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【消防本部の訴訟リスク】消防の対策は?水損の訴訟事例などを紹介

総務業務
  1. 消防本部の訴訟リスクについてこの記事を読んだらわかるようになること
  2. 消防本部の訴訟リスク:どんなリスクがあるの?
  3. 消防本部の訴訟リスク:救急活動に伴う事故事例
    1. スクープストレッチャーからの転落事故
    2. 救急搬送の際に骨折させた事故
    3. 救急不搬送後の病状悪化訴訟
    4. ストレッチャーから傷病者を落下させ加重負傷させた事故
    5. 病院内研修中の医療器具破損事故
    6. ストレッチャーから傷病者の転落事故
    7. 病院のMRIを破損事故
    8. 通信指令員が番地入力誤りにより、到着遅れによる事故
  4. 消防本部の訴訟リスク:消防活動に伴う事故事例
    1. 延焼賠償訴訟
    2. 消火活動中の水害事故
    3. 火災現場誘導中の物損事故
    4. 消火活動中のホース破損事故
    5. 借用した消防団のホース破損事故
    6. 受水槽のバルブの誤操作に起因するポンプモーターの破損事故
    7. 再燃火災による賠償事故
    8. 連結送水管送水口の結合誤りによる事故
  5. 消防本部の訴訟リスク:その他の事故事例
    1. 屋外作業中の事故
    2. 現場出動途中の接触事故
    3. 訓練終了後の物損事故
    4. マンションの消防設備点検誤操作による住人の給水設備汚損事故
    5. 水難救助訓練中の物損事故
    6. 消火設備の操作誤りによる事故
  6. 消防本部の訴訟リスク:訴訟が起きたら大変、保険って入ってないの?
  7. 【消防本部の訴訟リスク】消防の対策は?水損の訴訟事例などを紹介まとめ

消防本部の訴訟リスクについてこの記事を読んだらわかるようになること

今回の記事は、消防本部が消防行政を行っていくうえで、避けては通れないリスクについてレポートします。

詐欺まがいの商品を売るような会社ではないため、消防本部が抱えるリスクってどんなことがあるのか謎ですよね。

しかし、実際には全国の消防本部を合わせると、年間100件以上もの損害賠償金が支払われています。

今回の記事も、現役消防士の方や、消防職員OBからの調査結果をもとに説明します。

この記事を読むことで、消防本部に起こりうるリスクについて詳しくなれます。

消防本部の訴訟リスク:どんなリスクがあるの?

訴訟に発展するということは、消防行政に不満を持つ一般市民が一定数いるということです。

さらには、

  • 不満を持ったままでは納得できない
  • 損害が発生している
  • 弁償してほしい
  • 金銭的な謝罪をしてほしい

ために、訴訟問題に発展しています。

不満を持つ一般市民がいるということは、やはり、一般市民と接触する機会の多い業務、救急業務に関する訴訟が多発しています。

具体的には、「ストレッチャー」に関するトラブル、「病院内の気管挿管実習」に関するトラブルが特に多くなっています。

訴訟による支払額でいうと、「不搬送」や「消火活動」に関係した訴訟は、比較的高額な支払になるケースが増えています。

中には、事案発生から支払い終了までに、2年を超えるケースも多くなっており、弁護士費用も高額になっています。

では、具体的に、どのような事故が発生しているのかを見てみましょう。

分野別に紹介します。

消防本部の訴訟リスク:救急活動に伴う事故事例

スクープストレッチャーからの転落事故

(発生2005.8 支払2006.2 :治療費+諸費用等330 万円)

救急隊員が、交通事故で腰部打撲した傷病者を救急車へ収容する際、側臥位にてスクープストレッチャーに乗せたまま50 ㎝位の高さから舗道に転落させ、頭部皮下出血させてしまったもの。

救急搬送の際に骨折させた事故

(発生2006.1 支払2012.3:治療費+諸費用等690 万円)

