この記事では、同じ消防署の中でも、
という呼ばれ方の違う建物が存在しますが、その違いについて解説しています。同じように消防車が並んでいるものの、違いが分かりにくいですよね。どんな人がいて、どんな機能の違いがあるのでしょうか。今回の記事も、現役職員の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートしたいと思います。
この記事を読むことで、本署、分署、出張所の違いが明確にわかることでしょう。
消防署の本署・分署・出張所の違い:消防署の本署って何?一番偉い人は誰?
消防署の本署というのは、みなさんが想像する一般的な消防署のことを指します。
など、救急車と消防車が一通り揃っており、複数台の車両があるため、建物の規模も車両数に合わせた、それなりの大きさとなっています。組織の体制の違いは出ますが、3、4台の車両が同時出動可能な体制を取るために、10数人の交代勤務の消防吏員が勤務しています。
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また、本署の場合は、日勤勤務者も存在します。予防係や庶務係のような担当の名称で、サラリーマンと同様の時間帯で勤務をしています。一番偉い人は、署長になります。副署長という、署長を補佐する立場の人もおり、毎日勤務をしています。
消防署の本署・分署・出張所の違い:消防署の分署って何?一番偉い人は誰?
消防署よりも、少し規模の小さい建物の消防署のことを指します。救急車1台と、ポンプ車またはタンク車の2台があるような規模で、2台同時出動が可能な人数、7人または8人ぐらいの消防士が勤務しています。本部によっては、救急車とはしご車の2台体制の本部もあるようです。
現場に行くため、みんな交代勤務者です。本部の違いによっては、1人だけ、分署長という立場で、毎日勤務をしている本部もあるようです。分署長を設けている体制では、分署長が1番偉い存在になります。分署長を設けていない消防本部では、消防司令や、消防司令長などの階級にあたる人が一番偉い立場として、1係2係の長として存在します。
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消防署の本署・分署・出張所の違い:消防署の出張所って何?一番偉い人は誰?
出張所というのは、分署よりもさらに規模の小さな消防署のことを指します。急車のみを配備してあったり、救急車とポンプ車1台の2台配備であることが多く、同時出動は1台のみ、つまり、3人または4人程度での勤務が一般的です。一番偉い人は所長、つまり出張所長になります。
しかし、出張所に日勤者をおくことはなく、1係2係の1番偉い人が責任者という扱いになります。消防司令補や、消防司令の階級を、出張所での一番偉い階級においている本部がほとんどです。
消防署、分署、出張所の役割の違いってなに?
消防署というのは、街の中心部に近く、人口密集地に建てられていることがほとんどです。それは、人口が多いほど、救急要請や火災の発生率が高まることに起因しています。さらには、複数の種類の消防車両を配備することによって、多様な災害に対応することができます。
しかし、住民全員が住宅密集地に暮らしているわけではありません。1つの街といっても、住宅密集地が1か所だけということは少なく、複数の住宅密集地を抱えている街もあります。また、自分の家は、住宅密集地からとても離れているので、救急車が到着するまでかなりの時間を要する場合もあります。
しかし、1つの街に複数の消防署を作ることや、人口の少ないエリアにも消防署を作ることは、効果的ではありません。そこで活躍するのが、分署や出張所ということになります。
街の中心部ほどではないが、ある程度の人口がおり、火災件数もそこそこあるような場所へは分署を建て、人口は少ないものの、本署からの出動では現場到着までに相当な時間を要する場所には出張所を設けます。要は、管轄するエリアでの災害に、距離的にも、対応能力的にも効果的な配置を考えて設けているのが分署や出張所ということになります。
消防署の本署、分署、出張所の仕事内容に違いってあるの?
