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【消防士におすすめ】副業が禁止なはずの消防士(公務員)が株やFXをやってもいいのはなぜ?

副業

こんにちは、TEAM WEBRIDです。
今回のテーマは消防士(公務員)の副業について。
世間では令和のはじめ頃から一般企業の副業が解禁されはじめました。
新型コロナウィルスの影響による在宅勤務(テレワーク)が増え、自由な時間が増えたことも追い風となり、株式口座やFX口座、暗号資産の口座数も増加しました。

消防士(公務員)が副業禁止なことは有名な話ですが、株やFXは許されています。
さて、どうしてでしょうか。

今回の記事も、現役消防士や消防職員OBへの取材をもとに、レポートします。
この記事を読むことで、消防士(公務員)と副業の関係性が理解できます。
それではレポートします。

原則として消防士(公務員)の副業は禁止です

まずは、大前提の確認です。
消防士、大きく分類すると公務員ですが、公務員の副業は禁止です。
なぜか。

答えは明白。
法律に書いてあるから。
その法律はこちら。

地方公務員法 第三十八条 (営利企業への従事等の制限)

1 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。

2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

地方公務員法より引用

ではなぜ、法律で消防士の副業を禁止しているのでしょうか。
それは、消防士(公務員)が守るべき3つのルールを守れなくなる可能性が出てくるからです。
3つのルールはこれ。

  • ①信用失墜行為の禁止(地方公務員法 第33条)
  • ②秘密を守る義務(地方公務員法 第34条)
  • ③職務に専念する義務(地方公務員法 第35条)

それぞれの根拠はこのような法文です。

(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような
行為をしてはならない。

地方公務員法より引用

(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。 、 その職を退いた後も
また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合に
おいては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に
係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

地方公務員法より引用

(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び
職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべ
き責を有する職務にのみ従事しなければならない。

地方公務員法より引用

簡単に解釈すると、こんなかんじ。

  • ①は公務員全体の信頼やイメージを損ねてはダメということ。
  • ②は業務で知り得た情報を外部に漏らしてはダメだということ。
  • ③は精神的・肉体的疲労により本業に支障を出してはダメだということ。

当然と言えば当然の内容ですね。

確かに、消防士がアルバイトをしていたとしたら、そのアルバイトのイメージと消防士のイメージが重なってしまいます。
もしも、世間一般に悪いイメージ、例えば風俗であったり水商売であったりのアルバイトだとしたら、消防士のイメージも悪くなってしまいます。
また、本業以外の労働を長く行えば、本業で知り得た情報を話してしまう可能性も高まるでしょう。
さらには、消防士が副業で疲れてクタクタになってしまって、災害現場で元気な活動ができないなんてことになると、市民としては嫌な気持ちになってしまいますね。

このような理由により、消防士(公務員)の副業は禁止されています。

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消防士(公務員)の副業は原則禁止だが例外がある

ここまでの説明で、消防士(公務員)の副業が禁止されている仕組みは理解できました。
では次の問題。
副業が禁止されているはずなのに、どうして株やFXは可能なのか。

答えを簡単に言うと、これ。

株やFXは、一般市民にとっては副業だが、消防士(公務員)にとっては副業ではない。

わかりにくいですね。
別の言い方をします。

一般市民と公務員では、副業の定義が異なる。

少しわかりやすくなったでしょうか。
さらに詳しく言います。

一般市民にとっての副業は、本業以外すべてを副業と呼んでいます。
サラリーマンであれば、会社の仕事として行う仕事以外はすべて副業ですね。
看護師であれば、看護師として勤める病院での仕事以外はすべて副業です。

しかし、消防士(公務員)については、副業の定義が明確に法律に書かれています。
副業の定義を理解するために、先ほどの副業禁止の理由をおさらいします。

地方公務員法 (営利企業への従事等の制限)

第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

地方公務員法より引用

この法文を簡単に読み替えると次のとおり。

  • ①営利企業の地位を兼ねてはダメ
  • ②自ら営利企業を営んではダメ
  • ③いかなる事業に従事して報酬を得てはダメ
  • ④いかなる事務に従事して報酬を得てはダメ

①と②はわかりやすいですね、企業の役員になってはダメだし、自分で会社の社長になってもダメというものです。
起業するなんて、もってのほか。
これは副業とはイメージが遠すぎます。

