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【精神論】消防士という仕事を「人を助ける」というやりがい以外で考察してみた

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消防士という仕事についてこの記事を読んだらわかること

こんにちは、TEAM WEBRIDです。

今回の記事では、消防士に関する情報を現役消防士の方や消防職員OBの方々から調査してきた中で見えてきたことを、精神論で分析してみたことをレポートします。

いつもの記事のような、消防士に関する制度や、組織の体制などではなく、気持ちの部分を記事にしてみました。

火災出動、救急出動というものは、世の中に数え切れないほどある仕事の中でも、ある意味、非常に高い達成感を味わえるものとなっています。

この達成感というものは、人命救助という大義名分を除いたうえでのことです。

その理由は、複数存在します、それでは、レポートします。

消防士という仕事を精神論で分析:火災出動

まずは火災出動から。

現場到着

火災が発生し、119番通報が入電します。

火災指令が流れ、現場へ向けて出動します。

現場につくと、消防車を待ち望んでいた市民がいます。

まず、この部分が、一般的な職種と大きく異なります。

一般的な職種が、市民、つまりはお客さんを訪ねるのは、営業が主たるものです。

お客さんは、決して待ち望んでいるわけではありません。

中には、忙しいのに邪魔しやがってと罵声を浴びることもあります。

このストレスがあるかないかの違いは、大きなものがあります。

現場活動

同じ現場は2度とない、と言われるほど、火災現場というのは、状況が異なります。

したがって、個人や隊の動きも現場ごとに大きく異なります。

燃えている対象物や規模によって、消防戦術や消火方法も変わってきます。

しかし、一点だけ、どんな火災現場でも変わらないことがあります。

それは何だかわかりますか?

それは、消えない火災はないということです。

すべての火災は、必ず消えます。

世界の一部では、天然の可燃性ガスが噴き出す地形において、意図的にガスの出口に火をつけて燃やしています。

天然の可燃性ガスが拡散することの方が、危険だからです。

炎が出ているものの、これは火災ではありません。

意図的に天然の可燃性ガスを焼却処分しているものです。

この例外を除き、すべての火災は必ず消えます。

話がそれたので、元に戻します。

すべての火災が消えるということは、火災現場に出動した消防士にとって、火災を消せなかったという失敗は存在しません。

現場から帰ると、火災を鎮火したという達成感が生まれます。

もちろん、

  • 隣の家への延焼を防いだ
  • 隊員が誰もけがをしなかった
  • 要救助者を救出できた

など部分的な評価は隊員それぞれが持つかもしれません。

しかし、結局のところ火災は消えており、火災を消したという事実が残ります。

これが、営業職などであった場合、訪問することでストレスを受け、さらに契約不成立で失敗という事実だけが残り、成果が何も残りません。

この、成果が残るか残らないかの達成感の違いは、精神的に非常に大きな違いがあります。

消防士という仕事を精神論で分析:救急出動

救急出動の場合を説明します。

現場到着

火災出動と同様に、招かざる客ではなく、来てほしいと望まれて出動するため、来るな、帰れ、と言われるようなストレスは発生しません。

現場活動

救急隊は、傷病者の病気や怪我を治すことが目的ではありません。

病気や怪我を治すのは、搬送先の病院にいる医者です。

救急隊の目的は、次のような対応をしながら病院へ患者を搬送することです。

  • 傷病者の苦痛を和らげる
  • 二次的被害が発生しないようにする
  • 病院についてからの治療がスムーズに行われるように状態を観察

言い換えれば、病院に搬送さえしてしまえば、その後の治療にたずさわることはありません。

つまり、病院に搬送を完了することで、1つの救急出動は達成です。

現場から戻れば、1つの救急事案を完了したという達成感を得られることになります。

細かいことを言うと、消防署に戻ってからは、救急出動の報告書を作成する必要があります。

ただ、これはどこの職種にもあるパソコンを使用した事務作業と考え、救急出動と分けて考えてしまえば、やはり、救急出動というものは、達成感を感じられる業務です。

火災と同じく、今までに傷病者を病院に搬送できず、消防署に帰って来れなかったという救急隊はいません。

つまり、達成感を感じることがない救急出動は存在しないということです。

消防士という仕事を精神論で分析:総務業務や予防業務は達成感を感じにくい業務である

消防本部の中での総務業務

消防本部の中での総務業務というのは、消防本部の規模によって、一部分は消防本部を運営している市町村が担っているものの、

  • 施設管理
  • 経理事務
  • 人事事務
  • 職員の被服管理

など、縁の下の力持ちの役割をこなす部署となっています。

このような仕事は、非常に達成感を感じにくい職種です。

施設管理の担当者が、新しい消防署を建てる業務に携わると、消防署完成という達成感を味わうためには1年以上かかることもあります。

24時間の仕事中に、10件ほど救急出動を行う救急隊に比べると、味わう達成感の回数が比べ物にならないことはよくわかります。

消防本部の中での予防業務

消防本部の中での予防業務というのは、消防士からは嫌がられる職種です。

というのも、勤務が交代勤務から毎日勤務となり、一般的なサラリーマンと同様な生活スタイルになります。

災害現場に出動することも稀です。

つまり、交代勤務の現場に行く消防士に比べ、休みが少ない手当が減る、といった大きなデメリットがあります。

さらには、精神論で考察すると、達成感を感じる機会は激減します。

予防業務の中で感じることができる達成感というのは、

  • 自分が審査した防火対象物が完成した
  • 違反是正に尽力した防火対象物の違反が改善された
  • 査察と呼ばれる立ち入り調査の際に、防火設備の消防法に適していない部分を発見し、改善を指示できた

などといった業務でしょうか。

しかし、これらの業務は、直接市民に感謝されるようなことではありません。

むしろ、防火対象物の所有者や占有者管理者からは、嫌われます。

消防士から建物の設備改善のために、お金のかかる設備投資を指示されることもあるため、嫌われる存在であり、時には罵声を浴びることさえあります。

まだかまだかと、待ち望まれている災害現場にヒーローのように現れる消防隊や救助隊、救急隊とはえらい違いです。

新人消防士は、全員が最初にこのヒーロー気分を味わった後、予防係業務等へ異動していくため、異動直後はこのギャップに相当メンタルをやられます。

長年予防業務に携わると、火災が発生した際に、

あの建物は、自分が査察に行ったことがある防火対象物だ!