救急隊員が、以前より半身麻痺の状態にあった救急要請者に対して、その両腕を抱えた状態で自宅から路上の救急車両まで搬送する際に腕を骨折させたもの。

救急不搬送後の病状悪化訴訟

(発生2006.11 支払2010.5:賠償金+弁護士費用等9,700 万円)

警察署から救急要請され救急車が出動したものの、傷病者状況から緊急性が軽いと判断し、到着した家人に状況説明し、不搬送承諾書にサインをもらった後 救急隊は引き上げた。しかし、傷病者が自宅に戻った後に状態が悪化したため、裁判になったもの。

ストレッチャーから傷病者を落下させ加重負傷させた事故

(発生2007.12 支払2010.6 :治療費+諸費用等450 万円)

救急隊員が、救急車で搬送してきた腰痛傷病者を、救急外来処置室において搬送ストレッチャーから病院ストレッチャーへ移動させる際、1 メートルの高さから落下させ加重負傷させたもの

病院内研修中の医療器具破損事故

(発生2008.1 支払2008.3 :修理費用350 万円)

消防職員が私立病院で研修中、ストレッチャーに傷病者を乗せ、酸素ボンベを携行したままMRI検査台へ移動させた際、酸素ボンベによりMRIの一部を破損させたもの。

ストレッチャーから傷病者の転落事故

(発生2014.1 支払2015.5:治療費等120万円)

傷病患者を車内へ収容する際、誤って傷病者を転落させた。(※慰謝料の請求なし)

病院のMRIを破損事故

(発生2016.5 支払2017.11:修理費+弁護士費用1,630万円)

CT検査室の外廊下に置いておいた救急外来用ストレッチャー(病院所有)をMRI室に移動するよう病院側から指示を受けた。本来閉鎖されているMRI室の扉が全開になっていて「進入禁止」等注意表記が見えないままストレッチャーを室内へ搬入させたところ、磁場に引き寄せられ、ストレッチャーと酸素ボンベがMRI装置に張り付き使用不能となったもの。(双方の過失50:50 として示談)

通信指令員が番地入力誤りにより、到着遅れによる事故

(発生2016.6 支払2019.4:和解金+弁護士費用355万円)

通報を受信した指令員が番地の入力を誤り、場所の特定に手間取り、出動指令を発することができたのが入電から7分後。また、現場到着が入電から13分後であった。傷病者は搬送先病院で死亡したもの。(訴額:3,735 万円 )

※和解金:死亡と消防の過疾の因果関係は認められないものの、適切な医療を受ける期待権の侵害に対する支払

消防本部の訴訟リスク:消防活動に伴う事故事例

延焼賠償訴訟

(発生2010.4 支払2014.10:弁護士費用等332 万円)

消火活動の判断ミスにより延焼したとして訴訟に至ったが、賠償金無し、訴訟費用各自負担で和解したもの。

消火活動中の水害事故

(発生2010.5 支払2010.10 :修繕費用+物損等2,260 万円)

消火活動中に、地下に接続されている連結送水管設備に送水したところ、地下の床や室内に設置された運動器具等に水害を与えたもの。

火災現場誘導中の物損事故

(発生2011.11 支払2012.2 :修理費42 万円)

建物火災の際、県道を横断した65mm ホースにホースブリッジを配置して一般車両を通行させたところ、設定・誘導が不適切であった為に一般車両の前部バンパー及び車両の下部に損傷を与えたもの。

消火活動中のホース破損事故

(発生2013.1 支払2015.7:治療費+慰謝料等170万円)

消火活動中にホースが破損し、被害者の足に接触し転倒し負傷したもの。

借用した消防団のホース破損事故

(発生2014.3 支払2016.4:治療費+慰謝料+弁護士費用490万円)

借用した消防団ホース1本が破裂し、付近に避難していた被害者が衝撃で転倒負傷したもの。

受水槽のバルブの誤操作に起因するポンプモーターの破損事故

(発生2014.11 支払2015.2.26:修理費用+休業損害計194 万)

