東京消防庁の興味深い取り組みを紹介します。
任天堂の家庭用ゲーム機であるニンテンドースイッチの人気ソフト、「あつまれ!どうぶつの森」を利用して消防広報を行っているようです。
詳細をレポートします。
この記事を読むことで、東京消防庁の先進的な取り組みを理解することができます。
【東京消防庁の広報:あつ森】そもそも「あつまれ!どうぶつの森(通称:あつ森)」とは?
『あつまれ!どうぶつの森』は、任天堂が販売しているスローライフゲームです。
プレイヤーが住人となって、自然豊かな無人島で自由気ままな移住生活を楽しむゲームです。
この住人が自分の分身ということですね。
道路を造るといった島自体の開発行為も行います。
家具を作ったり、虫や魚を捕まえたりして過ごすうちに、動物の姿をした島民が徐々に増えていきます。
島での暮らしぶりやイベント、風景などをSNSに投稿できる機能があるのが大きな特徴です。
消防が関係しているからといって、ゲーム内で火災が起きるようなハプニングがあるわけではありません。
しかし、海で泳いだり、蜂(はち)や蜘蛛(くも)に襲われたりといった、ハプニングは発生します。
つまり、消防士の出動が必要になりそうなイベントは発生するということですね。
2020年3月に発売して以来、全世界で出荷数2000万本を超えるヒット作となっています。
家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」向けのゲームです。
ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション」では遊ぶことができません。
【東京消防庁の広報:あつ森】東京消防庁のSNSによる広報活動
東京消防庁の公式Twitterは今に始まったものではありません。
もともと、季節やイベントごとに、防災にまつわる対策や予防の方法、新たに追加された消防資機材や特殊部隊に関するアナウンスなど、いろいろな投稿を行なっていました。
そんな中、このたび新たに「あつまれ!どうぶつの森」を活用した防災情報の発信をスタートさせました。
東京消防庁がプレイヤーとなって運営している島の名前は「ボウサイ島」。
プレイヤーの名前は「あつお君」。
この「ボウサイ島」から、熱中症防止対策や水難事故の防止対策といった情報を発信しています。
SNSには、防災情報とともに、ゲーム内の家具やマイデザインなどを並べた、スクリーンショットとともに投稿しています。
このような流れになった理由は、新型コロナウイルスの影響です。
新型コロナウイルスの影響で、防災訓練の機会が減っています。
防災訓練を行いたくても、大勢の人を集めて行えず、対面による防火指導の機会は激減しています。
そのため、ゲームのキャラクターを通して、地震対策や熱中症予防などを呼び掛ける試みが始まりました。
【東京消防庁の広報:あつ森】「あつ森」をどのように広報に役立てているのか?
東京消防庁は「あつお君」の「ボウサイ島」での日々の暮らしを通じ、防災に関する情報を発信しています。
東京消防庁のツイッターやフェイスブックに週に1、2回ほど投稿しています。
例えば、熱中症予防の広報であれば、2種類の画像を投稿し良い例と悪い例の比較を表現しています。
悪い例では、島民たちが窓を閉め切った室内でエアコンも使わず暑そうにしているようすの画像です。
良い例では、エアコンや扇風機を併用し、大きなドリンクサーバーも用意して快適に過ごすようすの画像です。
この2種類の画像を並べて、ツイッターに投稿しました。
熱中症について「家の中で一番多く発生しています(約40パーセント)」と注意を呼びかけています。
防災訓練についても同様です。
東京消防庁が去年、230万人に対して行った防災訓練は、今年は新型コロナウイルスの影響でほとんどできていません。
もっというと、地域で行われる防災訓練というのは、新型コロナウイルスの影響がなかったとしても、若者の参加率は非常に低いものとなっています。
“若い世代に防災意識を持ってもらいたい”という狙いで、人気ゲームに目をつけたものです。
ゲーム画像はわかりやすく、インターネットで情報発信をしやすいというメリットがあります。
ゲームの季節も現実世界の時の流れに合わせて変化するので、防災広報にはもってこいの作品といえます。
ツイッターで公開すると、2万件以上の「いいね」が付き、閲覧数は30万回を超えています。
SNS用語でいうところの、バズりました。(バズる:爆発的に人気が出ること)
地震による負傷原因の多くは家具の転倒や落下であることを踏まえ、住人のキャラクターが倒れやすい家具をベッド周りから遠ざける動画は、「分かりやすい」と大きな反響を呼んでいます。
【東京消防庁の広報:あつ森】マイデザインも配布している
ゲーム内のアイテムは、プレイヤーがデザインを作成できるゲーム仕様となっています。
そのため、ゲーム内の「あつお君」は東京消防庁の消防士と同じデザインの服装を身にまとっています。
この消防士の服や帽子など、ゲーム内では「マイデザイン」と呼ばれており、ゲーム内の第3者プレイヤーに配布することができるゲーム仕様となっています。
開始当時は、マイデザインを公開していない状態でした。
しかし、「マイデザインを公開して欲しい」という声が多数寄せられたことで、その要望を反映してか、マイデザインの公開が始まっています。
マイデザイン第1弾として、基本的な制服として使用されている、
の4デザインが公開されています。
【作者ID:MA-1066-4956-7218】
からすべてのデザインへアクセスすることができます。
興味がある方は、ぜひアクセスしてみてください。
【東京消防庁の広報:あつ森】東京消防庁担当者の声
東京消防庁防災部、櫛谷修央 消防司令補は、次のように語っています。
公式がやるからには手を抜かず、本気で最後まで作りこむ
さらには、こんなことも。
興味を持ってもらうための材料だと思っていますので、ゆくゆくは防災訓練とか、皆さんの家でできるそれぞれの防災対策につなげていただきたい!
あつ森の活用を発案し、ボウサイ島を作っている震災対策課の磯敦雄消防司令補は、こう語っています。
災害時などの対応力がコロナ禍で弱まらないよう何ができるか考えた。楽しみながら身を守る方法を知ってほしい!
東京消防庁が『あつ森』で防災広報だって!?【マイデザインあり】のまとめ
東京消防庁が取り組んでいる、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の人気ソフト「あつまれ!どうぶつの森」を活用した消防広報についてレポートしました。
さすが、日本だけでなく、世界でも有数の規模を誇る消防本部である東京消防庁ですね。
素晴らしいアイデアと行動力だと思います。
ゲーム性を考慮すると、今後も多くの消防広報に展開できそうです。
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