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【令和4年最新】総務省消防庁が消防団員の確保に本格的に動き出した話

消防団

こんにちは、TEAM WEBRIDです。
今回のテーマは、消防団員です。
消防団員の数は、年々減少傾向にあります。

そこで、総務省消防庁が、本格的に消防団員の確保に動き出しました。
この記事では、消防団員を確保するために、総務省消防庁がどのような取り組みを行うのか3つの項目に分けて説明します。

今回の記事も、現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに説明します。
この記事を読むことで、消防団員の最新情報が理解できます。

消防士と消防団員の違いについては、消防士ドットコム内のこちらの記事でも紹介しています。

それでは、レポートします。

消防団員の現状

まずは、消防団員の現状について理解しましょう。

現在の消防団員の総数は、804,877人です。(R3.4.1時点)
前年度統計からは、13,601人の減少がみられます。

詳細は、入団者数34,553人に対して、退団者数48,154人。
それなりの入団者がいるものの、退団者がそれを上回る限り、全国の消防団員は減る一方です。

ちなみに、昭和30年頃は、約200万人の消防団員がいました。
しかし、平成2年には100万人を割り込んでしまいます。
約30年で半分になってしまったということですね。

そこからは減少傾向は穏やかになり、平成2年に100万人を割り込んでから現在までの約30年で20万人程度減少しています。

消防団員の確保に向けた対策①【消防団員の処遇改善】

消防団員を増やすための対策の1つ目は、消防団員の処遇改善です。
ボランティアと言えども、多少の報酬が発生するのが消防団です。
まずは、消防団員としての処遇を改善します。

年額報酬

現在の消防団員の年額報酬は、平均で30,925円です。
この額を多いと思うか少ないと思うかは、個人の価値観によるでしょうが、この額を増やそうと全国の消防団本部に働きかけます。

目標額は36,500円。

「あんまり平均と変わらない。」と思うかもしれません。
しかし、平均で30,925円ということは、消防団員報酬が少ない消防団本部では、1万円足らずの報酬しかないということ。
そのような消防団員からすれば3倍です、モチベーションが上がるのは間違いない。

出動手当

現在の出動手当は、消防団本部によって支給方法が様々です。

  • 一回の出動当たり定額(平均額2,730円)
  • 昼夜で額を分けて支給
  • 年額で支給
  • 分団単位へ支給
  • 支給なし

このように全国でバラバラです。
そこで総務省消防庁が目標とするのはこちら。

災害に関する出動については、1日あたり8,000円を標準額とするもの。

さらに、出動に伴い、消防団員個人が負担したガソリン代等は、別途支給するというものです。
※現在、個人のガソリン代等を負担している実例はほとんどありません。

支給方法

現在、消防団員報酬を消防団員個人の口座へ振り込んでいる消防団本部は約36%です。
その他の支給方法はこれ。

  • 分団経由で個人へ支給(21.9%)
  • 分団へ支給(個人の受け取りなし)(22.7%)
  • 上記の組み合わせ(19.4%)

思いのほか、消防団員個人へ報酬が届いていないのが現実です。
これでは、年額報酬や出動手当をアップしたところで消防団員の増加にはつながりそうにありません。

そこで、総務省消防庁が目標とするのは、消防団員個人へ、年額報酬や出動手当を直接支給するということ。
これなら、消防団員のみならず、その家族の理解もより得られやすくなります。

消防団員の確保に向けた対策②【時代に即した新たな消防団づくり】

消防団員を増やすための対策の2つ目は、時代に即した新たな消防団づくりです。
具体的には、次の3つです。

  • 防災教育の充実
  • モデル事業
  • 装備の充実

それぞれ説明します。

防災教育の充実

小学校、中学校、高等学校等において、防災教育を取り入れます。
大きな目的は次の2つ。

  • 幼少期から防災意識を高めてもらう
  • 将来の消防団員の担い手育成を行う

防災教育を授業のひとつとにするために、総務省消防庁は文科省と協力し、地方公共団体の教育委員会へ働きかけを行いました。

今後、小学校、中学校、高等学校等の授業に、防災教育が取り組まれることになります。

モデル事業

若い人が消防団に加入するような取り組みに対し、総務省消防庁が費用を負担します。
優れた取り組みは、全国への横展開を実施し、全国の消防団員の加入促進を図ろうとするものです。

