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【消防法申請】消防士から見た民泊の安全規制【通知一覧】

防災・火災予防知識

民泊の防火対策って、消防士はどんな対策を行っているの?

こんにちは、TEAM WEBRIDです。
今回の記事では、民泊の防火安全対策について、消防士の視点から解説したいと思います。
今回の記事も、現役消防士の方や消防職員OBの方々からの調査結果をもとにレポートします。
この記事を読むことで、民泊の防火安全対策について、消防士たちがどのような工夫を行っているのかがわかります。

そもそも民泊とは?

民泊とは、インターネットを利用して、空き室を短期で貸したい人旅行者をマッチングするビジネスです。
世界各国で展開されています。
日本でも、新型コロナウィルスの影響で一時的なブレーキはかかったものの、急速に普及しています。
民泊が広がりだした頃は、違法な民泊が横行していました。
そこで、次のような法改正がりました。

平成28年に合法的な民泊ができるように旅館業法施行令が改正された

違法な民泊が横行していたのはなぜか?
というのも、マンションの空き室などを宿泊目的に利用するには、1施設に33㎡以上の面積が必要でした。
つまり、33㎡に満たないようなワンルームマンションなどは、民泊に利用すると違法でした。
そのため、旅館業法施行令の一部改正(平成28 年4月1日施行)により、簡易宿所営業の許可要件が緩和されました。
緩和後は、宿泊者数10 人未満の場合は、客室の延床面積を1人当たり3.3 ㎡以上と定めました。
例えば、緩和前は、5人で宿泊する場合、20㎡のワンルームマンションに民泊として宿泊させると違法でした。
なぜなら、33㎡以上の面積が必要だったからです。
しかし、緩和により、5人で宿泊する場合、5人×3.3㎡/人=16.5㎡あれば合法です。
したがって、20㎡のワンルームマンションに5人宿泊しても、合法になりました。
このように、合法的に民泊サービスの提供が行えるような法の整備が行われました。

平成30年には住宅宿泊事業法が施行された

民泊サービスをさらに有効活用できるように、新しい法律、住宅宿泊事業法が平成29年6月16 日に公布され、平成30 年6月15 日から施行されました。
この法律の目的は、次のとおりです。

急増する訪日外国人旅行者の宿泊需要に応える

民泊は、ホテルなどに比べ、比較的安く、そして日本文化を味わえるということからも、外国人に人気の宿泊サービスです。
しかし、メリットだけでなく、同時にデメリットも少なからず存在します。
この新しい法律の施行は、次のようなことを考慮しています。

空きキャパシティを有効活用する

空き部屋を有効活用することができ、合理的です。

地域の活性化

宿泊施設の少ない地方においても、宿泊客を見込めるチャンスが広がります。

テロの防止

空き部屋は、テロ組織のアジトになりやすいため、テロの未然防止にも役立ちます。

感染症まん延防止

不衛生な空き部屋が増えると、感染症の蔓延を引き起こす可能性があります。

安全性の確保

民泊サービスを利用するユーザーの安全を守る必要があります。

地域住民等とのトラブル防止

外国人の利用が多いため、地域住民とのトラブルが絶えません。

民泊に対する防火安全対策の推進

これからも、民泊は需要が高まることが想定されています。
そのため、総務省消防庁では民泊利用者の安全性を確保するため、

  • 必要な防火安全対策を講じる
  • 消防用設備等の規制の合理化を行う

ことで、健全な民泊の普及をめざしています。

民泊の安全を守る消防用設備等の設置

民泊というのは、外国人を含め、

  • 建物の避難経路に詳しくない人
  • 火気設備等の取扱いに不慣れな人

が宿泊することから、火災危険は高くなります。
そのため、規模の小さな民泊施設であっても、自動火災報知設備等の設置をはじめ、ホテルや旅館と同様の防火安全対策を講じることとしています。
この考え方は、

「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて」
(平成29 年10 月27 日付け消防予第330 号消防庁予防課長通知)

により、全国の消防本部が対策に動いています。
ただし、次の条件がそろう場合には、ホテルや旅館と同様の防火安全対策から、一部の事項が免除されます。

  • 家主が居住し、家主による火災時の適切な応急対応が可能な場合
  • 宿泊室の床面積が50 ㎡以下の場合

民泊を始める前の準備(消防法令への適合確認)

民泊を行う場合は、建物の規模や階数等に応じて、消火器自動火災報知設備等を設置することが必要です。
利用者の安全確保のためには、消防法令の規制を民泊の開始直後から守る必要があります。

民泊事業を行いたい人の申請

家主等が住宅宿泊事業を行おうとした場合、都道府県に対して届出が必要です。
届出を行う際、届出を受け付ける都道府県等から次のような指示を受けます。

消防法令適合通知書を提出してください!