消火活動のため受水槽に水利部署した際、誤ったバルブ操作を行ったため、当該受水槽から隣接建物の受水槽への送水が停止され、受水槽が空になった。

その結果、ポンプが空回りとなりポンプモーターに負荷がかかり、部品交換が必要となった。

止水対応費用と被害者が経営するラブホテルが12 時間休業したことへの補償の請求が為されたもの。

再燃火災による賠償事故

(発生2015.10 支払2016.5:再構築費用+家財:850 万円)

消火活動実施13 時08 分鎮火(部分焼)、翌朝午前1 時28 分に同一建物より出火全焼に至る。

消火活動が不十分なことで再燃して損害が拡大した分のみ補償したもの。

連結送水管送水口の結合誤りによる事故

(発生2016.2 支払2019.5:修理費+弁護士報酬+初期対応費用1,753 万円)

15階マンションの一室から出火し、連結送水管送水口にホースを連結するところ誤ってホースを散水栓口に結合し送水したため、トランクルームの住民所有物140室(区画)が被害、マンション建物(壁)、エレベーターが水損してしまったもの。

消防本部の訴訟リスク:その他の事故事例

屋外作業中の事故

(発生2010.10 支払2011.04 :修理費750 万円)

予防広報の掲示物作成中に、使用したペンキが風で飛散し、養生が不十分であった為に、駐車中の乗用車31台に付着したもの。

現場出動途中の接触事故

(発生2010.10 支払2011.8 :治療費+諸経費等33 万円)

消防団員が、自転車で建物火災現場へ向かう途中に歩行者と接触負傷させたもの。

訓練終了後の物損事故

(発生2011.1 支払2011.2 修理費用27 万円)

訓練終了後にスモークハウスを解体作業中、ハウスの骨組みが落下し駐車場に駐車中の乗用車のボンネットを破損させたもの。

マンションの消防設備点検誤操作による住人の給水設備汚損事故

(発生2013.10.6 支払59 万円)

消防水利の点検時、平常時より水圧が弱いことを確認したため、再度点検のため、消火栓開閉バルブを全開放した結果、マンションの各居住者の給排水管から濁り水が出たので、各住居内の給排水管の清掃費用を請求された。

水難救助訓練中の物損事故

(発生2015.12 支払2016.7:修理費194万円)

プールを借用し、水難救助訓練を実施していたところプール底面に設置されている排水枡の金属製蓋が変形したため破損させたもの。

消火設備の操作誤りによる事故

(発生2018.1 支払2018.8:修理費508万円)

消火訓練実施中、隊員がハロゲン化物消火設備と連動している火災報知機の受信機の操作を誤り、消火設備ボンベ4本を噴出させたもの。

消防本部の訴訟リスク:訴訟が起きたら大変、保険って入ってないの?

実は、消防本部は保険に入っています。

その名も「消防業務賠償責任保険」と言います。

消防本部のための保険であり、全国の消防本部の98%が加入しています。

一般財団法人全国消防協会が窓口となっています。

実際の保険業務は、東京海上日動火災保険 株式会社が運用しています。

保険金額は、管内人口×12,950円÷1万人という計算で産出されます。

人口の多い消防本部ほど、規模が大きくなるので、規模が大きい消防本部ほど、高い保険金を支払っています。

【消防本部の訴訟リスク】消防の対策は?水損の訴訟事例などを紹介まとめ

消防本部の抱える訴訟リスクについて、多くの事例を並べて説明しました。

一般市民が思っている以上に、消防士の失敗に起因した、消防本部を相手取った訴訟が起きていることに驚きました。

失敗をした消防士に悪気がなかったとしても、損害を与えてしまった以上は賠償が必要なのは仕方ありませんね。

消防士を目指している人は、先輩たちの失敗事例を念頭に置き、自分が同じ過ちを起こさないように参考にしてください。

 

今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。


この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。


また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。

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