具体的には次のようなモデル事業をイメージしています。

  • 防災教育の実施
  • 企業や大学などと連携した消防団員の加入促進取り組み
  • 子供連れでも活動できる消防団の環境づくり
  • 災害現場でも役立つ訓練の普及
  • 消防団員の確保を含めた地域防災力の強化につながる取り組み

このような事業に、総務省消防庁が費用を助成し、取り組みの援助を行おうとするものです。

装備の充実

火災以外の災害にも対応できる消防団づくりを推進します。
そのために総務省消防庁が行う取り組みはこれ。

  • 救助用資機材を購入するときに補助金を出す
  • 救助用資機材を総務省消防庁の費用で購入し無償で貸与する
  • 消防団車両を総務省消防庁の費用で購入し無償で貸与する

救助用資機材や消防団車両とは具体的にはこのようなものです。

  • 排水ポンプ
  • ボート
  • 救命胴衣
  • チェーンソー
  • 救助用資機材等搭載多機能消防車

金銭的な面を援助することで、消防団の装備を充実させようとするものです。

消防団員の確保に向けた対策③【若年層や勤め人など幅広い市民の入団促進】

消防団員を増やすための対策の3つ目は、若年層や勤め人など幅広い市民の入団促進を行おうとするものです。
そのために実施する取り組みは次の4つです。

消防団加入促進キャンペーン

若者が興味を持ちそうな芸能人を起用して、加入促進キャンペーンを行うものです。
このキャンペーンを、

  • YouTube
  • 電車内ビジョン

など、若者が見る機会の多い広告媒体で広報し、消防団に対する関心を高めようとするものです。

過去には、吉本興業による広告や新日本プロレスによる広告を実施しています。

オンラインを活用した加入促進

新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの消防団本部において消防団員の加入促進活動が停滞していました。
そこで、コロナ禍においても活用可能なオンラインによる加入方法があることを周知しています。

具体的には、東京消防庁の場合、スマートフォンを使うだけで時間を気にせずいつでも簡単に入団の手続きができる方法を構築しています。

機能別消防団・分団の充実

さまざまなスタイルで消防団活動に参加できるように、

  • 大規模災害のみの活動
  • 火災予防活動のみ
  • 広報活動のみ

といった機能別の消防団や消防分団の創設を全国の消防団本部に呼び掛けています。

参加しやすさがメリットとなっており、平成24年に創設された制度ですが、平成24年の9,652人から始まり、令和3年には29,6371人まで増えています。

企業・大学等への働きかけ

被雇用者や学生等の加入促進に向け、

  • 総務省消防庁
  • 都道府県
  • 市町村
  • 消防本部

それぞれが企業大学を訪問し、働きかけを行っています。
具体的には、企業に対しては、消防団協力事業所への加入や、消防団活動への理解を求めています。

消防団協力事業所について詳しくは、消防士ドットコム内のこちらの記事をご覧ください。

大学に対しては、学生消防団認証制度の普及や、消防団活動の理解を求めています。

学生消防団認証制度とは?

「学生消防団活動認証制度」は、消防団員として活動した学生に対し、「学生消防団活動認証証明書」を交付する制度です。この証明書は、就職活動の自己PRなどで活用できます。なお、この0制度は大学や経済団体へ周知されています。

【企業側のメリット】

社会貢献実績のある人材や、団体行動、規律等を身につけた人材を確保しやすくなります。
消防団経験者を採用することで災害対応能力の向上が期待できます。

【学生側のメリット】

消防団員として地域に貢献してきた実績を企業にアピールすることができます。
消防団活動における功績が評価されることで、学生の意欲の向上が期待できます。

ちなみに、消防士への採用試験において、筆記試験では加点はありません。
ただ、筆記試験を突破した後の面接試験では、話しのネタにはなるはずです。

令和4年最新 消防庁が消防団員の確保に本格的に動き出した話のまとめ

消防庁が消防団員の確保に本格的に動き出した内容についてレポートしました。
まとめると、次のとおり。

  • 処遇の改善として、年額報酬や出動手当、支給方法などを改善
  • 時代に即した新たな消防団づくりとして、防災教育の充実やモデル事業、装備の充実を推進
  • 若年層や勤め人など幅広い市民の入団促進として、消防団加入促進キャンペーンやオンラインを活用した加入促進、機能別消防団・分団の充実、企業・大学等への働きかけを実施

大きな災害になると、消防士だけではマンパワーが絶対的に足りなくなります。
全国単位でみても、消防団員は消防士の4.9倍存在します。

消防士だけでなく消防団員も、災害大国である日本には必要不可欠な存在です。

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