この流れは、観光庁等が作成した住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)にも示されています。

民泊を管轄する消防本部の対応

「消防法令適合通知書」というのは、家主等の申請に基づいて消防機関が交付するものです。
消防法令に適合しているか、家主からの申請に基づき、

  • 図面審査
  • 現地確認

などを行うことにより、防火上の安全を確認します。
防火上の安全が確認できたら、「消防法令適合通知書」を消防機関が家主に交付します。
家主は、この「消防法令適合通知書」を都道府県に提出することで、民泊事業の許可がおります。
この仕組みであれば、

  • 都道府県は、防火上の安全が確保できていない民泊施設には、民泊事業の許可は与えない
  • 消防機関は、管轄地域で新たに民泊事業を始めた施設を把握できる

というメリットがあります。

消防用設備等による安全確保

共同住宅、いわゆるマンションなどの一部を民泊として利用するとき、従来の法律では、民泊部分だけでなく、建物全体にスプリンクラー設備や誘導灯などの消防設備の設置が必要となる場合がありました。
既存の建物にスプリンクラーなどの消防設備を設置するとなると非常に高額で、民泊の利益だけでまかなえるようなものではありません。
ということは、世間で起こりうることは2パターン。

  • 民泊をしない

  • 消防法違反のまま民泊をする

のどちらかです。
どちらも望ましいことではありません。
そこで、消防法施行規則等の一部を改正する省令(平成30 年6月1日公布・施行)により、免除規程を設けました。
それは、防火上安全な区画を設ける等の一定の安全性を満たすときには、消防設備の設置を免除することです。
安全の確保を前提に、消防用設備等の設置がいるかどうかの基準の見直しがおこなわれました。
また他にも、規模の小さな民泊施設にあっては、自動火災報知設備を設置しなくてもよいこととしました。
自動火災報知設備を設置する代わりに、連動して警報音を発する無線式感知器のみで構成された特定小規模施設用自動火災報知設備を設置することができることとしました。
この緩和により、新たに民泊を始めようとする家主の費用負担は相当軽くなり、民泊の普及が見込めます。
さらに、避難経路がわかりやすく、容易に避難できる民泊施設の場合は、誘導灯の設置も免除することができます。
これらの内容は、

「一般住宅を宿泊施設や飲食店等に活用する場合における消防用設備等に係る消防法令の技術上の基準の特例の適用について」

(平成29 年3月23 日付け消防予第71 号消防庁予防課長通知)

「消防用設備等に係る執務資料の送付について」

(平成30年3月15 日付け消防予第83 号消防庁予防課長通知)

この2つの通知により、全国の各消防本部が対応しています。
引き続き、民泊等の運用実態の把握に努めることが重要です。

リーフレット等を活用した防火安全対策の周知・徹底

民泊においては、民家を利用することから、一般の人が事業者となることが多くなっています。
そのため、一般の人でも、前述のような防火上の安全対策を間違いなく行えるようリーフレットを総務省消防庁で作成しています。
リーフレットの対象者は、民泊事業者です。
内容は次のとおり。

  • 民泊における消防法令上の取扱い
  • 宿泊者や周辺住民等の安全を確保するために実施するべきこと

などです。
リーフレットは、総務省消防庁のホームページに掲載されています。
全国の消防本部では、査察(立入検査)の際に活用するなど、民泊における防火安全対策の周知・徹底に役立てています。

【消防法申請】消防士から見た民泊の安全規制【通知一覧】のまとめ

今までの宿泊サービスは、ホテルや旅館等により提供されてきました。
しかし、新しい宿泊サービスとして、住宅を活用した民泊が広がっています。
新しい事業形態であり、まだまだ発展途上のサービスです。
新しい種類の民泊が発生するかもしれません。
今までにないスタイルの民泊が発生しても、利用者や周辺住民の安全性を確保することが重要です。
そのためには、民泊事業者にとって、わかりやすく合理的な防火安全対策を見出す必要があります。
民泊に関する防火安全対策は今後も継続して注目する必要があります。

今後も、新しい情報が入り次第、レポートを更新していきます。

この記事を読まれた方で、さらに詳しく知りたいことがあれば追跡調査しますので、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご質問ください。

また、消防関係者の方で、うちの本部ではこうなってるよ、それは違うんじゃない?などのご意見をいただける際も、コメントか問い合わせフォーム、またはTwitterにてご連絡いただけると助かります。

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