【消防署の本署・分署・出張所の違い】本署の仕事
消防署が行っている仕事のほとんどを行います。災害対応だけに限らず、水利に関すること、車両整備に関すること、火災予防に関すること、経理に関すること、消防団に関することなど、連ねるとキリがないぐらいの多種多様な業務を行っています。
【消防署の本署・分署・出張所の違い】分署の仕事
分署になると、消防署で行う業務のほとんどがなくなり、災害対応業務を中心として、訓練指導であったり、小さい規模の建物の査察(立ち入り検査)、救命講習など、仕事の種類が狭まります。事務仕事は、本署に比べて格段に減るものの、分署の管内で起こった火災等の報告書の作成は行っているため、事務仕事の大半を占めているようです。その分、訓練などはやりやすい環境といえるでしょう。
【消防署の本署・分署・出張所の違い】出張所の仕事
ほぼ、分署の業務内容と同様になります。事務仕事のほとんどは、火災報告書の作成にとられます。出張所の敷地というのは必要最低限しかないことが多いため、訓練を行う時間はあっても、スペース的に思った通りの訓練は行いにくいでしょう。消防士は、地水利の知識が重要とされています。
地水利というのは、地理、水利の略で、道路の状況や、消火栓の状況などに関する知識のことをいいます。空いた時間は、この地水利能力を高めるため、地図を積んで、管内の道路状況の調査などに出かけ、消火栓がちゃんと使えるかなどを確認する地水利調査などの業務も行っています。
消防署の本署、分署、出張所それぞれにはどんな人がいるの?
今まで説明してきたように、規模の大きい消防署から、規模の小さい出張所に移るにつれて、仕事の量や種類が格段に減っていきます。あなたが会社の社長だとして、考えてみてください。優秀な人材、優秀でない人材の配置を考える際、どちらの人材を、仕事の量や種類が多い部署に配属するでしょうか。
消防署でも、同様のことが言えます。優秀な人材ほど、消防署に残り、優秀でない人材ほど、分署や出張所に配属されます。ただ、一点だけ注意を要します。それは、出張所にいる消防職員全員が優秀でないかというと、そうではありません。
優秀でない職員ばかりを出張所に集めてしまうと、業務に滞りが出てしまいます。そこで、消防署に比べて業務が少ない出張所といえども、核となる優秀な人材を最低限は配置することになります。したがって、出張所にいる職員全員に対して、この人は能力が低いから出張所にいるのだなと考えてしまうと、間違うことがありますので気を付けてください。
また、免許も大きく影響します。本署にははしご車や水槽車など、大型免許を必要とする車両が多くあります。しかし、出張所には救急車かポンプ車などの大型車ではない車両があるのが一般的。つまり、大型免許を持っている職員は比較的本署に配属されがちで、大型免許得を持っていない職員は比較的出張所に配属されがちです。
\消防士の階級や昇任試験についての詳細はこちらの記事/
消防署の本署・分署・出張所の違い:女性はどこにいるの?
消防士には、女性消防士がいます。女性消防士は、消防署または分署までの勤務となり、出張所で勤務する女性消防士はほとんどいないようです。というのも、出張所というのは、限られた敷地内で、限られた施設で勤務しています。女性消防士が勤務するということは、トイレ、更衣室、仮眠室、風呂などの、女性専用施設が必要になってきます。
特段の理由があって、この出張所で女性消防士に勤務をさせたいという必要性がない限りは、出張所の施設にそこまでの施設投資はできません。このような理由から、女性専用施設を確保しやすい、消防署、分署などでは、女性消防士も勤務することができます。
\女性消防士に関する情報はこちらの記事で詳しくレポート/
疑問解決|消防署の本署・分署・出張所の違いはこれのまとめ
この記事では、本署、分署、出張所の違いについて、組織の規模や業務内容などについて説明してみました。読む前よりは、それぞれの違いについてイメージができたでしょうか。間違っても、出張所に勤務をしている消防士を見て、この人は優秀じゃないから出張所にいるんだなという勘違いはしないように気をつけてください。
\消防士を目指している人はこちらの記事から採用試験の情報がわかります/
今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。
この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。
また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。
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