするの?

お風呂は、もちろん入れません。

おおむね4日間ほどで第二次派遣隊、第三次派遣隊と交代していきますので、移動日も踏まえ4,5日は風呂に入れないことを覚悟して出動します。

暑い時期は、デオドラントシートが重宝します。

生活用水も持参していますので、濡れタオルで体を拭くことや、頭に水をかぶるぐらいの行為は可能です。

消防士に学びたい

緊急消防援助隊:女性消防士も行くの?

上記のような環境のため、女性消防士が緊急消防援助隊として出動した事例はありません。

\女性消防士の活躍について詳しく知りたい方はこちらの記事/

緊急消防援助隊:今までの実績は?

阪神・淡路大震災を契機に、平成7年に発足し、平成16年に法制化されています。

「法制化される」ということは、消防組織法に規定されるという意味です。

令和のはじめまでに、40回の出動実績があります。

緊急消防援助隊:出動にかかった経費は、どこが負担するの?

緊急消防援助隊の出動には、2種類の出動理由があります。

  • 消防庁長官の出動の指示
  • 消防庁長官の出動の求め

出動の指示の場合

国(消防庁)が費用を負担します。

国(消防庁)が、応援に行く側の消防本部に対して「行け」という指示を出しているだけに、指示を出した国(消防庁)が費用を負担するわけです。

考え方が非常にスムーズです。

応援に行った本部は、緊急消防援助隊が最終的に全隊引き上げた後に、応援に行くことで使ったお金を国(消防庁)に申請します。

その申請を国(消防庁)が審査し、緊急消防援助隊の出動に使ったお金であると認められると、応援に行った消防本部にお金が支払われる仕組みとなっています。

消防庁長官の「出動の指示」により、緊急消防援助隊を受援した本部にとっては、応援は来てくれる、応援に来てくれた消防本部の経費も負担しなくてよいという、至れり尽くせりの仕組みとなっています。

出動の求めの場合

この場合は、緊急消防援助隊を受ける側(受援側)の市町村の規模により、お金の動く制度が変わってきます。

受援側(応援を受ける市町村)が政令指定都市

この場合は、応援に来てくれた消防本部に対して、受援側の消防本部が経費を負担することになります。

一般論
一般論

え??被災した上に、応援にかかった費用まで負担するの?

消防庁長官の出動の指示か求めか変わるだけで、そんなに対応が違うの?

と、思うかもしれませんが、安心してください。

緊急消防援助隊の応援を受援した市町村は、後で、国(消防庁)から地方財政措置という形で、応援消防本部に支払った経費を受け取ることができます。

受援側(応援を受ける市町村)が政令都市以外

この場合は、応援に行った消防本部に対して、かかった経費は「全国市町村振興協会」が負担してくれます。

全国市町村振興協会というのは、オータムジャンボ、サマージャンボ等の宝くじからの収益金をもとに、市町村の災害対策事業やまちづくり事業等に対して、助成や資金貸付を行っている組織です。

したがって、受援側の市町村(政令都市以外)が、緊急消防援助隊にかかった経費を支払う必要はありません。

\消防士の給料について詳しく知りたい方はこちらの記事/

【解説】緊急消防援助隊について11項目+費用負担の仕組みまで!のまとめ

緊急消防援助隊について、いろいろな角度から気になる点をピックアップして説明しました。

お金の負担については、応援を受けた本部も、応援に行った本部も負担を被ることはないことがよくわかりましたね。

このような情報を分かった上で、ニュースなどで緊急消防援助隊のことを見聞きすると、また違った見方ができると思います。

\消防士採用試験について詳しく知りたい方はこちらの記事/

  

  

今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。


この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。


また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。

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