ということもあります。

あの時の査察で、自分がもっと適切な防火指導ができていたら、この火災は起こらなかったのではないだろうか。

という後悔の念を抱くこともあります。

達成感というよりも、後悔を感じることの方が大きな職種です、予防業務への異動が嫌がられる理由の一つです。

消防士という仕事を精神論で分析:飽きっぽい人や、物事を退屈と考えやすい人にとっては、消防士という仕事は不向きかもしれない

同じことの繰り返し?

同じことの繰り返しに飽きやすい性格の人は、消防士には向いていないかもしれません。

“二度と同じ災害現場はない”という言葉は公安系の職種の中では有名です、飽きることはないのでは?

と思うかもしれませんが、ここでいう同じことの繰り返しとは、災害現場から少し広げたスケールでの話です。

例えば救急隊。

24時間の交代勤務全体でみると、出動、帰署、報告書作成、この作業の繰り返しです。

出動中の現場では、傷病者の状況に合わせた創意工夫ができ、感謝もされ、やりがいも感じることでしょう。

しかし、そこは人間、慣れが発生します。

感謝されることが当たり前になり、やりがいを感じにくくなります。

経験を積んでくると、現場活動にもゆとりが出てきます。

創意工夫をもって対応する現場活動も限られてきます。

それよりも、毎度毎度の報告書の作成によるストレスが拡大し始めます。

最初の頃は、達成感を感じられる救急現場にたくさん行きたい、現場経験を積んで良い救急隊員になりたいと思っていたはずです。

しかし、その気持ちよりも薄れ、報告書の作成が面倒だ、現場に行きたくないと思うようになります。

現場に行きたくないという気持ちがいったん芽生えてしまうと、出動指令が入るたびにストレスを感じるようになります。

運よく、昇任や異動などで救急隊を外れれば良いものの、そうでない場合は楽しくない日々がしばらく続きます。

慣れやすい人、飽きやすい人は、このような面があることも理解したうえで消防士になることが望ましいと思われます。

消防隊でも同じようなことが言えるようです。

消防士という仕事を精神論で分析:「待機勤務」がストレスと感じるタイプの消防士もいる

24時間、火災が起きているわけではありません。

消防士には「待機勤務」という表現があります。

読んで字のごとく、要は何もすることがない時間です。

まとまった時間があれば、もちろん訓練などを行います。

訓練がおろそかにならないために、定期的に訓練を業務計画として取り込んでいる消防本部もあります。

しかし、

  • 災害対応
  • 研修
  • 消防署見学の対応
  • 消火栓調査

など、訓練ばかりを行うわけではありません。

そうなってくると、空き時間がどうしても発生します。

午後から小学生の消防署見学の対応し、終わったのが16時。

17時には夕食を食べます。

1時間しかありません。

訓練を行うには短い時間です。

となると、空き時間となり、待機勤務という流れになります。

ただ、

  • 火災報告書の作成事務
  • 次の訓練計画
  • その勤務日の日誌作成
  • 申し送り簿の作成
  • 次のサイクルの勤務表の作成

など、事務作業はそれぞれが何らかを抱えています。

このような待機勤務時間を利用し、各自が事務作業をこなします。

ただ、当直メンバーの中での立ち位置、簡単に言うと偉い順によっては、手が空く職員も発生します。

することがなくてなわけです。

このような状況をストレスと感じる職員も少なからずいます。

中堅に多いイメージです。

若手は下働きをいろいろと命じられ、多くのことを率先して行う必要があるため忙しいことは言うまでもありません。

管理職は管理職で、責任者として多くのことを確認する作業があるため、それなりに忙しい。

というわけで、中堅の手が空くわけです。

そんなこと、自分で考えて、できる何かをすればよいじゃないかと思うかもしれません。

もちろん、手が空きだした最初のうちは、自分で考えて動きますが、そのうちやることがなくなります。

暇になります。

ここで、暇をストレスと感じ職員は辛くなるわけです。

このような場合、現場の業務から、予防業務や総務業務に異動があると、喜びを感じます。

普通の消防士は、休みも体感的に減り、手当が減ることで給料も減るため、予防業務や総務業務への異動を嫌がります

おもしろい現象であり、取材の中でも特に印象に残りました。

暇なことにストレスを感じる、ある意味やる気のある消防士たち、このような方々というのは、国立大学出の消防士など比較的高学歴な経歴の方々にみられた傾向です。

【精神論】消防士という仕事を「人を助ける」というやりがい以外で考察してみたのまとめ

今回は、具体的な業務内容とは少し離れ、精神論で消防士を考察してみました。

やはり、個人の性格によって、異なる業務間の異動を喜ぶ人と嫌がる人がいるのは興味深い取材結果でした。

これから消防士を一生涯の仕事として選択しようと考えている人は、この考察結果が参考になれば幸いです。

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