さて、問題は③と④です。
③と④を理解するためには「報酬」の定義を理解しましょう。

「報酬」については、健康保険法の中でその定義が記載されています。

健康保険法は、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、労働者災害補償保険法に定める業務災害(いわゆる労災)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関しての保険給付について定められています。

つまり、労働や報酬などに関しては、公務員のルールを定めている地方公務員法よりも、さらに専門性の高い法律になります。
その法律の中で定義された「報酬」とはこちら。

健康保険法 大正11年4月22日 法律第70号

(定義) 第三条第5項

この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。

健康保険法より引用

ポイントは「労働の対償として受ける」ということ。
わかりやすいものでいえば、時給900円のラーメン屋のアルバイト。
1時間働けば900円。
2時間働けば1,800円が必ずもらえます。

時間労働の対償としてお金を受け取っています。
これは報酬の定義に当てはまります。
つまり、消防士(公務員)は、ラーメン屋で時給900円のアルバイトをしてはダメということです。

では、この考えを株やFXにあてて考えてみましょう。

どんな労働をしているでしょうか。
パソコンやスマホをポチポチするだけですね。
労働ではありません。
時間的拘束や、労力の成果物や対価が何もありません。

「四季報を読んだり、ネットで企業の情報を検索したりするでしょ?それ労働じゃないの?」

確かに、考えようによっては労働かもしれません。
「労働」の定義は法律に書いてありません。
何か作業をしたことが労働と呼べるのであれば、株価がどう動くかを調べることは労働と言えるかもしれません。

では仮に、株価の値動きを調べた(労働した)とします。
株価の値動きを調べただけで、報酬が発生するでしょうか。
株価の値動きを調べた対償として、お金を受け取れるでしょうか。
値動きを調べるといった労働だけでは、報酬は発生しません。
株を買ったり売ったりして初めて対償をもらえる可能性が生まれます。

これらの観点から、副業として有名な株やFXですが、副業禁止のルール①~④のどの項目にも該当しないため、公務員にも可能な副業となっています。

消防士(公務員)であっても、銀行の利子を受け取れます。
利子も副業でしょうか。
①~④に該当していないため、副業ではありません。

そのため、副業禁止の消防士(公務員)であっても利子を受け取ることができます。

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【消防士におすすめ】副業が禁止なはずの消防士(公務員)が株やFXをやってもいいのはなぜ?のまとめ

消防士の副業についてレポートしました。
まとめると次のとおり。

  • 消防士が副業禁止の根拠は地方公務員法
  • 副業とは営利企業の地位を兼ねてはダメ
  • 副業とは自ら営利企業を営んではダメ
  • 副業とはいかなる事業に従事して報酬を得てはダメ
  • 副業とはいかなる事務に従事して報酬を得てはダメ
  • 報酬の定義は健康保険法
  • 報酬とは労働の対償として受けるすべてのもの
  • 株やFXによる利益は報酬の定義に当てはまらないから副業ではない

消防士(公務員)は副業が禁止されているという世間一般的な考えは、正確には間違いです。
正確に言うと、

消防士(公務員)は営利企業等への従事が禁止されている。

というもの。
株やFXって、世間の考えではどう考えても副業ですが、営利企業等への従事ではないですよね。
また、別の表現をするとしたら、株やFXは”副業”ではなく”投資”だと言い換えることもわかりやすいかも。

ややこしい話でした。

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コメント

  1. 夜目 より:

    この「定義」の話をするならば、趣味のゲーム配信していつもの仲間と遊んでいるのは労働ではないと全然言い張れると思っているのですが、単純に収益になっている額が大きかったからなのでは、と思うのですがどうなんでしょう?

    • TEAM WEBRID TEAM WEBRID より:

      夜目さん、コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、ゲーム配信による収益は、法律に定める定義の労働の対価というのは難しいと思います。ただ、消防士ドットコム内のこちらの記事「【公務員の副業】和歌山の消防士ゲームYouTuberの懲戒処分は正しかったのか?」におきましても同様の考察を行っておりますが、TEAM WEBRIDとしての見解は、法律が現代の多様な報酬制度に見合っていないものと判断します。解決方法は次の2点。①法律を現代に合わす、または現代の多様な報酬制度について指針やガイドラインを示す②ゲーム配信による収益について消防本部から懲戒処分を受けた際、取消訴訟を起こし裁判にて白黒つけて判例を作る、この2点のどちらかが発生しない限り、誰も答えは決めることができない、言わば現時点ではファジーな状況であると思われます。

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